19(1-A・劇 終
大分長くなってしまいました。
わかりにくかったかもしれませんが、司会者も1-Aの一人です。
あと、脚注の考えはすべて作者の個人的な考えです。
「こっちこっち、ついて来て」
少女は振り返って勇者たちがついてきていることを確認してからまた歩き始める。
「(…大丈夫そう、ですね)」
「(ああ、そうだな)」
さらに少女は歩き続け、それに勇者たちがついていってしばらくたつと、小さな小屋が見えてきた。その小屋には小さな窓、小さな扉があり、少女一人が住むのにちょうどよいほどの大きさになっていた。
「ほら、あれが私の家」
「お前一人で住んでいるのか?」
「そうだよ」
少女は嬉しそうに微笑み、くるっと一周体を回し小屋の扉に向かって駆け出した。
「ふふっ、大丈夫そうですし、いきましょうか」
「ああ、そうだな」
勇者たちも笑みをこぼし、少女が開いた扉をくぐり少女の家に入っていった。
全員が少女の家に入ったあと、幕は一度閉められ、司会者が出て来て話始める。
「彼らは様々なことを話し、やがて打ち解けていきました。と、ハッピーエンドで終われればいいのですが、現実は、理不尽でした」
司会者がそういうと舞台から離れていくとほぼ同時に、幕が開き、勇者の怒りのこもった声が響いた。
「お前!騙していたのか!」
「え、う、ううん。わ、私は騙してなんかないっ!」
幕が上がりきり、そこに照らし出されたのは泣き出しそうな顔をしてうろたえる少女、怪我をして左腕から血を流している魔術師、魔術師を支えながら少女を睨む勇者、そして血濡れた長い爪、背から生えた一対の翼、鋭い牙に尖った角を持つ石像の、一般的に知られているガーゴイルのような化け物が勇者たちと向かい合うように立っている。
血濡れた爪から魔術師を攻撃したのはこの化け物だとわかる。
「嘘だろ!そいつで俺たちを殺すためにここまで連れてきたんだろう!」
「ち、ちがう!こんな怪物なんか知らない!」
「…くそ!忌々しい魔女め!おいっ!大丈夫か!」
「え、ええ。まだ、戦えるわ」
勇者たちは化け物と戦い始め、少女は『魔女』という言葉を聞き、思い浮かべてしまった自分の最後に顔が青ざめてゆく。
少女は絵本の中で『魔女狩り』のことを知っていたからだ。
「や、やだ…死にたくないっ…!なんで?わたしの髪と目がみんなと違うから殺されなくちゃいけないの…!?」
少女はそう口からこぼれてしまったように言い、森の奥へと走っていった。
少女が去って勇者たちも化け物を倒すと、幕が閉められて司会者が話し出した。
「こうして、少女は悲しみにくれ、勇者の瞳は憎しみに染まってしまいました」
「髪の色や目の色が不吉、みんなと違うだけで殺してしまう、そんなことがあってもいいのでしょうか?…現代でも、差別的な考えは残っています」
司会者が話している間に幕が開き、1-Aの人たちが集まりだし、全員が揃う。
「ですが、この場にいる一人一人が、差別などのない世界を作ろうとすれば、それに周りの人たちも心動かされ、世界は変わっていくでしょう」
「…この劇は、ただの物語と受けとるのではなく、自分達のこととして受け取って間ら得るように作りました。世界がより良くなるように。」
「これで私たち1-Aの劇を終わります」
「「「「ありがとうございました!!」」」」
全員がそういい、頭を下げると客席からは拍手が鳴り響く。
そして、幕が閉められ、劇は終わった。
…幕が閉められてからも、ホールにはしばらく拍手の音が響いていた。
誰がどの役だったかは、次回で。
風邪を引いてしまったので、次回投稿するのが遅れるかもしれません。
一応次回は9/8(土)の0時です。
がんばります。




