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第1話 大迷宮からは逃げられない

遅れてすいません。

でも私からしたら早い方です。


書くことがなかった……というより書くことが思いつかなかったので意識覚醒直後の描写は丸々カットしました。覚醒直後の描写に詰まって更新できず、これ以上待たせるならもうカットしてしまえと思いまして。

前話(幕間)でちょっとだけ描写したから許してくれるよね?



 ずしん、と重い足音と共に巨大な恐竜の様な化け物が通路を歩く。

 大通りを我が物顔で闊歩するその化け物の後ろ、網目の様に広がる迷宮の小通路へと続く道の影で、息を殺して化け物から身を隠す一人の少女が居た。


 「……はぁ」


 やがて、化け物が見えなくなると、少女はため息を吐き、崩れ落ちる。無理もない。迷宮の出口を目指して大通りへと向かう事4日。やっとのことで中央通りに辿り着くと、そこは大型の高位魔獣が闊歩する魔境であったのだから。


 「環境がいいところは大体罠があるし、出口の近くはレベルが跳ね上がる。……良い場所は強いヤツが先に縄張りにしてる感じか」


 この4日間、色々な所を見たが、寝床に最適な場所は大型の蜘蛛などの化け物が罠を張り、寝床にしていた。

 中央に近づく度に化け物のレベルが上がるのも、化け物が先に縄張りにしているからだろう。

 少女が強ければ、化け物を倒し、縄張りを奪って生活する事も、出口に向かって脱出する事もできただろうが、悲しい事に彼女の力はここまでこれただけでも奇跡な程に酷くか弱い。


 「弱いヤツは大人しく迷宮の隅にでもすっこんでろって事ね」


 やぁ、みんなオレだよ。ハクさんですよ。

 外見は大分変わったけど、頑張って生きてます。ぶっちゃけると死んだけど、今は生きてるが正しい。

 あの後、何故か死んでもオレの意識は無くならなかった。徐々に薄弱になってはいたが、意識を保っていたんだ。

 それは死体……何もできず、何も見えず、何も思えない存在に精神だけ取り残されたようなもの。発狂したくてもできない中で、声が聞こえたのだ。

 その声は何か言っていたが、まぁ、耳や脳が機能してたか怪しいのであんまり内容は覚えてない。

 しかし、その声を聞いた時、不思議なことにあれだけしつこく残っていた意識が途切れた。そして、意識が再度浮上し、気がついた時には、何故か見知らぬ少女の身体に憑依していたという訳です。


 これは女神様が余計な気を利かせて美少女にしてくれたのか、謎の主人公パワーでホントに復活しちゃったのか、オレの意識を別の人間に移し替える悪魔的な非道実験の結果なのか、色々考えてもわからなかったが、一つ分かる事はオレの現在地が化け物が大量に闊歩する明らかな危険地帯な事と、ここから出られなければ命は無いという事。


 そう理解してから最低限の準備を整えて出口に向かっていたのだが……4日かけて出口に繋がる中央通りに来てみたらそこは化け物の縄張りだったという訳である。


 「中央まで歩いて見た感じ殆ど坂道だったし、もしかして地下なのだろうか……」


 だとしたら、この身体の持ち主は地上から棄てられたのかも知れない。オレが起きたのは地上にまで繋がってそうな大きな縦穴の底だったからだ。残念ながら縦穴から外に出るには飛行手段が必要な位には高く、壁も縦穴と言うだけあって足場は無かった。仕方なくそこから離れて、中央に向けて歩いていったのだ。

 ちなみに中央とか位置情報が何でわかるのかというと、大量の人骨らしきものが散乱するその縦穴の中に死人の持ち物と思しき地図があったからだ。


 「現在位置は……やっぱりか」


 これまた人骨の近くにあったボロボロのポーチから件の地図と割れた方位磁石を取り出す。確かめたい事があったのだ。

 地図は基本的にボロボロで読み取れない部分も多いが、右上の端っこに「第一層」と書かれており、中央に進むにつれてバツ印が多くなっていたのは読み取れた。オレは宝でもあるのかと出口を目指すついでに通りがかるルートを通ったが、この分だと、どうやらそれらは地図の持ち主が確認できる限りの危険生物の縄張りだと見ていいだろう。

 実際に地図を見てみたが今オレがいる場所は丁度バツ印の位置だった。といっても寝床に罠を張っていた大蜘蛛が居た位置にはバツ印が無かったので、地図の持ち主が来たときは居なかったのか、それとも地図の持ち主に取って大蜘蛛は驚異では無かったか……。

 どっちにしろ地図は助かるが、バツ印はあまりアテにしないようにしよう。おそらくオレより強いだろう地図の持ち主が避けた以上オレにとって印がある所は例外なく危険だが、印の無い所にもオレにとっては驚異のヤツが居るかも知れないからな。


 「これは、暫くは迷宮の隅で食いつなぐしか無いか……」


 危険を避けるならそれしかないだろう。

 いつか脱出できる日が来ると信じるしかない。そうなると、問題は食事だ。飲めるかはわからないが、迷宮の隅の辺りには湧き水もあった。出口を確認するのが先であまり詳しく調べて無かったが、あの近くに湖でもあれば、もしかしたら食事については、魚とか捕まえたりすれば何とかなるもしれない。

 最悪無かったら弱い化け物を狙って食料にするしかないが、例え湖が無くとも湧き水があるだけ救いだな。


 「戻るか……暫く中央には近づかない方が良さそうだ」


 決定事項を口にして、改めて覚悟を決める。……そう、覚悟だ。助けはアテにできない、未来も不透明で不安定な中で、一人だけでこの迷宮を生き抜く覚悟。

 きっと想像もつかない痛みを伴う。肉体的にも精神的にも。でも、生きる為に。生きて、ソウスケに無事を伝える為に。


 オレは、少し早足で今までの道を引き返していった。

 それはただ化け物から逃げているようにも見えただろうが、きっとオレが逃げていたのはもっと別のものだったのだろう。


 ………不安は消える事はない。この世界に来た時から、ずっと。



何も進んでないけど、迷宮編は大体こんなもん。サバイバル描写とかできる限り頑張るつもりだけど、あんまり期待しないほうが良いと思います。

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