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弟子は魔王  作者: 鉄火市
第6章 校内戦編
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28話 校内戦の予選5


 カトレアが放った言葉は、俺に衝撃をもたらした。

「ど……どういうことだ?」

「どうか落ち着いて聞いてください。そもそも氷獄門は、人間界と魔界をつなぐゲートのようなものです。ディザイアが旦那様達を襲ったあの日、それを起動した時と同じ感覚を肌で感じました。……ただ、最初は幻聴のようなものかと思ったのですが、お嬢様が夏期休暇に入られた辺りでも一度感じたため、未だに見つからないとなると、可能性は高いかと……」

「もっと早く……いや、なんでもない。ということは、ディザイアの撃退に成功したということか?」

 あの戦いで、俺達がディザイアの予想を上回る強さを見せたことで、ディザイアがこの世界に侵攻するという考えを変えるかもしれない。

 なにせこっちには、化け物じみた実力者がかなりいる。

 しかも、俺が知っている中で、俺より強い人がユリウス以外に最低二人。

 しかも、拮抗なんてものじゃない。

 おそらく今の俺が挑んだところで百回中百回やられる程の化け物が二人いる。

 今回の注意喚起でその二人も戦いが起これば協力すると、カムイ学園長経由で伝えられている。

 おそらく、あの二人なら、ディザイアを簡単に潰すと思った。

 そういう考えがあって、カトレアにそう聞いたのだが、カトレアは首を横に振った。

「それはないかと……むしろ今回の件で力を蓄え、戦力を増やして改めて攻めてくる可能性が高いかと思われます。それから、トリと話してもう一つわかったことが……」

「なんだ?」

「以前学園内に現れた未知の魔物をお覚えですか?」

「当然だ。忘れられる訳がない」

 魔導フェスタの当日にフェンリルという名の部隊が攻めてきたあの日、近くで見ていたダレンという教師が見たことも無いような魔物になった。

 危うく、エリスとエリナの二人を殺されかけたが、エリスのお陰でなんとか二人を助けることができた。

 実際、あの魔物はかなり強い部類だった。当時は、カトレアとベルを越えていると本当に思っていた。


 カトレアは1枚の紙を取り出してきた。それはあの日の後に俺が書いてみせた絵だった。

 何か思い出したら教えてくれと、頑張って描いた絵だ。

「トリが言うには、その魔物は、魔界のムカデだと」

「本当か?」

 そう聞くと、今まで黙っていたトリが急に鳴き声を発し始めた。

(……そういえば、喋れないようにしたんだった……)

 その事を思いだした俺は、トリにかけていた魔法を一時的に無効化し、もう一度言うよう命令した。


「ええ、正確にはカトレアの姉さんが持っていた紙に描いてある魔物と同じ特徴のやつを見たことがあります。確かにあんなムカデはいないです。だが、ディザイアが乗っ取って操っていた魔物は人型になり、雑魚魔物でも魔人クラスになってました。この白豪ことトリも先代魔王様から御力をいただけてなかったら、今頃奴らの腹の中だったでしょう。ですが一番厄介な点は、そいつらをディザイアが操ったところです。奥方を庇った魔王様に襲ってきた魔物を倒している時に、魔王様がぼやいていたのを覚えております。魔王様はこう言っておられました。ディザイアめ……まさか意識のない魔物を自由自在に操ることができるとは……とあのときおっしゃっておられました」

「なるほど……つまり、次攻めてきた時は、その事を考慮して戦わないと、敗北する可能性が高いうえに、前回より強くなっている可能性が高いのか……わかった。二人ともその情報はうまく使わせてもらう。感謝するよ」

「いえ、ベルお嬢様が魔界を取り戻すためには、倒さねばならない相手です。旦那様の御力をお借り出来るのでしたら、我々に出来る精一杯のことを致しましょう。では我々はこれで失礼致します」


 カトレアは、部屋を出ようとドアノブに手をかけて外に向けて開けると、何かがドアにぶつかった。

 カトレアが慌てて扉の外を確認すると、そこにはおでこを押さえてしりもちをつくクレフィの姿があった。

「大丈夫ですか? クレフィさん」

「え……ええ。大丈夫です。ドアノブが額に当たっただけですので……扉に近すぎたようですね」

「申し訳ありません。私も気を付けるべきでした。では私は仕事に戻らせていただきます」

 カトレアはそう言って、仕事に戻っていった。


「……魔界とか魔王って何の話だろ……」

 カトレアと白い鳥の姿を見送りながら、クレフィはそう呟いた。


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