優しいコックさん
ずっと料理を作っている。
指を動かすたびに、料理の調理方法が頭に自然と一体になるように、浮かんでいる。肩や腰を動かすと、食材の声が聞こえた。「美味しく作ってくれ」って。
だから、コックさんはウインクをしてあげる。(もちろんだよ)って。
あっという間に、料理が出来た。
小さい女の子のところまで、料理を運ぶ。配膳の仕事も日によって、手が空いていればするのだ。
女の子は目を輝かせて料理に興味を持ってくれた。コックさんへ、ニッコリと笑う。コックさんは微笑んで、あの子にあいそうなデザートを考えるのだった。
一期一会。こういう出会いが、料理を美味しく作らせてくれる。コックさんは、ワクワクしていた。
終
真摯で優しいコックさんは、世界中に、きっといっぱいいるよ。