もと魏府王都の攻防(前哨戦)
大変お待たせ致しました。
魏府王都の城。その城に何本もの猿の一字の旗が翻る。
そしておれの足元には召喚用の魔法陣。
新規召喚は今更な小猿人にウッドゴーレムにラット。
一応すべて召喚したがどれも使えない、と思ったらラットはヤバかった。
特殊能力が黒死の使者とか・・・育ててみるか。
それはともかく鎮火したのか府王都の城から立ち昇っていたはずの煙が既にない。
というかなんだろうね?破壊の後さえ消えているような・・・
「誰かの助力でしょうな」
「月神アリグナクでしょう。なるほど北側は籠絡済と」
キングドラゴンのギドラとリッチのアルテミスが示し合わせたように見解を述べる。まあ当然といえば当然か・・・
「マッサチンを電撃的に潰すか先に猿術、陶卓を潰して後顧の憂いを絶つべきか」
「劉国は如何するおつもりで?」
「お前ならどうする」
ギドラの問いを質問で返す。
ギドラは長い顎鬚をさすりながらふむと唸る。
「従属させて、いずれ臣従させる・・・べきかと」
「そうだな。武では統治できない。劉美一族の能力は役に立つだろう」
もっともらしく答えるが、おれの仕事はアリグナクの使徒を討った時点で多分終了なんだよな。
引き続き内政もお願いしますとか言われても困る。
「ハンゾウ」
パンと手を叩くと何処からともなくおれの前に仙人のような杖を持つ背の低い髭と眉毛が顔の大半を覆う老人ハンゾウが立つ。
ワ国で配下にして情報部門のトップに据えている忍者だ。
種族は人間だがハンゾウ曰くそのように見せているらしい。
「劉美に陶卓攻めに合力するように依頼したいが誰を使者にすれば揺さぶれるか?」
「そうですな・・・劉美の学問の師に司馬輝多雄という老婆が」
「マスター。妾は劉美への使者にクワトロ殿を推します」
アルテミスが静かに手を挙げて注進する。
「我々の本気を示すためクワトロ殿に一時本来の姿に戻って貰いましょう」
アルテミスの真意に気付く。
なるほど表向き死亡。生きていたとしても廃嫡の身の上とはいえクワトロはマッサチンの第三王子。
おれたちが大義を掲げてマッサチンに攻め込むことができる札でもある。
人助けはしておくものだ。
「ここを攻略したのち然るべき作法を踏んでの手続きを取ろう。それであの城にいるのは」
「猿術本人ですな」
ハンゾウは城の一角ではためく金文字の術をあしらった旗を指さす。
解り易い主張だな・・・
もっとも攻城戦は二度目だ是非もなしだ。
早速、一つ目の巨人キュクロープの悪韋、巨人タイタン、骸骨の巨人ガシャドクロを呼び寄せるする。
「攻城戦ですかマスター」
悪韋が城を眺めながら尋ねてくる。理解が早くて助かる。
「射程距離に難点が。距離を詰めても?」
「護衛はいるか?」
尋ねると悪韋は大きく首を振る。
そしてドンと地面を叩くとそのまま地面を持ち上げる。悪韋の身体が隠れるぐらいの巨大な土の盾が姿を現した。
特殊能力の岩石創成ってやつの応用か。
「そうだな・・・悪韋が定める投石地点を陣地化することは可能か?」
「問題ないです。暫しお待ちを」
悪韋は盾を城に向けると無造作に歩き始める。
カンカンと甲高い金属音が鳴り響く。
城からの弓による射撃が悪韋の盾に弾かれている音だろう。
「ふん」
悪韋が地面に手をついてスキルを発動させる。
ぼこっ
地面に高さ30センチ横幅30センチほどの土の壁が出来る。
ぼこぼこっ
槌の壁が高さ60センチ横幅1メートルほどに成長する。
ほどなく高さ2メートル半径5メートル近い蹄鉄状の壁が産み出される。
蹄鉄状の壁を作った悪韋は5メートルほど右に移動すると再び壁を作り始める。
悪韋。使え過ぎだろ・・・
「おおおおおおお」
鬨の声が上がり城のほうから12頭の猿人が器用に馬を操りながらこちらに向かってくる。
お、先頭は美猴王だな。切り落とされたはずの腕も何事もなかったように付いている。
月神アリグナクの使徒の力は再生か修復で確定っぽいな。
月は見ための満ち欠けから不死だか再生のシンボルらしいからそれに応じた能力なんだろう。
問題はどの程度の時間のものであれば再生か修復が可能なのか?ということである。
無限というわけではないと思うが・・・
「第一軍、第四軍で迎撃」
「了」
第一軍の指揮官、金髪の女性ウッドエルフで小名主の菜緒虎とアルテミスの代理として第四軍の指揮官である銀髪の女性ハイエルフのリペッチオが応じる。
ちなみに第一軍はクップファードラゴン:菜緒虎:死騎士のバーン:赤毛の重盾士;天使ケルビム:茶髪の魔導士
第四軍はシルバードラゴン:ドラゴンメイドのエマ:リペッチオ:祓魔士のジャンヌ:死の狙撃手のロビン:スケルトン魔導士
という編成である
「マスター。ラットを城内に送り込みましょう。偵察と内部破壊です」
「転移は対策されているものとして封印するとしても、猿術本人を捕捉する意味はありますな」
アルテミスの提言を今度はギドラが補足する。
仲いいな・・・ただ転移を封印しろというのは納得だし内部偵察を行うのも納得である。
第13軍としてラット6体を召喚し城に向かわせる。
「マスター攻撃目標の指示を」
「ガシャドクロとタイタンは城門を悪韋は菜緒虎の支援を」
「了」
指示するのと同時に悪韋たちが投石を始める。
轟音を立てて城門が崩れていく。
しかしいまのところ城門が再生されている様子はない。
「先頭の猿は任せて貰おう」
菜緒虎は腰の同田貫を抜き構えた。
☆☆☆
新規モンスター
名前 ラット
種族 ラット
分類 動物
性別 雄・雌
性格 ニュートラル-ニュートラル
STR:1 INT:1 DEX:3 VIT:1 AGI:10 LUK :10
体力3/3魔力1/1
能力:地形効果の無効化
魔法:なし
特殊能力:黒死の使者(攻撃が成功する度に相手のVITを下げる。0になった相手は死に至る)
装備:なし
備考:鼠そのものはいかなる場所にも生息している小動物なのが、特殊能力を発現させたものはモンスターとして区別される。
1匹だけなら危険度は低いが、特殊能力が高い確率で遺伝するため集団になると脅威となる。
噛まれた跡が黒く変色し死に至るため黒死の使いと呼ばれることもある。
名前 ウッドゴーレム
種族 ゴーレム
分類 ゴーレム
性別 不明
性格 ニュートラル-ロウ
STR:2 INT:1 DEX:2 VIT:6 AGI:6 LUK :1
体力10/10 魔力1/1
能力:状態異常の無効化
水系のダメージ低下
火系のダメージ増大
魔法:なし
特殊能力:なし
装備:なし
備考:木を材料にして作られた魔法生物。
見た目は単なる木であるため不用意に近づいた冒険者は命という対価を払わされることになる。
また木人にも酷似しているので注意が必要である。
ただ火に弱いので不意をつかれない限り撃退は難しくない。
※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。
名前 小猿人
種族 ワーモンキー
分類 亜人間
性別 男 (女)
性格 ニュートラル-ニュートラル
STR:10 INT:5 DEX:11 VIT:6 AGI:8 LUK :5
体力20/20 魔力6/6
能力:能力:地形山・森林での回避率アップ。
魔法:なし
特殊能力:なし
装備:ショートソード・皮鎧・短弓
備考:古くから人間とともに生活している亜人間だが、基本は森での狩猟生活である。
同じ森の住人であるエルフとはあまり仲が良くない。というかお互いを無視している。
※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。
ありがとうございます。




