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鉄血神話  作者: ゆっくり猫大佐
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出立

おまたせいたしました。

「突然変異と見られる凶暴化、巨大化したウイングドラゴン?」


ギルド職員は半ば疑うような表情だったが、俺とマリシーの顔を見ると困惑したような顔つきになり、少々お待ちくださいと言って奥の扉へ入った。

恐らく上司ら辺にそのような事例があるか確かめに行ったのだろう。


事の顛末はというと、俺とマリシーはあの魔物から必死で逃れ、直ぐにギルドへと帰還した後、受付嬢に依頼された物を指定数納品して依頼を完了させ、すぐさまギルドの職員に報告を行ったのだった。


数分後、ガタンと音を立てて扉が開き、ギルド職員がでてきた。


「確認を取ったのですが、そのような魔物の出現は前例が無く、調査隊を直ぐに編成・派遣し、周囲の街や生態系に危害を及ぼす可能性があると判断した場合、討伐クエストに切り換える方針となりました。そこでなんですが、報告をして頂いたアレックス様とマリシー様にはこの調査隊に是非とも加わっていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」


マリシーはこちらをちらっと見てきた。

俺が頷くと、すぐに職員に向き直り、


「まぁ私たちが見つけたものだから仕方ないね。その調査隊に協力させてもらうよ。隊はいつ出る予定かい?」


と聞いた。


「報告の通りだとすればその魔物は危険であると思われるため、今日の昼過ぎには発つことになりました。物資や消耗品、食料のバックアップはこちらが致します」


ギルドが負担してくれるということか。

あの魔物からは不穏なオーラを感じたし、善は急げと言うものだろう。


「話は解った。俺とマリシーはすぐに準備を済ませてここに戻ってくる。出発前に隊員との挨拶を済ませておきたいんだが隊に伝えて貰えるか?」


「分かりました。そのように伝えておきます。隊員はこちらに集合させるので、30分後にこちらに来て下さい」


「分かった。何から何まですまないな」


俺とマリシーは職員に礼をいい、ギルドを出た。俺たちはギルドの前の道に出ている出店で軽い食事をとり、30分後に再びギルドへと赴いた。

先程の職員のいるカウンターに行くと、ギルドの二階へと上がる階段に案内された。

二階に上がり通された部屋には『第一会議室』と書かれていた。

中に入ると中には10人の男女がいた。


「おまたせいたしました。只今より変異ウイングドラゴンの調査に関する話と、調査隊員の顔合わせを始めさせていただきます」


というギルドの職員の言葉を合図に会議が始まった。


「まず今回の変異ウイングドラゴンの第一発見者である、アレックス様とマリシー様に対象と遭遇した経緯、周囲の状況、対象の特徴、通常種と異なる点などについてご説明していただこうと思います」


俺はマリシーに目で合図を送り、座っていた椅子から立ち上がると、会議室にいる冒険者達の視線が一斉に集まった。


「C級冒険者のアレックス=オブリソーコフだ。宜しく頼む。今回の変異ウイングドラゴンについて説明させてもらう」


冒険者たちは「C級」という単語に違和感を覚えた様子だったが、言及する素振りは見せなかったためそのまま話を続けた。


「今回の変異ウイングドラゴンと遭遇したのは、俺とマリシーが『ミラージュ・マッシュルーム』の採取依頼をこなす為にこの街の外に広がる平原へ行った時だ。俺らが平原に赴いた直後には奴の姿はどこにも無く、危険は無いと判断した。異変がおきたのは依頼された品を全て採取し、帰還しようとしていた時だ。突如としておぞましい程の殺気とオーラを感じ、何か強大な力を持つ者が迫っていると感じた瞬間に、ウイングドラゴンが目にも止まらぬ速さで目の前に降り立った。奴は何かに苦しみ、逃れようとしているかのように見えた。俺らに強力な攻撃を何度も加えてきたため、俺らは身を守ろうと反撃を試みたが、なにぶん動きが速いために攻撃が当てにくく、当たっても殆どダメージはない様子だったため、危険と判断し直ぐにギルドへ帰還した。これが遭遇した経緯だ。変異ウイングドラゴンの特徴としては、通常の個体に比べ、体長がおよそ2倍ほど大きいという事と、通常種より動きがかなり素早いということ、凶暴性が増し、激しく攻撃を加えてくるという点だ。現時点で判っている情報はこれだけだ」


そこまで説明すると、俺は自席へ座った。

皆、戸惑ったり驚きの表情を見せたりと、様々な反応だった。

すると、リーダーらしき男が手をパンと叩き、立ち上がった。

冒険者たちは、皆途端に静かになった。

立ち上がった男は、物憂げな表情をした美形の青年だった。


「細かく話をしてくれたこと、感謝致します。申し遅れましたが、私は今回編成された変異ウイングドラゴン調査隊の隊長を務めることとなったアレンという者です。お見知り置きを。今のアレックス様の話の内容ですが、そのウイングドラゴンの攻撃手段は通常種とは異なるものでしたか?」


アレンの言葉を受け、今度はマリシーが立ち上がった。


「S級冒険者のマリシーだ。通常種と攻撃の性質自体は同じものだったけど、威力が桁違いだったよ。特にブレス系の攻撃なんかは攻撃範囲も倍以上だし、飛翔能力は比較にならないくらい上がってる。対空戦に持ち込まれれば、ろくに戦えないことは間違いない」


マリシーは一気に話すと、自席へ座った。

アレンは少し考え込むようにしていたが、暫くして立ち上がった。


「そうなると……戦闘になった際の陣形、各々の役割を細かく決め、十分に対策しておく必要がありますね。前衛5人、後衛4人、遊撃は2人、この遊撃2人はアレックスさんとマリシーさんに担当して頂きましょう。援護や攻撃、戦闘の動きを見ながら臨機応変に対応して下さい。私は後衛の更に後ろから指示を出します。前衛は近接戦が得意な者、後衛は援護や回復が得意な者で組むこととします。そこで、軽く順番に挨拶して貰いたいのですがよろしいでしょうか?」


その後、9人の冒険者たちが順々に簡単な自己紹介をした。

全員AかもうすぐでAに到達するBクラスの優秀な冒険者で、剣士のゾルダ、クリフ、ギル、ルーカスの4人は前衛、魔術師のアーク、イアン、ディード、ルキア、エルムガルドの5人は後衛を担当することとなり、会議は解散、直ぐに出発することとなった。




5分後。


「これより、変異ウイングドラゴンの調査を始めます。まだ知り合ったばかりの人も多いと思いますが、お互いを信頼し、共に帰還しましょう!」


「「「おおおーっ!!」」」


ギルド内に集結した12名の調査隊は、士気も高く出立した。


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