表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/84

25.どちらの手を?

乙女ゲーム的な場面をかいてしまいました(笑)

……サブタイトルは少しふざけました。

「着いたわ!」


 馬車が完全に止まる前に、思わずといった様子でクリスティーナは声を上げた。


 そんなクリスティーナの明るい声に、眠っていたヴィクトルは目覚めた。


「ん……。!わぁ。長閑な所だね」


「そうでしょう」


 クリスティーナは得意げに胸を反らす。


 実はあれからまた馬車には静けさが戻っていた。リシュアンが恥ずかしがって顔を背け、会話を拒んだからなのだが……。


「久しぶりに来たが、変わってないな」


 当の本人はすっかりいつもの調子になっていた。


「ええ。早く師匠に会いたいわ!」


 顔を明るくするクリスティーナに、ヴィクトルとリシュアンは穏やかな笑みを浮かべた。


「それじゃあ、降りようか」


 馬車が止まった頃、ヴィクトルがそう言った。

 

 まず、リシュアンが、クリスティーナから見て左側の扉を開け、馬車を降りた。ヴィクトルはそれに続こうとして……。何を思ったのか、自分に近い、右側の扉を開けた。

 クリスティーナはヴィクトルと同時に左側の扉から降りようとしたのだが――。


「お姫様。お手をどうぞ」


 右側の扉から降りたヴィクトルがまだ馬車に居たクリスティーナに向けて手を差し出した。


「クリス。ヴィクトルに構うな」


 クリスティーナが戸惑っていると、今度は左側の扉から降りたリシュアンが手を差し伸べた。


「えっと……」


(どちらを選べと!?)


 突如振りまく、2人の輝かしい雰囲気に、クリスティーナはわかりやすく焦りを顔に出す。


「リシュアン?ちょっと黙ってよね。こういうのは兄妹でやることじゃないでしょ?――ねえ?」


(私に同意を求められても困る……)


「そっちこそ黙れ。お前と違って俺はクリスと過ごせる時間が無いんだから。――なあ?」


(お兄様まで私に同意を求めないで……)


「そ、その……気持ちは嬉しいけど、早く降りたいから……2人共、遠慮しておくわ」


 2人の顔色を窺いながらクリスティーナはそう言った。


(これで大丈夫)


 ――とは、ならなかった。


「いや、だから早く僕の手を取ればいいじゃん」


「逆だろ」


 クリスティーナを挟み、リシュアンとヴィクトルは火花を散らす。


(どうしよう……)


 ――膠着状態を唐突に終わらせたのは、朗らかな老人の声だった。


「はっはっはっ。リシュアンも変わらぬのう」


「!師匠」


 クリスティーナは焦りを忘れ、顔一杯に喜びを表す。


「クリス、久しぶりじゃな」


 現れた老人はそう、クリスティーナとリシュアンの師匠、ジョアシャンであった。


「すっかり大人になったと思っておったが、そんな事もないようだな」


「……」


 ジョアシャンは、視線を反らすリシュアンを見ながら笑いかける。


「――ジョアシャン殿、はじめまして。聖境司のヴィクトルと申します」


「ほお。君が、かのヴィクトルか。魔術師としての腕は聞いておる」


「それは、光栄です」


 ヴィクトルは微笑(ビジネススマイル)を浮かべる。


「――それより、クリスを馬車から出させてあげなさい」


「……わかりました」  


「まあ、そういうことなら諦めるしかないか。――ということで、勝負はお預けだよ?」


「わかってる」


(本人の目の前でわざわざ話さないでよ……)


「ほっほっほ。面白い事をしとるのう」


「師匠まで……」


 クリスティーナは普段から幼い青年と、偶に幼くなる兄、そして、茶目っ気のある師匠を見て溜め息をついた。

今週は2話しか更新できなかったので、来週はもう少し更新したい……です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ