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2話しか投稿できませんでしたが、番外編はこれにて終わりです。
それでは、2章でお会いしましょう!
訂正 7月21日に番外編公開します!!
わたし――ボクは、自分が巡回を担当している地に降り立ち、結界の前、つまり隣国との境界に立っていた。
この領を頼んでまでボクの担当地にしてもらったことには理由がある。
ボクは目を細め、結界の向こう側を窺う。
視線の先には、建物も植物もない静寂だけがある。
……もっと遠くへ進めば都市に出るのだが。
殺伐とした空気が漂っているそこは、昔はとても栄えていた国だった。小さな国ではあったものの、中心都市では大陸屈指の賑わいを誇り、人口も多かったという。
――だが、今はもうその面影すら残っていない。
アムールデースの領ではあるが、もとは属国――そのさらに前はアムールデースと特に関わりのない小国だったため、結界の領域外にある。
属国からアムールデース領に変化したことも、女神の加護が働いていなかったからだ。
抵抗する力さえあればボクは今でも大好きなあの場所に居られたのに……
「そもそも最初から結界なんてなければ良かったんだ」
とボクは一人でそんなことをつぶやきながら、何の感慨もなく結界を見上げる。
結界は定期的に揺らめき、虹色の煌めきを放っている。
それはつまり、この結界が弱くなっている証拠だ。
「……ああ、この結界ももう長くは持たないんだな」
――ならばいっそのこと自ら壊してしまおう。
壊そうが壊さまいが、結果は同じだ。
変わるのは、ことが起こる瞬間だ。
「いや、もう十分始まっているか……」
ボクは手を伸ばし、本来触れることのできないはずのそれに触れる。
指先が触れた場所から波紋が広がり、やがて結界という大きな水面に吸い込まれていった。
ボクは目を瞑り、指先に力を行き渡らせる。
風の音も、近くの木に止まっている鳥たちの囀りすら聞こえないほどに高まった緊張感の中、ボクは自分の力全てを出し切る。
「――よし」
重い瞼を上げると、先程までは静かに揺らめいていた結界にひびが入っていた。
空は白く染まったようで、異様な空気を創り出している。
「……本当にやってしまった……――いや、自分で決めたことだ」
揺らぐ決意と共に緩んだ緊張感に、すかさずバサバサと音を立て鳥が飛び立った。
「……っ」
それもそうだ。ボクが操るのは光の力ではなく魔力なのだから。
嘲笑がこみ上げる。
「ハァ……ボクが望んだのはこんなことじゃなかったはずなのにな……」
だが、今更後戻りはできない。
結界は既に存在していないのだから。
そして、最後の最後まで仲間を騙し続けた幻も今自分で壊したばかりだ。
勿論、その責任は取るつもりだ。
――仲間より、祖国の復讐を叶えてしまったのだから。
ボクはひびのはいった幻の結界に背を向けて歩き始めた。




