本の重み
厚い本ってのはどうしてこんなに硬くて重たいんだろう。辞書なんかは、その例の一つだ。日記だって毎日書いていけば相当な重さになる。塵も積もればなんとやらだ。
その重さで誰か死ぬかもしれないなんて考えなかったのだろうか。
月詠栞は、図書室で図書委員の仕事をやらされていた。本来ならば、今は栞の友人とバフェを食べているはずだった。しかし、図書委員長である、筆先記と変に仲が良いため、図書館の隅の分厚い本の整理を任されてしまった。
「こんなとこ誰が来るんだよ。というか、うちの学校で、本借りる奴なんてほとんどいないんだろ。」
愚痴をこぼす栞の頭に鈍い音を立てて何かが衝突した。あまりの痛みに栞はしばらく声を出すことすらできなかった。
「いってぇ、もう今後一切委員長の命令聞かない。これなんだよ。何語で書かれてんだよ ん?。日記?いくらなんでも厚すぎるだろ。」
日記の落下の痛みと委員長に対する怒りで、日記の内容には興味が失せていた。
その瞬間、図書室は炎に包まれた。そして、日記以外の本は一瞬で灰になった。
「あー、それか。すごく探したんだよ。文字通り死ぬほどね。」
栞の後ろで突然声がした。女性と見間違うほどの美少年がそこにいた。
「え?」
栞は状況を飲み込めていない。
「ああ、大丈夫、君に要はないよ。」
少年が栞を指差した。太陽を思わせる巨大な火の玉が少年の上に作り出される。その炎は栞を襲う。その時、栞の手元にあった日記は刀へ変化し、火の玉を消滅させる。
「ま、まさか、あれの適正があったのか。やばいなぁ。まあ、今ならまだやれるかなっ!」
さっきの倍以上ある火の玉を作り出した。
「させないよぉー。」
火の玉は氷漬けになった。そこにいたのは委員長の筆先だった。
「筆先か、邪魔しないでくださいよ。」
「いやいや、それはこっちのセリフー。せっかくうまく栞ちゃんがdie-aryに適合したんだからー。」
筆先は万年筆で、何かを書く真似をした
「爆ぜろ。千変万化。」
凄まじい爆発が起こった。図書室は砕け散り、外から丸見えになった。そして、少年の姿は見えなくなっていた。
「いやぁー、大変だったね栞ちゃん。怪我はなーい?」
「な、何が起こってんだよ。あの日記は何なんだ、何が起きている、説明しろ‼」
「簡単に説明すると、君が見つけたのはただの日記じゃなくて、魔神王が残した日記が魔力を得たもの、die-aryって兵器なんだー。まあ、それは存在するだけで天災を呼び起こすからねー、あーゆー奴らもほしいんだろうねー。君はそれを扱う能力があるみたいだねー。」
「だからさ、きみ、魔道士になろうよー。」