白金三頭龍
「合成開始」
ファイアードラゴンβとアイスドラゴンβクップファードラゴンβの身体が七色の光に包まれる。
荘厳に放たれた七色の光はやがて掻き消えるが・・・何も残っていない。
賭けに負けたとしょんぼりする訳にもいかず新たなドラゴンを召喚すべく召喚陣を起動させる。
てけてん
皇帝烏賊の太鼓が軽やかな音を奏でる。
焦りがすっと抜けてこれはありが・・・
太鼓の音がドロドロとおどろおどろしいあの音を奏で始める。なぜかヒューという笛の音も。
誰だ皇帝烏賊にヒュードロドロを教えたのは。
『タリナイ』
タイミングを合わせたかのように声が響く。
『タリナイ。具体的ニハ、ファイアードラゴン、アイスドラゴン各一体分グライ』
謎の声からの具体的な要求がはいる。
「応じてもよろしいかと」
アルテミスから進言がなされる。
「根拠は?」
「相手には聞こえていないようなので」
なるほど、敵はこの声に反応している様子がない。いやいや、反応できる状況じゃないだろ。
「まあいいか・・・」
要求に応じるべくファイアードラゴン、アイスドラゴンの召喚を行う。
が、召喚した途端ドラゴンたちが消えていく。
<<ファイアードラゴンがゴールドドラゴンに進化しました>>お?
<<アイスドラゴンがシルバードラゴンに進化しました>>おい!?
一体何が起きている?いや、何となく判るが・・・
『マスター感謝するぞ。これで受肉できる久しぶりの現世だ』
<<ゴールドドラゴンとシルバードラゴンとクップファードラゴンが合成されます>>
ゴゴゴゴという音とともに一天俄かにかけ曇り、雲をキャンパスにして天空に巨大な六芒星が光り輝く。
ぬっ
巨大な足が二本。六芒星から生える。
ばちっ
雷を纏った尻尾が二本現れる。
ばさっ
コウモリのような羽が雲を散らす。
ちょいん
申し訳程度の小さな手が現れる。
<ゴールドドラゴンとシルバードラゴンとオスミウムドラゴンが合成されキングドラゴンになりました>
雲が晴れ、長い三つ首の先にファイアードラゴン、アイスドラゴン、クップファードラゴンの顔の面影を残した白金色に輝く龍が現れる。
ごう
戦場から少し離れていたため唯一無傷だった中央の魏府軍の上空に到達したキングドラゴンは三つの頭から火、氷、腐食ガスのブレスを一斉に撒き散らす。
やばいな・・・これ以上派手に殲滅すると本命が逃げるぞ。
「お館様。敵の尻尾を捕まえました」
別動隊の菜緒虎から思念が入る。
「予想外の大物が召喚できたせいで魏府軍の崩壊が予想以上に早い。一気に仕留めろ」
「了」
菜緒虎に意識を向ける。
魏府軍の撤収隊・・・朱葛琴子瑜のための転移の為の依り代は・・・犬人間六人。
この後ひたすら逃げるだけならこの数もありか。うむ。戦力を割きすぎた。
菜緒虎がヘウロパと赤っぽい金髪の兄さんに視線を送ると二人は頷き弓を引く。
ゲシュペンストが透過して地面に潜る。
ぬっ
犬人間たちの前にゲシュペンストが地面から姿を現す。
「ひぃ」
悲鳴が上がる。
全身黒の鎧騎士が地面から湧き出しているのだから当然の反応ではある。
あああああああああああああああああああああああああ
ゲシュペンストの口からおぞましい絶叫があがる。
ゲシュペンストの雄たけび。麻痺効果のあるゲシュペンストの特殊魔法だ。
「ひぃ」
動けた犬人間は2人。
動けなかった犬人間の眉間を菜緒虎たちの矢が貫く。
「逃がしませんよ」
動けた犬人間の前にマントをたなびかせながら真祖吸血鬼が舞い降りる。
しゅひん
真祖吸血鬼の両手の爪が伸びる。
「ひゅお」
真祖吸血鬼が奇声をあげ二人の犬人間の横を駆け抜ける。
すっすっすっ
犬人間の身体に線が入りやがて綺麗に刻まれる。
「ん?」
菜緒虎は硬直して動けない唯一生き残った犬人間の身体がぶれ始めていることに気付いた。
「逃がさん」
同田貫を抜き放ち菜緒虎は一足跳びに犬人間との間を詰める。
しゅおん
同田貫がうなりを上げ犬人間の首に吸い込まれて・・・
間一髪犬人間の姿が消え、代わりに一人の髪の長い鎧姿の壮年男性が現れる。
「な、なんだと、馬鹿な」
ざしゅ
鈍い音とともに男の首が刎ね飛ばされる。
同時に菜緒虎の身体を眩しい光が包む。
そして全身黒の・・・徳川家康の大黒頭巾兜、羊歯具足。兜の前立に金色の羊歯というか蛾の触覚があるのが特徴の防具に身を包んだ菜緒虎が現れる。
侍大将が本多忠勝の甲冑だったからこちらも順当に進化したようだな・・・次はどうなるんだ?
<<ウッドエルフ侍大将がウッドエルフ小名主に進化しました>>
小名主?ああ、確か侍の最上級職であるオオナヌシ・・・大名の語源になった大名主の対義語だったな。
<<鍛冶神、蚩尤の使徒である朱葛琴子瑜が討たれました。蚩尤は1年間この世界から隔離されます>>
「はぁ?」
なんとなく想像はつくがあとで問い詰めよう。色々と話を聞かないといけないのも増えたしな・・・
そして、これは当初目的の半分が達成されたということになる。
<<いまから鍛冶神、蚩尤の使徒である朱葛琴子瑜を討った報酬が与えられます>>
マジですか!
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新規モンスター
名前 ゴールドドラゴン
種族 ドラゴン
分類 動物
性別 雄・雌
性格 グッド-ロウ
STR:50 INT:20 DEX:18 VIT:50 AGI:18 LUK :20
体力105/105 魔力30/30
能力:爆炎のブレス(火・ターン毎にダメージ20を追加)
火系のダメージ無効
魔法:なし
特殊能力:怒りの蓄積(被ダメージに比例して攻撃力が増える。)
装備:不可
備考:陸上モンスターの頂点に君臨する絶対王者が火属性を得て最終的に成長した姿。
体色は朱色から鮮やかな紅色へと変化している。
強力なブレスは大火炎から爆炎に変化しており負わされた火傷は時間の経過とともに相手を蝕む。
卵や幼生体のころから育成するなら飼いならすことは可能だと言われている。
洞窟での目撃情報が多い。
ファイアードラゴンをレベル60までそだてることで進化することが確認された。
※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。
名前 シルバードラゴン
種族 ドラゴン
分類 動物
性別 雄・雌
性格 ニュートラル-ニュートラル
STR:50 INT:20 DEX:18 VIT:50 AGI:18 LUK :20
体力105/105 魔力30/30
能力:吹雪のブレス(水・ターン毎にダメージ20を追加)
水系のダメージ無効
魔法:なし
特殊能力:怒りの暴走(被ダメージに比例して攻撃力が増える。)
装備:不可
備考:陸上モンスターの頂点に君臨する絶対王者が水属性を得て最終的に成長した姿。
体色は白銀色から銀色へと変化している。
強力な吹雪のブレスは負わされた凍傷は時間の経過とともに相手を蝕む。
卵や幼生体のころから育成するなら飼いならすことは可能だと言われている。
洞窟や氷原での目撃情報が多い。
アイスドラゴンをレベル60まで育てることで進化することが確認された。
名前 キングドラゴン
種族 ドラゴン
分類 動物
性別 雄・雌
性格 イビル-カオス
STR:70 INT:50 DEX:30 VIT:60 AGI:30 LUK :40
体力150/150 魔力60/60
能力:腐食性ガスのブレス(低確率で相手の基礎体力そのものを20減らす・ターン毎にダメージ20を追加)
:腐食性ガスのブレス(レベルの低い武器防具を破壊する)
:爆炎のブレス(火・ターン毎にダメージ20を追加)
:吹雪のブレス(水・ターン毎にダメージ20を追加)
:あらゆる属性ダメージを1桁に留める
魔法:雷撃(広範囲に1-8回の雷属性の攻撃を行う)
特殊能力:怒りの咆哮(被ダメージに比例して攻撃力が増加)
装備:不可
備考:この世界の創成期においてすべてのドラゴンの祖として生まれ、この大陸を作り出したと言われる。
アタラカ山脈の伝承にある「古の巨人が古代龍を斬るために作った剣が使われることなく放置されアタラカ山脈になった」の古代龍だという説もある。
長い首に三つの頭。コウモリのような巨大な羽。申し訳程度の小さな手に巨大な二本の足。雷を纏った二本の尻尾。白金色に輝く龍だといわれる。
ゴールドドラゴン、シルバードラゴン、クップファードラゴンを合成することで確認された。
※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。
名前 ウッドエルフ小名主
種族 エルフ
分類 亜人間
性別 男・女
性格 グッド-ロウ
STR:35 INT:25 DEX:20 VIT:30 AGI:25 LUK :20
体力50/50魔力30/30
能力:地形森林での回避率アップ。
魔法:気合(自身の命中率と攻撃力を上げる)
特殊能力:旋風乱舞(風:中確率で周囲にいる複数の敵を一撃死させる)
装備:同田貫・徳川家康具足写一式・長弓
備考:ウッドエルフ侍大将が研鑽を積むことで得ることが出来た称号。
東にあるという弓状列島に存在する伝説の戦士オオナヌシに連なる職業のひとつ。
斬ることに特化した刀による一撃死は他のモンスターにとって脅威となるだろう。
ユニークモンスターウッドエルフ足軽をレベル60にまで育てることで進化することが確認された。
※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。
ありがとうございました




