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乙女ゲームの脇役が主人公に愛されて困ってます  作者: 天川鈴音
プロローグ
7/69

 膝の上でさらさらと流れる光沢のある綺麗な綺麗な黒髪。

 今は閉じてあるまぶたの奥には、透き通るような茶色の瞳がある。

 小さく開いたついついキスしたくなるような可愛らしい桃色の唇、薄く規則的に動く胸。

 みんなは小さいというけど、そんなところもアリスの魅力だと思う。


「ああ、何で、こんなに可愛いんだろう……?」

「みぅ……」


 んー!!

 軽く髪を撫でたら漏れる声も、全部可愛すぎる!

 ずっとずっと前から、探してたんだけどね。

 まさか、高校までかかるなんて、思ってもなかったよ。


「今までの分もいっぱいいーっぱい、愛してあげるからね。()()大好きなアリス……」


 ☆☆☆


「んん」

「あっ!起きた?アリス」


 まだ重いまぶたを開ければ目の前に美少女。

 頭の後ろには柔らかい感覚、いとおしそうに優しく撫でられている状況。

 まるで……


「天国ね」

「?……っ!だ、だいじょうぶ!?どこか頭ぶつけちゃった!?」


 何でそうなるのか全然わからないのだけど。

 まあ、鈴華だしね。

 空はもうオレンジ色に染まり始めていた。


「鈴華、今何時?」

「え?たぶん六時前くらいだと思うけど……」


 ちょい!?

 さっと少し崩れていた服装を正し、鈴華を立たせる。


「さあ、鈴華。急ぐよ!」

「?、なんで?」

「門しまるの六時でしょ?急がなきゃ」

「ああ、そっか。まだだったね」

「何が?っと、行くよ!」


 なんのことかは気になるけど、とりあえず荷物を持って鈴華の腕をとる。

 そして、門まで全力疾走。


「にやけた顔しないで早く走って!」


 ☆☆☆


「アリス~?だいじょーぶ?」

「いや……ムリ」


 もちろん体力のない私にそんなことできることなく、途中でバテた。

 途中までは私が引っ張ってたはずなんだけど……、気付いたら逆に引っ張られてた。


「と…、とりあえず……間に合った…、ふう」

「そうだね」

「それじゃ、バイバイ。鈴華」

「うん!バイバイ、アリスー!!」


 鈴華は見えなくなるまで手を振ってきていたので、それまで私も手を振っておいた。

 さて、私も寮に帰りますか。


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