18.エリザベートとフローラ
申し訳ありません!
1話しか更新できませんでした(汗)
ですが、その分来週の更新日には5話更新したいと思います。
「――もう一度、話をしましょう」
帰ってくるなり、エリザベートは先程の話題を持ち出した。
まだアイリスは帰って来ていない。何をしているのかはわからないが、従者達がついているので、クリスティーナはある程度の自由をアイリスに与えていた。
「あ、あのっ、その前に聞きたいことがあるのですが……」
エリザベートは、クリスティーナがあれ程熱っぽくなっていたのに、その話題を差し置いて口を開いたことが意外なのか、眉を上げた。
「……聞きたいこと?」
エリザベートの鋭い視線にクリスティーナは一瞬尻込みしたが、気を持ち直し、はっきりと肯定した。
「はい」
クリスティーナはエリザベートに座ってください、と告げると、フローラから届いた手紙をエリザベートの正面に差し出した。
「……これは、エリザベート様が席を外している間に届いたフローラ様からの手紙なのですが、ここを読んでください」
クリスティーナはエリザベートが西領に来た旨の文を指し示した。
エリザベートは訝しげに首を傾げた。だが、何も言わず視線を落とした。
「……このことが、どうかしたの?」
無言で読み終えたエリザベートは、無表情で顔を上げた。
「……西領に来たことは、誰も知らないと言っていませんでしたか?」
「……言ったわ」
「では、どうしてフローラ様がこのことを知っているのですか?」
「それは……」
珍しく口籠るエリザベートに、何かを隠していると確信し、クリスティーナは不信感を抱いた。
単純に何も知らないのなら、誰かから漏れた可能性がある。しかし、エリザベートのこの反応からして……
「本当のことを言ってください」
そう言うと、躊躇いながらも決心したようにエリザベートが言った。
「……フローラには、私が伝えたわ」
予想外の答えに、クリスティーナはたじろいだ。数秒考えた後、慌てたように口を大きく開いた。
「ど、どうしてですか?エリザベート様はフローラ様のことを信用ならないと言っていたのに……」
クリスティーナはエリザベートが西領に来たばかりのときに告げていたことを思い出し、純粋な疑問を抱く。
すると、エリザベートは困ったように息をつき、言葉を考えながら話しだした。
「……別に、彼女の聖女としての能力は私も認めているし、その点、信用に足ると思っているは。そして、彼女には今私達を妨害する必要なんてないもの。だから、報告したのよ」
「……」
返す言葉が見つからず、黙り込むクリスティーナに、エリザベートは更にこう付け足した。
「それに、フローラも西領に来ようとしているのなら、伝えておいた方が良いでしょう?」
その言葉に、俯いていたクリスティーナはぱっと顔を上げた。
「……フローラ様も西領に来るつもりだったのですが……?」
クリスティーナが思ったままに尋ねると、エリザベートは一転し、言いづらそうに顔を顰めた。
「……まぁ、そうね」
「……そう、だったのですか」
エリザベートの告白に、クリスティーナはほっとしたような、混乱が残っているような複雑な感情が心に広がっていた。
「ええ。話は済んだかしら?」
「……はい。――ですが、本題に入る前に、エリザベート様の、フローラ様に対する気持ちを全て話していただきたいです」
「全て?」
不思議そうにしているエリザベートに、クリスティーナは深く頷いた。
「はい。フローラ様のことを、この前尋ねたら、また後でと仰られたでしょう?」
「そういえば、そうだったわね。まあ、いいでしょう。あなたにとっては、あまりいい話ではないかもしれないけれど……」
「お願いします」
そうして、すっかり夜になった頃、フローラの秘密にクリスティーナは踏み込むのだった。




