表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしの名前を知っていますか?  作者: 一粒 野麦
7/8

第7話

 わたしは逃げたくても動けないので、絶体絶命の大ピンチです。

 すると、その提案をたまたま一緒に聞いていたワンさんがあわてて、遠ぼえのように、「ワオワオーン、雑草さんに一大事が起こったぞ!助けに来てくれー」と、みなに大きな声で知らせてくれました。


 パタさんは小学校の花壇に居ました。

 運動会に合わせて咲き乱れている草花の間を飛びながら楽しんでいたら、ワンさんの大きな声が聞こえてきたのです。

 何かとても大変なことが起きたようなので、雑草さんをすぐに助けに行きたいのですが、飛んでいくと時間がかかると思い、ピュウさんに頼みました。


「ピュウさん、お休みのところすみません。

 雑草さんに一大事が起こっているようなのですが、風に乗せて連れていってはもらえませんか?」


「はい、ちょっと一休みしていたんですが、ワンさんのあわてた大きな声が聞こえたので、おどろいて起きました。もちろんOK。お安い御用です。」


 実はこの時、ピュウさんは、昔、同じような頼みを受けたことがあるのを思い出していました。雑草さんのお母さんからでした。

「ピュウさん、お願いがあります。ようやく実ったこのタネを、お庭ではなくて、おうちの塀の外側の、道に面したすき間に落としてもらえませんか?」


「もちろんOK。でも、お庭の方が広いし、おしっこや、車がはねた泥水をかけられたりしないから、過ごしやすくはないのかな?」

「有難うございます。おっしゃる通りなのですが…、お庭だと、雑草は草むしりされてしまうことが多いので危ないのです。すき間で咲く方が、きっとこのタネにとっては幸せなはずです。」


 そんな頼みを受けたことがあったのです。


 ピュウさんとしては、その時は、ほんのちょっとの移動だけだし、すき間に落ちるようにもしなければならないと、やわらかく口笛を吹くようなつもりで、ふっと吹いて、見事にタネを願い通りに落としたのですが、今回は息を深く吸いこんで、これでもかとばかりに思い切り吹いて、風を起こしました。

 その風に乗って、あっという間におうちに着いたパタさんが、ひらひらと舞いながら、わたしに話しかけてくれました。


「何が起こったんですか?ピュウさんに助けてもらって、大急ぎで来ました。」

「あっ、パタさん。早速来てくれたのですね。有難うございます。


 実は、おうちの子供たちが、わたしたち雑草を引き抜こうとしているんです。」

 それは一大事と、パタさんが一計を案じて、わたしのところに舞い降りてくれました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ