18(1-A・劇 中盤
※「( )」は小さい声、隣にいる人に聞こえるぐらいでしゃべってるセリフです。
青々とした森の中、勇者と魔術師はうっそうと茂った草木を掻き分けて進んでいく。彼らは森の異変に関係があるかもしれないと、忌み子に会うために森に入っていた。
「そろそろ、ですかね」
「ああ、村長の話が本当ならな」
「森の中に忌み子なんて、本当にいるのでしょうか?」
「さあな、わからん。忌み子というのを聞くのも珍しいからな」
忌み子は確かに生まれてくるが、大抵すぐに村から追い出されるか殺されるか、いずれにしても、長い間生かされていることは珍しい。
だが、この森にすむらしい忌み子は10年も生きているらしい。
森に異変が起こり始めたのは約半年前らしい。
「忌み子に知識がつき始め、何かを起こした可能性もあるかもな」
「確かに、ありえますね」
さらに草木を掻き分けていくと、鈴のような声が聞こえてくる。
「これは、何だ?歌か?」
「歌、ですかね」
「一応気を付けろ、すぐに戦える準備をしておけ」
「わかりました」
勇者は剣を抜いて構え、魔術師は杖を構えて回りを警戒し始めた。
歌の聞こえる方に向かいさらに進んで行くと、ひらけた場所に出た。
そこには白い髪、赤い目の少女が倒れている木の上に座り、歌を歌っている。
「あなたたちは、誰?何で剣を構えているの?」
「…お前は、誰だ?」
少女は勇者たちに気付き、剣や杖を自分に対して構えているのを見て、困惑した表情を浮かべて質問をするが、勇者はそれにたいして質問で返す。
「私は…、わからない」
「名前は?」
「……ない」
「(ない?どういうことだ?)」
「(その通りなのでは?ずっとこの森にいるみたいですし)」
「ここで、何を?」
「いいえ、何も」
「…」
「私はなにもしないわ。…そうだ!ついてきて、私の家につれていってあげる」
「(家、か)」
「(友好的なようですから、ついていってみましょう)」
「(ああ、そうしよう)」
少女は立ち上がり、勇者たちを手招き歩いて行く。
勇者たちは武器を下ろし、少女の後ろをついて歩き始めた。
次の話で終わりです。
…たぶん。




