表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/84

39.結界の異変

「理不尽だ……」


 ルーと共に速歩きで図書館を出てしまうクリスティーナの後ろ姿を見て、ヴィクトルは呟く。


「褒めてもらいたいのになあ……」


 抱きとめたというのに、無かったことにされ、ヴィクトルは拗ねていた。


 何気なく独り言ち、溜め息をついたその時。


「っ……!」


 ひと足早く外に出ていたクリスティーナが驚いた様子でいきなり立ち止まった。


「クリス!?何かあったの?」  


 ヴィクトルはクリスティーナに駆け寄る。

 彼女は目を見開き、手が震えていた。


「そ、その……さっき、外が異様に暗かったと言ったじゃない?それで、今見たら……」


 その続きは空を見上げたヴィクトルにはすぐわかった。


「ッ真っ白!?」


 空は先程と変わらず曇ったような色をしていて、そして先程よりも暗くなっていた。


「そうなの。――だけど、もっと目を凝らしてみて!」


「え……?あっ……!これは……」


「全体にひびが入ってるの……」


 空には無数のひびが蜘蛛の巣状に広がり、それが空全体を覆うレースのようだった。


「どういうことなの……?」


「クリス。――これは空じゃないよ」


「え……?空、じゃない?」


「うん。()()()()


「!まさか……そんな……でも、どうしてこんなことに……?」


 自分たち聖女が維持しているはずの結界の痛ましい姿に、クリスティーナは呆然とした。


「……わからない。……でも、これから訪ねる人に訊いてみればいいんじゃない?」


「これから訪ねる人……?……!ああ、そうね。師匠なら何か知ってるかもしれないわ」


「うん。それじゃあ、急ごうか」


「ええ」



「師匠。それで、ひびについて何かわかることはありませんか?」


 日記を渡しにジョアシャン宅を訪ねた2人は、ジョアシャンに早速質問した。


 日記を渡したところ、大いに喜んでもらえたのでクリスティーナは少し心に余裕を持つ事が出来た。


「ふぅむ……儂も外の様子を見たがのう……聖境司でもない儂の考え話すとは……」


「不確定でもいいんです。師匠が思ったことを教えて下さい」


「……そうじゃなあ、あくまでも儂の意見じゃが、それでも良いというのなら仕方が無いのう。……結界にひびが入ったのは多分、突発的ではないと思うのう」


「えっ……?」


「突発的ではないとは、どういうことでしょうか」


 事の重さを受け止めきれてないクリスティーナの代わりにヴィクトルが問うと、ジョアシャンは目を細めた。


「……恐らくは、何かの力が前から結界に働いていて、耐えきれなくなった今、ひびが入った。そんなところじゃないのかのう……」


「そう、ですか……ありがとうございました。私は教会に行ってきます」


「うむ、それがいい。きっと、他の聖女も同じ事を考えていると思うしのう」


「はい。今日はありがとうございました。……失礼しますね」


「ああ、そうじゃ。クリス、日記を見つけてくれてありがとう」


 師匠は側に置いてある、二人から受け取った日記を手に取り、笑みを浮かべた。


「いえ、そんな……師匠にしてもらったことと比べたら大したことではないです」


「ほっほっほ。そう言ってくれると嬉しいのう」


「ふふ。それでは、私はもう行きますね」


「ああ。いってらっしゃい」


「……!」


(懐かしいわ……昔はよく師匠にいってらっしゃいと言ってもらったものね……)


 だから、クリスティーナは温かな懐かしさを感じながら、言い慣れた言葉を告げた。


「行ってきます!師匠」

次回、1章完結予定です!

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ