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わたしの名前を知っていますか?  作者: 一粒 野麦
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第6話

 翌日の日曜日、朝のにぎわいが、なかなか始まりませんでした。

 新聞配達の人たちは、いつものように早起きでしたが、ワンさんが、いつまでたっても来ません。

 めったにないことなので、「どうしたのかな?」と思っていたら、珍しいことに、やせっぽさんを引っ張るようにして、ワンさんがようやく向こうの方からやってきました。


「ワンさん、おはようございます。」

「ウー、おはよう、雑草さん。ようやく散歩に来れて嬉しいよ。」


「ねぼうしたのですか?」

「うん、やせっぽさんが、ねぼうしたのさ。

 昨日の玉入れで、やせっぽさんは、腰が痛むことがあるおばあさんが少しでも楽に多くの玉を入れられるようにと、地面をしゃがみながら動き回って、玉を次々と拾って…ここだけの話、背がすらりとしているので、自分でも入れて!という声もあったけど(笑)…おばあさんに渡したんだ。

 変な姿勢を続けて身体が痛いうえに、疲れもあって、起きられなかったようなのさ。」


「あら、それは大変でしたね。それなら、散歩はふとっちょさんに代わってもらえばよかったですね。」

「ウー、そう思って、散歩に行きたい気持ちを分かってもらえるように外を歩きたそうにして、しっぽを振ってkってみたんだ。

 でも、ふとっちょさんは、大玉転がしに出て、おじいさんと二人一組で素早くスタートしたまではよかったんだけど、途中で、おじいさんが張り切り過ぎてつまづきそうになり、それを後ろから支えた時にバランスをくずして、自分だけ大玉と一緒にコロコロと転がってしまい…ここだけの話、ふとっちょさんと大玉との見分けがつかないという声もあったけど(笑)…、身体じゅう痛くて、散歩に出れないんだとさ。」


 そんな話しをしていたら、おうちの子供たち2人がお庭から出てきました。

 それぞれがほうきを持って、せっせと玄関の前を掃いています。

 それを見かけたやせっぽさんが、2人に話しかけました。


「かりんちゃん、やしとちゃん、おはよう。昨日の運動会では、2人とも大活躍だったわね。」

「おばさん、おはようございます。昨日は応援していただき有難うございました!」


「朝から、お庭そうじ?えらいわね。」

「はい、昨日の運動会でお弁当を広げた時に、花壇がとてもきれいだったので、『うちのお庭もきれいにしよう』と思って、2人で始めました。」


「それは楽しみね、がんばってね」と言って、やせっぽさんがワンさんに引っ張られて去っていこうとした時に、かりんちゃんが、ふと思いついたように提案しました。

「やしとちゃん、ほうきで掃くだけじゃなくて、おうちの雑草を全部抜いちゃおうか?」


 わたしにとっては、まさかの急展開です。

 みんなが楽しんだ運動会の次の日に、こんなにこわいことになるなんて…。

 胸がどきどきしてきました。 


 もし、あなたがわたしだったら、こういう時にどうしますか?

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