表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/84

23.南領の異変

大変おまたせいたしました!!

 それからあっという間に1週間が経過し、ケイティから報告書が届いた。


「わたくしが受け取ってまいります!」


 アイリスは自分もやりたい、とでも言いたげな瞳でクリスティーナを見遣った。

 別段難しい仕事というわけでもないので、クリスティーナはアイリスに任せることにした。


 程なくしてアイリスが一つの封筒を手にして部屋に戻り、クリスティーナに渡した。


 クリスティーナとエリザベートは横並びになって座り、一緒に見る用意をしていた。


 そして、いつもと同じように封筒を開こうとして、クリスティーナははた、と動きを止めた。


 何故なら、封筒の裏面に走り書きで、


 ――南領に帰れ。


 と綴られていたからだ。


 南領、しかも帰れ、と書かれていることから、この言葉はエリザベートに宛てられたものだと推測できる。


「エリザベート様。これって……」


「南領で大変な事態になっているのかしら……」


 いつになく難しい顔つきのエリザベートに、クリスティーナは不安を煽られた。


「でも……一体、誰がこんなことを……」


「ケイティさん……ではないようですね……」


 報告書などで筆跡を見たことのあるアイリスは顎に手を当てながら呟いた。


「ええ。ケイティなら封筒に書く必要はないものね」


「とすると、誰なのでしょう……?」


「とにかく、それはひとまずおいておきましょう。内容を見て、王都の安全を確かめないといけないのだから」


「えっ!クリス先輩、王都へ行くのですか?」


「そう言えば、言ってなかったわね。……まぁ、王都が余程の非常事態でなければ、だけれど」


 この報告書で、特に王都に問題が見られなかったら、クリスティーナは王都へと行くという約束を、エリザベートと交わしていた。



「いつも通りですね……」


 一見してやはり魔物の被害が多いことが気にかかるものの、いつも通りと言っていいものだった。


 無事最後まで辿り着き、ほっと安堵の息を零しした。


 ――ただ一人、エリザベートを除いては。



「……いえ、待って」


 鋭い静止の声に、思わずエリザベートの方を振り向く。


「エリザベート様?どうかしたのですか……?」


 再び不安な気持ちが込み上げ、尋ねる。


「ヴィクトルのことか、一切触れられていないの」


 深刻そうなエリザベートの声音に、部屋がしん、と静まり返った。


「え……?」


 一瞬、エリザベートが何を言いたいのか理解しきれず、クリスティーナは呆けた声を漏らした。 


 だが、遅れて意味を理解し、クリスティーナは眼鏡の奥で目を見開いた。


「あ!そっか。もう王都には着いているはずで、経過し様に会っているはずなのに報告書では全然その話がでてきていないのですね」


「ええ。そういうこと。王都の状況も考えて、彼のことだから真っ先にケイティのもとへ向かうはず。それなのにケイティは何とも言っていない。……こんな状況ではあなたを王都に行かせられないわ」


「そんな……」


「クリス先輩!わたくしからもお願いしますわ。今は危険です。もう少しだけ状況を把握できるようになってから……」


「でも!そんなこと言っていたら一生王都になんて行けないわっ」


 思わず声を張り上げてしまい、クリスティーナは直ぐ様口を噤んだ。


「取り敢えず、落ち着きましょう」


 ――エリザベートがそう言った時だった。


 ドンドンドン。


 強く扉が叩かれ、クリスティーナは椅子から腰を浮かせた。


「エリザベート様!いらっしゃいますか!?」


 叫びのような声に、思わず外へ出るとそこには、南領からの遣いの者が立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ