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24.馬車の中で

1話しか更新出来ませんでした(汗)


午後10時頃にもう一度更新します。

 朝日が優しく街を照らす頃、クリスティーナは馬車に乗っていた。


 ……兄とヴィクトルに囲まれて。

 


 事の発端は2週間程前まで遡る。

 図書館から帰ってから数日が過ぎ、クリスティーナは思い出したのだ。――図書館で見た素晴らしい書物の事を、師匠に報告していない事に。


 忘れないうちに師匠に会いに行こうとしたクリスティーナだったが、リシュアンとヴィクトルも付いていくと言い出すので、日程を合わせていたら、2週間が経過していた。

 

 クリスティーナと同じくジョアシャンの弟子であるリシュアンならわかるが、ヴィクトルには付いてくる理由など無いため、何がしたいのかはわからない。


 だが、1つ考えられるのは。


 ――クリスティーナは、ヴィクトルの自分に対する態度が、図書館に行く前と比べて変わっている事を何となく感じ取っていた。


(……あれから過保護になったというか)


 以前よりクリスティーナと過ごす時間が増え、いつもクリスティーナの事を気に掛けるようになったのだ。

 それを考えれば、クリスティーナの行動に合わせて動くのは妥当といえるが。


(……でも、私の事を想ってくれるのなら……この空気をどうにかしてほしいわ……)


 馬車に明るい光を採り入れている小さな窓から見える景色はとても穏やかだが、馬車の中には口を開く事も躊躇われる様な沈黙が満ちていた。

 

(……お兄様とヴィクトルって仲が良いのかわからないのよね)


 クリスティーナは馬車内の沈黙の原因の半分以上を占める、自分の右隣と正面に座っている青年2人ををそっと盗み見て、そんな事を考える。


 ……ちなみに言うと、ヴィクトルが隣で、リシュアンが正面に座っている。


 自宅にてヴィクトルをよく見かけるクリスティーナだが、未だにヴィクトルとの関係を知らない。歳は、今年で24になるリシュアンと大差なさそうだが、友人と言える程親しい間柄には見えない。


「?どうかしたの?」


 盗み見ていた事に気づかれたのか、隣に座るヴィクトルがクリスティーナに声を掛けた。


「あっ……その、ヴィクトルって何歳なのかなって……」


 嘘は言ってない。常々不思議に思っている事だ。

 有能と呼ばれるくらいなのだから、経験が豊富で――比例して年を重ねていると思うのだが、それに反して外見はとても若い。いや、甘い顔立ちを見れば、童顔と言えるだろう。


「僕?19歳だよ」


「!そうなのね」


 ……つまりは若くして成り上がったという事になるのだが。


(全然そんな感じはしないわね)


 少し失礼な事を考えていた。


 ……まあ、若いというより〝幼い〟が似合うのは事実な気がするが。


「珍しいね!クリスから僕のことを訊くだなんて。リシュアン、良いでしょ〜」


(……顔だけでなく中身も若かった(幼かった)わ……)


「……そうか」


 自慢気に話すヴィクトルにリシュアンは短く答えると、興味なさげに視線を窓に移した。


「あっれれ〜?クリスと距離が出来て寂しいって言ってたのは誰だっけ〜?」


 ヴィクトルによってあっさりと披露された衝撃事実に思わずクリスティーナは兄を凝視する。


(まさかそんな訳……って、え?……頬が赤い……本当なの!?)


「……そんな事実はない」


(ま、まあ……そうよね……)


 兄が自分との距離を気にしてくれた事を意外に思い、そして嬉しくも感じたが、事実ではないとわかり、クリスティーナは人知れず息をつく。

 そんなクリスティーナを知ってか……。


「……確かに、今の関係を物足りなく思ってはいるが」


「!?」


 ニヤニヤしているヴィクトルの注目を受けながらも、兄は恥じらいながらボソッとそう告げるのだった。

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