出会い系お嬢様に狙われた男
息抜きで書いたものです。
とっさに思いついて勢いで書いたので、拙い点も多いですがご容赦ください。
俺はお嬢様のボディガードだ。
常にサングラスと黒スーツを身につけ、いつでもどこでもお嬢様のそばに立ち、不審な輩が近づけば、あらゆる手段をもって対処する。最悪の場合、殺すこともやむを得ない。
そんな俺が日々お守りしているお嬢様は……出会い系サイトにハマっている。
どうやら恋がしたい年ごろらしい。
だからといって、出会い系で男を探すのはどうかと思うのだが……
しかも、少しでも気になる男がいた場合、俺たちにその男を誘拐させるのだ。男のどこに引かれたのか、それはお嬢様の気まぐれで決まることも多く、俺たちにはまったく理解できない領域だ。
そして今日も、また一人……屋敷に招かれた、いや……拉致された男がいた。
「……な、なんだ? ここ……」
「ようこそいらっしゃいました! ここはわたくしのお屋敷ですわ」
「や、屋敷? たしか俺、バイトの帰りに黒い男たちに捕まって……」
「あら、わたくしのお付きの者が失礼しました。……わたくし、溝隠ルリと申します。あなたは?」
「…………」
「ふふ、そう緊張なさらないで。それとも、わたくしの話し方が気になる?」
「いや……暁カリンだ」
「カリンさん……素敵なお名前ですね」
「どうも」
「あら、カリンさん。そのペンダント……とてもきれいな石ですわね」
「ああ、これ……父さんからもらったんだ。この石、スーパーセブンっていうらしいよ。いろんな原石が混ざり合った水晶で、とにかくいろんなご利益があるんだってさ」
「まぁ、なんて素敵なんでしょう……この距離でも、吸い込まれそうになるわ。これほどのパワーストーンは、わたくしでも初めてです」
「お気に召されたようで」
「決めましたわ。わたくし、あなたと結婚します!」
「は、えっ、はぁ!?」
「承諾していただけますか?」
「いきなりそんなこと言われても……っていうか、結婚できる年なのかよ」
「この間16歳になりましたわ」
「あーそうかい……というかよ、勝手に人を連れ去っておいて、どうでもいい話して、いきなり結婚かよ。そんな常識外れな奴なんて、俺はごめんだぜ」
「そ、そんな……では、承諾していただけないと?」
「ルリちゃん、だっけ。どうせこの石が欲しいだけなんだろ? あんなあからさまな態度されちゃあ、こっちも冷めるわ」
「あら、そんな風に見られていたのですね……それは大変失礼しました。では、カリンさん、貴重なお時間をいただきありがとうございました。さびしいですが……いまお迎えをお呼びしますわ」
「はぁ。それはどうも」
「では、後ろの扉からお帰りください。どうか、お気をつけて」
「…………」
カリンが背中を向けた、その瞬間だった。
部屋中に、1発の大きな銃声が響き渡った。
「……え……」
カリンは体のバランスを崩し、床に倒れた。
カリンの胸からは、湧き水のように血が溢れ、流れていた。
「本当に、これでよかったのですね? お嬢様」
「仕方ないからペンダントだけもらってあげるわ。あとアレ、早く片付けてちょうだいね。血の臭いが染みついたら嫌ですもの」
「承知いたしました」
「さて……さっそく次の男を探しましょうか」
………………
――俺はお嬢様のボディガードだ。
常にサングラスと黒スーツを身につけ、いつでもどこでもお嬢様のそばに立ち、不審な輩が近づけば、あらゆる手段をもって対処する。
そんな俺が日々お守りしているお嬢様は……人殺しだ。
恋がしたい年ごろらしいが、彼女は恋愛というものを全く理解していない。
いや、恋愛とかそれ以前に、人としてどうかしている。
これまでに、いったい何人の男を俺たちに始末させてきたのだろう……新入りの俺には分からない。
そして今日も、また一人……
***
この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。