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28.再び図書館へ

「そういえば、さぁ」


 ルシア学園の図書館内の階段を上っていた時、不意にヴィクトルが問いかけた。


「どうかしたの?」


 クリスティーナは隣を歩くヴィクトルに視線を移す。


 今日は、用事があったため、リシュアンは来ていなかった。


「……いや、気になったんだけど、何で日記が5階にあるってわかってるの?」  


「ああ、あなたは聞いてなかったわね」


 クリスティーナがジョアシャンから詳しい話を聞いている間、リシュアンとヴィクトルは席を外していた。

 そして、クリスティーナはジョアシャンの日記を探しに図書館の5階に行く、としかヴィクトルに伝えていなかった。


「それはね――」


 クリスティーナは先日、ジョアシャンと会った時の事を思い出した。



「――ところで、何故5階にあるとわかるのですか?」


 話の途中、クリスティーナは不思議に思い、ジョアシャンに尋ねた。


「おや、言ってなかったかな……。それはのう、自分で言うのもなんじゃが……儂の能力を妬んだ輩が5階に日記を隠したんじゃよ」

 

「えっ……それって、虐めということですか?」


「うむ……そういう事になるのかもしれぬな。……儂が畏怖の念を抱いていた5階に、日記を隠して来たと言われた時にはとても焦ったものじゃ」


 そう言うと困ったようにジョアシャンは笑った。

 

「5階に隠された事よりも、中身を見られたのではないじゃろうか、とねぇ」


「……っふふ」


 クリスティーナは堪えきれず、思わず笑いを零してしまった。


「仕方ないじゃろう。誰にだって見られたくない物の一つや二つあるのじゃ」


「……っ申し訳ありません。ふふっ、その、悪い意味ではなく、可愛らしく感じてしまって……」

 

 クリスティーナは止められない笑いを抑える事に必死になりつつ、弁解の言葉を述べた。


「わかっておる」


 少し拗ねたような表情を見せながらも、ジョアシャンは話を戻した。


「日記は大事だったのじゃが、どうしても5階に行く気にはなれなくてのう……」



「――それで今まで5階にある、ってことなんだね」


 確かめるように、ヴィクトルがそう言うと、クリスティーナは頷き、付け足した。


「まあ、師匠が聖境司を引退してから30年が経っているのだから、もう5階には無いかもしれないけれど」


「そうだね。でも、行くんだ?」


「それは……師匠のためだし」


 気まずそうに視線を前に戻したクリスティーナに、ヴィクトルはふうん、と呟いた。



「……師匠、それはどういう事ですか」


 クリスティーナが図書館に行っている頃、リシュアンはジョアシャンの家を訪ね、対面していた。


「そのままじゃよ。クリスはその身に()()()()宿()()()()()のじゃ」


「……!――どうしてそう思うのですか」


「それはのう、クリスからは女神様の清らかで惚れ惚れする様な美しい神聖力を感じるからじゃ」


(……どういう事だ。何故この事を師匠が知っている。……取り敢えず知らない振りをしておくか)


「信じられぬか」


 ジョアシャンは無言で考え込むリシュアンに、ニヤリと笑いながら口を開いた。


「それは……。クリスは聖女ではありますがそれ程の力を持っていないでしょう?」


 リシュアンのその言葉に、ジョアシャンは意味深長に微笑んだ。


(何が言いたいんだ……)


「果たしてそれは()()姿()なのじゃろうか?」


「!それは……クリスが力を抑えているという事ですか」


「そうじゃな」


 憶測の域を出ないリシュアンの言葉に、ジョアシャンは容易く同意を示した。


「……!仮にそうだったとして……師匠はずっとそう思っていたのですか」


「ああ。ずっと――クリスを弟子に取った時からのう」


 息を呑むリシュアンに、冷たい目をしたジョアシャンは今まで明かした事の無い本音を暴露した。 


「そうでも無ければ儂がクリスを()()()()()()()()()()()()じゃろう」

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