ちゃんと知ろうとしたらそこは迷宮だった 1話
自作パソコンへのモチベーション維持を兼ねていたりします。
202X年 某月某日
その日、一人の実業家の死がTVなどのメディアを通じて告知された。
時代の寵児とか産業界の雄などといわれ、関わった事業は100近くにもなり彼を現代の渋沢栄一という人もいる。
そして伝統文化に私財を投じて保護をするという活躍し、私設の美術館を所有。
彼に恩義を感じている人たちが次々とメディアの前でお悔やみの言葉を口にしていた。
そんな人物が亡くなったのだから、遺族や関係会社の株価は世間で注目の的だった。
ところが数日後、その実業家に関する怪情報がインターネット上を駆け巡ったのである。
それは『我の大事な財産を継ぐのは、勇者の伝言を持ってきた者である』という遺言状。
情報源は遺族の一人だった。
では『大事な財産』とは何か。
相手がもう亡くなっているので、誰も詳しい説明を聞くことができない。
遺言状の執行人である弁護士も文章の内容を本人に聞いたのだが、笑って「金のようなものではないから」と答えたという。
もともと財産分与などは法律の範囲内で正当に行われており、遺族が不満をもらしたところで単に内輪もめで終了となる。
何しろ亡くなった実業家の言う『大事な財産』が何なのかすら、彼らは分かっていなかったのだ。
だから『勇者』の伝言が格言の類なのか、実は隠し財産のようなものを託した銀行の隠し金庫の番号なのか
想像の領域は出ない。だが忘れたり無視も出来ないというジレンマに陥ったのである。
ただ、勇者とは何を意味するのかという事に関して、問題の実業家は3つのネットゲームをやっていたという。
ということで遺族側や会社関係の人たちが協力して、それをヒントに謎を解き明かしたものには謝礼をすると発表。
一時、その3つのゲームをダウンロードする人間が急増して、サーバーがサーバーがダウンしそうになったらしい。
しかし三つとも『勇者』が登場するようなゲームではなく、関係があるのか無いのか不明なゲームまでプレイヤーが増えたということだった。