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36.揃った言葉

明けましておめでとうございます!!

そして、皆様お久しぶりです!

今年も「無能聖女」をよろしくお願い致します。


 魔物の発生原因がわかってから、1週間が経った。だが、変わらず魔力の源が解明してはいなかった。


 そしてまた、報告書に書かれた文字がエリザベートとのところで異なっていることに気がついてからも1週間が経った。

 今週隠されていた文章の文頭は〝な〟。


 ―― っかいはといてはならな  う印だつた


 今回までで、このような文になった。今回、エリザベートに届いた報告書で、もう一文字が埋まるが、今日届いたものなので、何だったのかエリザベートから伝えられるのは数日先だろう。


「でも、憶測でしかないけど、これはきっと……」


 クリスティーナは、エリザベートに女神が結界をつくりだした背景をきいた時に考えたことを思い出す。


 ――結界が、魔物を閉じ込めておく封印ではないか、という可能性を。


「仮にそうだとすれば、――けっかいはといてはならないふう印だった。という文章になる」


 今までの可能性や仮説を当て嵌めれば、もっと早くに気づくことも出来ていたはずだ。

 様子を見ると言いながら傍観していたことに気づき、クリスティーナは歯噛みする。

 

「――もう、立ち止まることなど出来ないわ」


 結界が解けたことで、王都にはかつてない規模の魔物による被害が出てしまうだろう。


(そうなる前に……!)


 馬の乗り方など、ここ数週間のうちにすっかり習得してしまっていた。クリスティーナは慌てて馬の用意をする。鐙に足をかけ、急ぎながらも驚かせないように慎重に跨る。

 フローラは今、魔物被害の対応で邸を空けているので、報告も儘ならないが、仕方が無い。

 腹を蹴り、緩やかに速度を加速させる。

 しかし、知らず知らずの内に強く腹を蹴っていて、今までにない速度が出ていた。


(この速さだと危ないわ………!)


 手綱を握り締め、合図を送るように手綱を引いていく。速度は次第に下がり、クリスティーナがほっと胸を撫で下ろしたとき。


(人影……かしら……?)


 遠くに、同じく馬に乗った人の姿を認め、クリスティーナは一度は関係ないと馬を進めようとしたが、何やら叫んでいる声が聞こえ、手を止める。


「せ、聖女様っ……!」


「えっ!?」


 相手はクリスティーナだと気づいていたようで馬を見計らったように止めたが、クリスティーナは突然のことに上手く馬を止められず、すれ違ってしまう。

 一度クリスティーナが馬を下りて、過ぎ去ってしまった相手の元へ駆け寄ると相手は慌てたように馬から下りる。


「聖女様……!」


 見覚えのある青年の姿に、クリスティーナは記憶を手繰る。


「あなたは……いつも西領に手紙を届けてくれていた……?でも、どうして東領に来ているの?」


「覚えてくださってたんですね……!あっ、自分は東領に行くよう頼まれてっ。その、聖女様に渡すものがあって……っ」


 慌てているからか、息が上がっていて少し苦しそうだ。


「大丈夫?」


「は、はい。それで、これを」


 青年から一通の手紙を手渡され、クリスティーナは礼を述べながら受け取る。 

 封筒の端には、走り書きで綴られたケイティの文字。


(ケイティ様……?)


 ただ事ではなさそうな筆跡に、嫌な予感を感じなら封を開ける。報告書に使われていたものと同じ便箋には、


 ――いままでありがとう


 そのただ一言が書かれていた。


「……っ!王都に行かなければっ!」


 クリスティーナは先程よりも慌てた様子で馬に跨り、そして忘れていたというように、勢い良く後ろを振り返る。


「あなたは東領に行ってフローラ様に、クリスティーナは王都へ向かったと伝えて」


「は、はい……」


 クリスティーナの気迫に圧倒されたようにビクリとしながらも、頷いた青年を見届けると、クリスティーナは馬に鞭を打つ。


「どうかっ……どうか無事でいてっ……」


 ◇


 同じ頃、エリザベートは。


「やはり、クリスティーナの仮説が合っていたとしか考えられないわ……」


 クリスティーナと同じく、ケイティの伝えたいことに気がついていた。


「きっとクリスティーナも気づいているのでしょうね」


 それならば、取るべき行動は一つ。


「クリスティーナを……――女神様のもとへ行かなければ」


 自分に出来ることなど限られているが少しでも手伝いをしたい。


「馬の用意してちょうだい」


「は、はい」


 急に命令を告げたエリザベートに驚きながら、使用人が頷いたのを確認し、エリザベートは軽く身支度を整える。

 気配を感じて、扉の方を振り返ると、邸から少し離れた所にある厩舎に向かっているはずの使用人の姿があった。


「?どうしたの」


「そ、それが……」


 動揺した様子の使用人の言葉を遮り、一人の少女が扉の向こうから姿を現した。


「――お久しぶりですね、エリザベート様。西領から参りました、アイリスです」

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