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なつかしい、前世の記憶を見た気がする…
体を起こすと、いつのまにか目尻にうかんでいた涙がほほを流れていく。
「っつ……」
いつの間にか高ぶっていた感情を落ち着かせてから、涙を拭い、辺りを見渡す。
白い壁や天井、窓から見える4、5階ほどの高さからの景色。
足下には白いシーツにパイプのような手すりのついたベッド。
ここは…
「病院…?」
「ん、起きたみたいだね」
声の方を見ると、扉を開けて入ってきている紫音がいた。
「っ…!?」
一瞬の頭痛と同時に、私に微笑みを向ける紫音と、まぶたに残っていたついさっき見ていた“あの子”がかぶって見えた。
でも、“あの子”は私の前の時の…
「真夜…」
頭を振り、“あの子”のことを心にしまおうとする。
「…はぁ、まだ、気付いてないのかい?」
「えっ…?」
少し、悲しさを含んだ声で紫音が聞いてくる。
でも、気付くって、何に?
「まったく…」
紫音がため息をはき、それから息を深く吸うと、紫音の雰囲気が変わった。
「あたしよ、咲姫。まったく、生まれ変わっても鈍感なとこは変わらないのね」
あたし…?
ううん、それよりも、生まれ変わっても!?
「どういうことっ!?」
「まぁ、落ち着きなさい、さっきまでひどい熱だったのよ」
「う、うん」
言われて体が思い出したのか、疲れがあふれて体勢をくずしかける。
でも、頭は、脳はひとつの可能性を導きだし、“もしかしたら”と思うと涙が溢れてくる。
目の前の紫音は、一呼吸をおいてから口を開く。
「……ひさしぶり、あたしの親友。あたしは、八重咲 真夜。二度目の初めましてね、咲姫」
そう言って、私の前、前世の親友は笑いかけてきた。
「っ、っ、っ!まやぁぁぁぁああっ!!」
涙が止まらず、動かしずらい体を無理やり動かして真夜に抱き付き、私は子供のように泣いた…




