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弟子は魔王  作者: 鉄火市
第6章 校内戦編
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27話 校内戦の開幕2


「メガフレア!」

「サンダーボルト!」 

 試合開始の合図と共に放たれた二つの魔法は、中央位置で拮抗し、その込められた魔力を消費し終えるまでその仕事を全うしようと奮戦した。だが、お互いの魔法は相手に届くことはなかった。


 挨拶がわりに放たれた魔法で観客達は騒然となる。

 その威力は普通の人間では到底出すことができない高火力であるにも関わらず、魔法行使にかかる時間が異様に短い。

 しかも、無詠唱でありながら、その魔法を行使した二人は顔に笑みを刻むだけで疲労の色が全く見えなかった。


『いきなりとんでもない魔法ですね! マルクト教諭の放った炎属性の攻撃魔法、カトウ教諭が放った光属性の攻撃魔法! 共に無詠唱でありながら、中型の魔法とは思えないような高火力を誇っています!』

『魔法の展開はカトウ先生の方が速かったですね……ただ、発動速度に関してはマルクト先生の方が速すぎるため、同時に発動したように見えたのだと思います』

『なるほど……マルクト教諭が高等部で三年間最強の地位を守っていた技法。彼の天才的なセンスで相手の行使する魔法を瞬時に読み取り、反撃の魔法を同時に放つ方法でしたね。あれほどの魔法を相討ちにするほどの高火力! さすがは魔法の権威と呼ばれただけのことはありますね!』


(高火力ねぇ……マルクトのやつが本気で戦うと言ってきてこの程度の火力しか出さなかったのはどういう意図があるんだ?)

 魔法を撃ち合っていたカトウには先程からマルクトの攻撃がいやに弱く感じていた。

「おいおいこの程度で全力か~? それとも俺をなめてるとかか?」

「いやいや今いち感覚が取り戻せないだけだよ。もう少し魔法撃たせてもらえればすぐにでも望み通りにやってやるからさ」

 先程から目の前にいたマルクトがいきなり背後に現れてそんなことを言い始めた。

 転移魔法によって背後をとられた。

 その考えは簡単に導き出されたものの、カトウには対処する事も可能だった。しかし、先程から小型魔法をマルクトと撃ちあっており、カトウが気付いたのは、魔法をマルクトがいた場所に放った直後のことだった。

 すぐに蹴りを叩き込もうとするが、既に攻撃モーションに入っていたマルクトが対処の遅れたカトウに蹴りを叩き込み、カトウの体を蹴り飛ばす。


 砂塵が舞ったことで、カトウの姿が見えなくはなったものの問題は無かった。

 ルーンの使用を禁止したことにより、魔法の発動に影響が及ぶマルクトにとって、魔法を使用しての決着は反撃の余地があるため、近接戦闘のスタイルに切り替えたのだった。


 近接戦闘のスタイルに切り替えたマルクトは間合いに入るため、砂塵が舞う場所に突っ込もうとした。

 だが、入る直前で砂塵の中に、太陽の光に反射して光る糸があるのを見て、入るのを躊躇った。

 その瞬間、けたたましい発砲音が辺りに鳴り響き、小型の鋭い何かが飛んできた。

(くそっ、ルーン禁止でタイムラグが! 避けるしか……)

 結界を展開するのも間に合わず、回避行動に移ろうとしていたマルクトの左腕に着弾し、その痛みで小さく悲鳴を上げた。


 彼の着る白衣に赤い液体がにじみ始め、徐々に広がっていく。

 マルクトは回復と回避のために大きく下がる。

 その間にも何発か発砲音を響かせながら銃弾が飛んでくるものの、大きく下がったお陰で距離を取れ、避けることが可能になったため、当たったのは最初の一発のみだった。

 しかし、その痕跡も既に白衣についた赤い血痕と着弾の痕しか残っていない。

 マルクトにとってはこの程度の傷を治すのに十秒も必要無かったのである。


「そういえば……お前の戦闘を見るのはいつぶりだったかな~学園時代以来か~?」

「おかしいな~? ユリウスの城で戦った気がするんだが? 確かその場にアリスちゃんを抱きしめていたお前もいたはずなんだがな~?」

「うるせ~な~。見てなかったことはちゃんと謝ったじゃないか……まだ文句あんのか?」

「いいや~。ただ過去の俺とは少し違うと言いたいだけだよ」

 そう言いながら出てきたカトウの手には、二丁の銃が握られていた。

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