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わたしの名前を知っていますか?  作者: 一粒 野麦
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第4話

 お食事中ということで、少し待ってから、せっかくなので、聞いてみました。


「そういえば、運動会でワンさんを見かけませんでしたか?」

「あー、ワンさん、1度見かけました。子供たちが大盛り上がりしていたかけっこの時だったんですが、何かとても落ち着かないようでした。

 ふとっちょさんに抱きかかえられていたのですが、地面を走り回りたそうに足を動かしながら『ウー、ウー』とうなっていて、やせっぽさんに慰めるようになでられてました。」


「ワンさんは、今朝の散歩で、かけっこにあまり興味がないように話していましたが、やっぱり、ほんとは走りたいのに我慢していたのですね(笑)。子供たちは、かけっこ以外も楽しんでましたか?」


「はい、とても楽しそうでした。学年ごとのお遊戯もそれぞれ素敵でしたよ。音楽に合わせて手をつなぎながら輪のようになったり、両手に小旗を持って全員で回したり…、色々な場面場面がとても見事でした。

 音楽が終わると同時に、子供たちが『決めのポーズ』をするんですが、流行りのプロモーションビデオを見ているみたいで、とても格好良かったです。」


「素敵でしょうね。聞いているだけでワクワクします。それにしても、子供たちも、出ている時はもちろんですが、見ている時も興奮したでしょうね。」


「見ている時もノリノリでした(笑)。自分の組やお友達が登場した時に、身を乗り出して応援するのに加えて、大玉転がしや玉入れなど、大人たちが参加するプログラムがあったんですけど、子供たちは自分たちの仲間が出たように大声援を送ってました。」


「運動会を楽しみにしていた地域の人たちも含めて、みんなで楽しんでいるんですね。」


「そういえば、ここのおうちの子供たち2人もがんばってましたよ。

 かりんちゃんは、つな引きで大活躍していました。どちらの組が勝ってもおかしくないほどの引っ張り合いだったんですが、それでも少し引きずられそうになった組の上を飛んでたら、かりんちゃんがひときわ大きな声で『オーエス、オーエス』と、組のみんなを元気づけながら、ちょっとでも後ずさりしようと、つなを引いていたので、そのお顔の真上を飛んで羽をパタパタさせて応援しました。

 やしとちゃんは、お遊戯をみんなと一緒になって最後までとても上手に踊ることができたので、決めのポーズの時に、その帽子の上に止まってあげました。

 審査員からのごほうびのようなつもりでした(笑)。」


「2人とも、ここのところ、おうちでも、つな引きをしたりお遊戯を練習したりして、張り切ってましたからね(笑)。努力は裏切らないですね。」


 色々と教えてもらっているうちに、パタさんも鬼ごっこの疲れをいやすことができ、花の蜜も十分に吸えたみたいです。


「おかげさまで、ゆっくりできました。今、すごい歓声が続いて聞こえていますが、最後を締めくくる対抗リレーでしょうか?そろそろ終わる気がするので、小学校の方に戻りますね。運動会に合わせたように花壇が咲き乱れてているので、明日からも楽しみです。」 


 羽をひらひらさせて去って行きました。

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