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「緑里先輩」
夕夏のクラスのドアからひょこっと、顔を出しながら中をうかがう。
「え?アリィ、ごほん。どうかしたか?黒谷」
……今、絶対アリスって言いかけた。
他の人の前では名前で呼ぶのは禁止って、決めてたのに。
よっぽどびっくりしたんだね。
「今日は自由行動」
「自由行動?そっちは順調に進んでるんだな」
「うん。ばっちり」
「で、そいつは?」
あ~!
また、そいつとかあまりよくない言葉使ってる~。
あとで、お説教だね。
「俺は1-Bの紅牙 刀利です。よろしくお願いします」
「…ご丁寧にどうも。2-D、緑里 夕夏、黒谷の幼馴染みだ。よろしく」
二人とも笑顔で握手してるのに空気悪い気がするのは気のせい……ではないね。うん。
さすがに私でもわかる。
「緑里先輩のクラスの出し物は何なんですか?」
「「ん?」」
火花を飛び散らしている状態を止めるべく、話をふる。
「確かに何をしているかはあまりよくわからないです」
教室の中を見渡して見ても色んなことをやっている人がいて、何をしているかはわかるけど、出し物自体はよくわからない。
「それは……、文化祭までのお楽しみってことにしようかな」
「え~」
「じゃあ黒谷文化祭のときいっしょ「楽しみにしとけよ!黒谷!」
「はい、わかりました」




