表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/84

4.言葉の意味

「ケイティ様は何を伝えたいのかしら……?」


 8通の報告書を前にクリスティーナは呟いた。


 全ての報告書を見るまでは、裏切り者が居ることを知らせることが彼女の目的だと思っていた。

 だが、予想に反して報告書に隠された言葉は皆それぞれ異なり、そして、それらの文はそれぞれ別の位置にある文を縦に読むと浮かび上がるものだった。


 法則性が見つけられず、また、ケイティの真意もわからない。


「取り敢えず、それぞれの文の意味を考えてみよっか」


「……そうね」


 2人は1、2通目を飛ばし、3通目に目を向けた。


 ――はなから結界はない


「最初から結果がなかった、ということよね。でも、いつからのことをいっているの?もともと結果なんて存在していないというの?」


「……いや、多分そうじゃないと思う。修境記を含む昔の書物にはみんな結界のことが記されてるからね」


「あっ……そうだわ……じゃあ、いつのことを指してるのかしら?」


「ん〜……難しいけど、多分ケイティたちが聖女を引き継いだ頃からだと思う」


「なるほどね……でも、結界が無かったなんて俄には信じられないわよね」


「そうだね。けど、僕たちが初めて西領(ここ)の巡回に来たときのこと思い出してみて」


 ヴィクトルの問いかけの意味がわからなかったが、クリスティーナは宙に視線を向け、数ヶ月前のことを思い出した。


「そうだわ!最近色々ありすぎて頭の隅に追いやられていたけれど……あの時、結界から神聖力が感じられなかったわ……!」


「そう。だから、数ヶ月前にはもう女神様が作り上げ、聖女が守ってきた結界は無かったんだよ」


「そんな……でも、それじゃあ私たちが見ていたものは何だったの?」


「今はもうそれすら壊れて残ってないから僕の憶測になるけど……幻の一種だと思う」


「それじゃあ、魔術師とか魔法を使える人じゃないと無理よね」


 ますます、裏切り者の存在の信憑性が高まってきた。


「うん。少し話が変わるけど、4通目を見ると結界は壊されたらしいよね」


「え?……ええ」


「その人物が、結界が壊れていることに気づかせないために幻の結界を張っていたのだとしたら?」


「……っ!そういえば……師匠が言っていたわよね。――何かの力が前から結界に働いていて、耐えきれなくなった今、ひびが入った、と」


「そっか。国を覆う程大きく強い結界を壊すには時間がかかる。だから、本物の結界を壊し終えるまでの時間稼ぎ的な意味合いもあったのかもね」


「そうね。とはいえ、結界が絡んでいることも考えるとやはり聖女が関係していると思うのだけど……」


「そうだね。そしてその人がきっとケイティの言う裏切り者なんだろうけど」


「動機がわからないのよね」


 深々とため息をつくクリスティーナにヴィクトルは手を伸ばし、頭を優しく撫でた。


「!?な、何?どうしたの?」  


「いや〜いつも頑張ってて偉いなって」


「そんな……私なんて何も出来てないわ。ケイティ様も……聖境司の方々だって大変なことが沢山あるはずなのに私だけ何も……」


 クリスティーナは話しているうちに自分の無力さを痛感し、涙が滲むのを感じた。


「――クリスは十分頑張ってる」


 それでも。

 彼だけはいつだって心に寄り添い温かい声をかけてくれた。


(いつだって……?おかしいわ……)


「クリス?」


「あっ、いえ、なんでもないわ」


 咄嗟に誤魔化しつつ、クリスティーナは胸に残った引っ掛かりに、僅かに顔をしかめる。


(前にも感じたことがあるような……)


「クリス?どうかした?」


 気遣わしげに尋ねるヴィクトルに、クリスティーナは一度違和感を忘れることにした。


「本当に大丈夫よ。それより、他の言葉についても考えてみましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ