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異世界召喚と歌姫の小夜曲  作者: めもたー
4章 異世界滞在 4日目
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異世界召喚と裕達の諧謔曲 4話 エイプリルフール

本編じゃなくてすみません……。

 いつからだろうか、ぼくは知らぬ間に元の世界に戻ってきていた。そしてぼくは今、久しぶりに登校した学校で現代社会の授業を受けていた。

 現代社会の先生は短気で怒りっぽく、授業中居眠りしている生徒や、授業中だけでなく休憩時間にふざせて廊下を走っている生徒を見かけるとすぐに怒鳴り散らして指導する。


 しかしぼくは授業中に眠たくならないタイプで、廊下を走るという気力なんてこれっぽっちもない。だからぼくはこの現代社会の先生に唯一怒られたことのない人物だとして、自覚はないが校内ではちょっとした有名人らしい。

 ちなみにあの校内学力ナンバーワンの実力を誇る未来希は、授業中の居眠りで一度だけ怒られたことがある。……あの時の慌てて謝る姿は超絶可愛かったな。


 ……だけど非常にまずい事に、今ぼくはまずいくらいに眠気がまずい事になっている。これは我慢できない。いくら気張って目を開けようとしても、体を動かしてみても一向に眠気の収まる気配がない。こうなったら、ベタだけど額に手を置いて考えてるフリをしてやり過ごすしかない。


 ぼくは、それを実行に移した。その瞬間ものすごい快感が押し寄せてきた。良くない事なのは分かっているが、もはや後戻りは出来なくなってしまった。


 しばらく目を閉じていると、一番恐れていた事態が発生した。意識が一瞬無くなり、頭部を支えていた腕が滑って派手に机に頭をぶつけてしまった。


「コラアアアア!!! 居眠りしてるやつは誰だー!!」


 先生の怒鳴り声が教室内を震わせた。ぼくはそれで完全に目が覚めた。同時に心臓がドキドキと高鳴り始めた。


「正直に名乗り出ろ!」


 先生は居眠りしていたのがぼくだというのはまだ気づいていないみたいだった。周りの生徒達もこちらを見てない事により、誰もぼくだとは気づいていないらしい。このまま隠し通せばこの危機的状況をワンチャン脱出できるかもしれないが、臆病なぼくは怖くてつい名乗り出てしまった。


「ぼ……ぼくです」


 ゆっくり手を上げると、クラス中がざわつき始めた。


「おい、あのヒロもついに……?」


「いつかこうなるとは思っていたが、遂に来たか……」


 と、丸聞こえなコソコソ話があらゆる場所から聞こえてきた。そんな事されると余計に恥ずかしくなってくるのだが……。


「よーしヒロ。放課後職員室に来い!」


「は、はい……」


 こうして居眠り騒動は幕を閉じた。


 そしてぼくは言われた通り放課後ちゃんと職員室に向かったが、二百文字詰めの原稿用紙五枚分の反省文を書かされた上に、一時間も説教を受けさせられてしまった。居眠りはもうトラウマだ。


「はあ……」


 ため息をついて職員室を出ると、目の前には未来希が立っていた。


「あれ未来希……まだ帰ってないの?」


「今日はちょっとひーくんに話したい事があってね。時間ある?」


「ああ、大丈夫だけど……」


「ありがとう。ここじゃあれだし、場所移そっか」


 未来希はぼくを別棟の入り口前のピロティに誘導した。


「それで、話って何?」


「…………私と、別れて欲しいの」


「……………………え?」


 一瞬、その言葉の意味が理解できなかった。少し間があってその意味がやっと分かると、ぼくは放心状態になり、開いた口が塞がらなくなった。


「え、ちょっと、なんで……? それも、こんな急に……」


「最近ひーくん全然私にかまってくれないし、それに私、好きな人がいるんだ」


「それ、本当に言ってるの……? 確かに、かまってやれなかったのは最近会いたくても会えなかったっていうか……仕方なかったんだよ……」


 自然と涙が出てくる。まさか、最愛の人にこんな事を言われるなんて。好きな人がいる、そう言われた瞬間から、ぼくのメンタルはズタボロになってしまった。当分立ち直れないと思っていたが、未来希は想定外な事を言い出した。


「ええ!? ご、ごめん! まさか泣くとは思ってなかったの! ホントごめん! 別れるなんて嘘だから!!」


「……へ?」


 まさか、ここまで全部冗談だったというのか? 未来希、すごく真剣だったからマジで真に受けてしまった。


「あのさ……嘘でもさすがについていい嘘と悪い嘘があるよ……。本当に、別の意味のショック死しそうだったから……なんでわざわざそんな嘘を?」


「ごめんごめん! 今日はエイプリルフールだし、ほんの冗談のつもりだったんだけど……」


 エイプリルフール……? なるほど。全て理解した。


「そ、そっか。安心したよ」


「でも、かまってくれなかったのと、好きな人がいるのは嘘じゃないからね」


「え? かまってやれなかったのはさっき言った通り仕方がなかったからだけど、好きな人いるの……」


 再びがっかりする。……だけどそれにはちょっとした矛盾点がある。好きな人がいるのに、ぼくと別れないというのはどういうことだ?


「もちろん! 私は、ひーくんが好きだよ」


「え?」


「えって……私、好きな人がいるって言っただけだけど……」


「…………ああ!!」


 これまた一本取られた。確かに未来希は一度も"他に"好きな人がいる、とは一言も言ってない。


「う、うん。嬉しさと悲しさのよく分からない感じだよ……」


「ふふ。私は告白されたあの頃からずーっとひーくん一筋だもんねー」


 未来希が腕に抱きついてくる。少し恥ずかしさがあったが、それよりも嬉しさの方が上回っていた。


 これでまた少し、未来希との仲が深まった気がする。エイプリルフール……平気で嘘をつける恐ろしい日だが、悪くないかも。

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