第1話:はじまりの始まり
世の中には、『異世界転生』と呼ばれる言葉がある。その数多くは現世、いわば地球でなにかしらの事故や事件に巻き込まれ、死亡してしまうことで、別の世界。つまり『異世界』に転生するというもの。そして異世界に転生した者の数多くは、なにかしらのチートが備わっている、はずなのだ。
「やっぱりなんかの間違いだよなあ、」
俺こと堀里怜は正真正銘地球で死んで、異世界に転生した。
そこまでは問題ないのだ、しかし、俺には何一つ『チート』が見当たらなかった。
「ウィンドウオープン! ステータスオープン!!」
転生ものでありそうなことをやってみたが、何も変化はなかった。
転生するときに神様みたいなのがでてこなかったか、だって?
そんな神様なんかに会った覚えはないけどなぁ、
「はぁ、」
俺は少しずつ現実を受け入れ始めた。俺にはチートはないかもしれない。
だけど異世界ものの主人公たちも、みんなチートを持ってるわけじゃないんだ!
前世の知識とかを使って、不自由なく暮らしていけてるじゃないか。
俺にだって前世の知識くらいある。
「そうと決まればまずは安全を確保しなきゃだな」
今俺がいる場所は、一言であらわすと『森』しかも大森林だ。結構でかめ、
「この森から出る方法がわかんねえからな、おとなしく待っとくってのも手だが、せっかくの異世界だ。思う存分見て回りたいし探検したい!」
出口がどっちかわからなかったが、まっすぐ進んでいけばそのうち森から出られるだろう。
「........はぁ」
もう何時間歩いたか覚えていないが、結構な距離歩いたと思う。
それなのに、出口はいっこうに見えてこない。
「ほんとに大きな森だな、これほんとうにッ、!」
カァアンッ!
どこからか大きな音がした。
「今の音、たしかあっちの方角だよなっ!」
俺はとっさに音のしたほうへ走りだしていた。
(今の音は金属音だ もしかしたら人がいるかもしれない)
カァン!
音がでかくなった、近づいているのだろう。
「みえた!」
そこは森の中の少し開けた場所だった。
3人の男女と、狼のような見た目をした獣が奮闘していた。
男女が劣勢のようだ。さっきからの金属音は剣がはじかれる音だったようだ。
(俺は何をすればいい、、俺になにができるっ、)
前世で狼と戦ったことなんて一度もない。ましてや人間サイズの狼なんて、
(もし俺が、主人公なら、颯爽と駆けつけてバッタバッタと倒せるんだろうが、あいにく俺はそんなことができるほど強くないんだ。もし俺が加勢に入ったところで、足を引っ張ってしまう)
「うぉぉおおおおお!」
3人組の一人が大声を出して剣を大きく振った、が、狼はそれをよけてしまった。
「俺がこの3人の中で一番上なんだ、、ほかの人守れないで、なにが冒険者だ!」
ブンッ ブンッ
いくら剣を回しても、狼にはかすりすらしなかった
「クソッ、みてるだけってのは俺のプライドが許さない」
気づけば俺は、3人の前に立ち、狼に立ちふさがっていた。
「っ!」
(ここまではいいんだが、この後どうしようか、)
無策で突っ込んできてしまったのが仇となってしまった。しかしなぜか俺は自信で満ち溢れていた。
設定とか考えずに勢いだけで考えました。