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ア・バオア・クゥー前開戦 その2


「ドラゴン達はブレスの射程前で停止」

リペッチオの指示が伝達されるのと同時に六頭のドラゴンの進軍速度が落ちる。

それぞれのドラゴンの口から炎が白霧が怪しげなガスが噴き出す。

魏府軍の前衛のレギュラーオークが持っていた盾の後ろに身を隠す。ああ、やっぱり対策してるのか。

「ブレスはαのドラゴンズのみ。βのドラゴンズは突進を再開し物理的に圧し潰せ」

リベッチオの指示にドラゴンがブレス組と肉弾戦組に別れる。

ごう

ファイアードラゴンαが火炎のブレスをアイスドラゴンαが空気が白く凍る冷気のブレスがクップファードラゴンαが腐食性のガスのブレスが盾を構えるレギュラーオークに襲い掛かる。

ぎゃん

3種類のブレスがレギュラーオークの盾にぶつかり空気が震え盾の左右へと散る。

お、もしかして盾にブレスの属性と反対の属性を纏わせているのか?

「突撃」

リベッチオが手を振り下ろすのと同時にブレスを吐いていない三頭のドラゴンが突撃を開始する。

ボワン

小さな銅鑼の音が鳴り盾の間から槍がハリネズミのように飛び出す。

「おう」

野太い掛け声とともに槍が突き出される。

ぎゃう

ファイアードラゴンβとアイスドラゴンβが悲鳴にも似た叫び声をあげ、槍の刺さったところから血を吹き上がらせる。

クップファードラゴンβは槍が刺さった途端に槍の柄がクップファードラゴンの血による腐食で折れて深く刺さらなかったのが幸いしたのか流血は少ない。

しかし三頭とも受けたダメージはかなり大きいってのんきに解説してる暇はない。なんだあれは・・・

視覚同調しているクップファードラゴンβの視力でゴブリンたちの槍を見る。

槍の穂先にしては滑らかに曲がって・・・なるほどドラゴンの牙か!となると盾はドラゴンの鱗?

魏府軍の武器は可能な限り回収と頭の隅にメモ。

「敵はドラゴン特攻武器特守の盾を所有していると推測。ドラゴンは下げろ。クワトロ隊は魏府軍との間に入り槍をへし折る事に注力」

了と思念が返ってくる。

クワトロたちが魏府軍前衛とドラゴン達の間に割って入ろうとする。

が、魏府軍の後衛であるランスを構えた重装騎兵のドラゴンバトラーが文字通り横槍を入れてクワトロたちが近づくのを牽制する。

「お前ら邪魔だ」

ワーウルフのイヌガミが僅かな助走だけでジャンプしドラゴンバトラーの胸に蹴りを放つ。

が、ドラゴンバトラーはランスで巧みにイヌガミの蹴りを逸らす。

「伊達じゃねぇな」

バランスを崩すことなく着地したイヌガミに別のドラゴンバトラーのランスが突き出される。

「うおぉ」

間一髪。バック転でこれを躱す。ドラゴンバトラーの追撃をクワトロがロングソードで防ぐ。

「ありがたい」

イヌガミが地面を蹴って超低空で跳ぶ。

そして背負っているシャベルを抜いて馬の足を引っ叩く。

どうぅ

前脚を斬り飛ばされた馬が崩れ落ちる。

「はいや」

体勢の崩れたドラゴンバトラーの口にスコップの刃が滑り込む。

「いつみても洒落にならない斬撃ですね」

「おうよ」

イヌガミは半分になったドラゴンバトラーの頭を後ろに放り投げると次のドラゴンバトラーに向かって走り出す。

ぶふー

ゴブリンたちの前に鋼鉄の身体をもつ雄牛ゴーゴンが立ち塞がる。

ゴーゴンの口が開きその行動で何が来るか察知したレギュラーオークが盾を構えてゴブリンたちの前に出る。

ごっ

ゴーゴンからブレスが放たれる。

たちまちのうちに動きを止めるゴブリンとレギュラーオーク。

いくらドラゴンの鱗で出来た盾でも状態異常を引き起こす石化は簡単に抵抗(レジスト)できない。

ガルルル

双頭の魔犬オルトロスが唸り声を上げながら動きを止めたゴブリンとレギュラーオークの中に飛び込む。

続いてゴーゴンも突進する。

ドゴン

ゴブリンとレギュラーオークがボウリングのピンのように吹っ飛ぶ。

よし。これでドラゴンたちの回復に力が割ける。

「我が同胞を癒せ。回復(ヒール)

一番体力の減っているアイスドラゴンβに回復魔法をかけて気が付く。

「体力が回復しない・・・だと?」

・・・いや体力は回復している回復した端から回復した分のダメージがアイスドラゴンβに入っている!

慌ててファイアードラゴンβにも回復を試みる・・・

ダメだ。状況は変わらない。

「マスター。これは呪いでは?」

アルテミスの指摘に背筋に冷たいものが走る。

召喚モンスターだ。死んでも替えは・・・ある。が、なにか手はないのか。

ギリッ

歯が鳴く。

こちらの手は魏府側に散々晒していただろ。相手が対策をしてくるのは当然だろ。

沸騰しかけた頭がすっと冷却される。

後悔はあとでいい。何か手はあるか?

・・・あるじゃないか。召喚したてのドラゴンでは失敗していたあれが・・・

失敗したときは諦めがつくだろ・・・

おれは近くの召喚陣まで出向き頭の中であるものを呼び出し呪いで一撃死しかねない状態のファイアードラゴンβとアイスドラゴンβクップファードラゴンβを選択する。

「合成開始」

ファイアードラゴンβとアイスドラゴンβクップファードラゴンβの身体が七色の光に包まれた。

ありがとうございました

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