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膝の上でさらさらと流れる光沢のある綺麗な綺麗な黒髪。
今は閉じてあるまぶたの奥には、透き通るような茶色の瞳がある。
小さく開いたついついキスしたくなるような可愛らしい桃色の唇、薄く規則的に動く胸。
みんなは小さいというけど、そんなところもアリスの魅力だと思う。
「ああ、何で、こんなに可愛いんだろう……?」
「みぅ……」
んー!!
軽く髪を撫でたら漏れる声も、全部可愛すぎる!
ずっとずっと前から、探してたんだけどね。
まさか、高校までかかるなんて、思ってもなかったよ。
「今までの分もいっぱいいーっぱい、愛してあげるからね。私の大好きなアリス……」
☆☆☆
「んん」
「あっ!起きた?アリス」
まだ重いまぶたを開ければ目の前に美少女。
頭の後ろには柔らかい感覚、いとおしそうに優しく撫でられている状況。
まるで……
「天国ね」
「?……っ!だ、だいじょうぶ!?どこか頭ぶつけちゃった!?」
何でそうなるのか全然わからないのだけど。
まあ、鈴華だしね。
空はもうオレンジ色に染まり始めていた。
「鈴華、今何時?」
「え?たぶん六時前くらいだと思うけど……」
ちょい!?
さっと少し崩れていた服装を正し、鈴華を立たせる。
「さあ、鈴華。急ぐよ!」
「?、なんで?」
「門しまるの六時でしょ?急がなきゃ」
「ああ、そっか。まだだったね」
「何が?っと、行くよ!」
なんのことかは気になるけど、とりあえず荷物を持って鈴華の腕をとる。
そして、門まで全力疾走。
「にやけた顔しないで早く走って!」
☆☆☆
「アリス~?だいじょーぶ?」
「いや……ムリ」
もちろん体力のない私にそんなことできることなく、途中でバテた。
途中までは私が引っ張ってたはずなんだけど……、気付いたら逆に引っ張られてた。
「と…、とりあえず……間に合った…、ふう」
「そうだね」
「それじゃ、バイバイ。鈴華」
「うん!バイバイ、アリスー!!」
鈴華は見えなくなるまで手を振ってきていたので、それまで私も手を振っておいた。
さて、私も寮に帰りますか。