俺と修行(?)
とりあえず今の俺では天地がひっくり返ってもエリーに叶いそうにないので、とりあえず従うしかないと判断して2人で旅をすることを決めたのだが…
こいつが思ったよりスパルタで、そして思った以上にポンコツだった。
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「とりあえず私のAとBを35にしておくよ!それで私と1時間くらい殴り合おうか!」
「…はい?」
急になんか脳筋みたいなこと言い出したぞこいつ。
「強くなりたいなら実戦あるのみだよ!筋トレしたって仕方ないし、そこまで戦力の離れていない格上と戦うのは大事だって聞いたことあるし!」
「いやまぁ理解できなくはないが…。1時間も戦うのか?」
「まぁ私も誰かを鍛えたことがあるわけでもないし、とりあえずやってみるっていう精神が大事だと思うよ!」
ほんとに1時間戦う羽目になった。エリーは格闘技の経験等があるわけではないようで、泥仕合になった。そのままの意味で泥まみれだったが…。
「くっ…男として女に腕力で負けたくはなかったわ…」
「あ、そこ気にするんだ。一応性差で物理と魔法の鍛えやすさは違うみたいなんだけど、ステータスの値はほぼ絶対だからね。相手の方が高ければそのまま相手の方がその力が強いってことだよ」
てことは俺より少し強いステータスのエリーには勝てないってことじゃないのかそれ。
「んー、今の現状で言うとレイのAが26で私のBが35でしょ?確かに私の防御力の方が高いけど、それは別に攻撃が効かないっていうわけではないよ」
「まぁその差によって多少効きづらくはなるけどね。ある程度目安がつくってぐらいの感覚でいいと思うよ」
つまり格上にも勝てる可能性はあるというわけだな、鍛えれば鍛えるほど良いことに変わりはないと思うが。
「泥だらけのままじゃ気持ち悪いしとりあえず綺麗にしちゃおっかねー」
言いながらエリーは空中にかなりデカめの水球を作り出し、そこからシャワーみたいにして浴び始めた…っていうか俺の目の前でビショビショになってるが気にしないんだろうかこいつ。服がくっついて眼福です。
「レイもどーぞ!」
そう言って俺に水を向けたところで俺の意識は暗転した。
ーーーーー
「あっ…私の創った水もちゃんと魔法判定なのね…」
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……?なんで寝てたんだ俺?なんだか良い物を見た気がするんだが思い出せない。
「レイごめんね〜!私の魔法が強すぎて気絶させちゃった!レイのD低いから耐えられなかったみたいで…」
「害するつもりないって言ったのに気絶させちゃってほんとごめんなさい…」
「…まぁ不慮の事故みたいなもんだから気にしなくて良い。なんか気分は悪くないしな」
言った通りそこそこ気分は悪くない。とはいえ気絶するのはごめんだが。
「目的はこれで鍛えられてるかどうかだから、とりあえず俺のステータスを見ようか」
「そだね〜。伸びてなかったらあの泥仕合は無駄だったってことだもんね」
「…。すごく見たくなくなったんだが」
まぁ見るしかないので見るが。
レイ
A:26
B:35
C:11
D:157
S:1100
スキル
なし
「……」
「こ、これはまさか…」
突っ込みどころしかない。泥仕合した挙句Bが1しか増えていないのに、なぜかDがバグみたいな上がり方をしている。
「…つまり近い戦力で戦っても仕方ないみたいだね!耐えられるかどうか次第でBとDは大きく伸ばせそうだね!」
「とはいえあんまり一気に上げると怖いからある程度加減はしようか!大丈夫、私はステータスいじれるからね!」
こいつ、楽に上がるからって俺のこと何度も気絶させる気か!?
下手すると半殺し、いや全殺しもありえるぞ!!!
「害する気はないってのはどこに行ったんですかね!?!?」
「だって1時間も戦ってこれだよ!?めんどくさすぎるじゃん!大丈夫絶対死なせはしないから!」
「死なないだけだろそれぇぇぇぇぇ!!!」
冗談じゃないぞまじで!
「じゃあ選ばせてあげる。私は風火水土の属性を使えるんだけど…」
「火でジワジワ炙られるのと、風で吹き飛んだり貫かれるのと、土で埋められたり圧し潰されたりするのと、水を浴びるのどれがいい?」
それ選択肢になってないし実質水一択!!
「とりあえずこれで楽(?)にDを上げられることは分かったから、Bも同じように私が大きめのAで殴ればいいってことかな?」
そう呟いたエリーは、俺にはまるで死神のようにも見えた。
レイ D:9
エリイ C:157
生きてて(?)よかったな、レイ。