売って買って会議して・・・拾ったものは? ※改題
システム的なものの説明回その1です
モンスター名修正
「マスターこちらです」
マーメイドがぶんぶんと両手を振って居場所を知らせる。
海岸線に到着したとき既に遭難者らしき男は浜辺へと打ち上げられていた。
オクトパスの一匹が8本の足で男の胸をリズミカルに押して心臓マッサージを施している光景はかなりシュールではあるが・・・
「生きているのか?」
「とりあえず危機は脱してます」
マーメイドは即座に答えを返す。じゃあオクトパスやってるあの心臓マッサージには何の意味が?
取り敢えずじっくり観察する。
身長は180前後。短く刈り込まれたオレンジ色の髪にやや白い肌。服は簡素だが布地はなかなかの高級品。所々破れているのは漂流のせいだろう。
腕は鍛えていることが推測できるぐらいに太く胸板も厚い。顔立ちはおそらくイケメンの類だろう。
腰に吊っている剣を手に取ってみる。
いわゆる細剣。手入れは行き届いているし儀式用のお飾りではない。
柄の所に鷲の頭に巨大な翼と獅子の胴体。これはグリフォンのエンブレムだな・・・貴族の子息あたりか?
「マーメイド。男の介護を頼む。名前がないのは不便だろうから男の前ではアーリエルと名乗れ」
「承りました」
マーメイドことアーリエルは深々と頭を下げる。
とりあえずこの遭難者が収納できるか…あ、できた。
つづけてオクトパスやアーリエル、ミズチも収納する。
「ロック鳥。海上での索敵を厳にしろ」
応と返ってくる。
ぴろーん。
<<スケルトンのレベルが上がり進化の条件を満たしました>>
声が聞こえてくる。どうやら敵のボスと召喚するモンスターで経験値を吸ってたスケルトンが進化の条件を満たしたらしい。
「どういう進化が可能か?」
問いかけるのと同時に光を放つスケルトンの映像と選択肢が出る。
スケルトン戦士 スケルトン魔法使い <<スケルトン弓兵>> ゾンビ
お、スケルトンシリーズの2世代をコンプだ。
もっとも長弓を持っているだけでスケルトンであることは…あ、ボロいけど籠手してるな…いやいやそれって単なる装備違いだろ。
待てよ?単なる職業違いなのに図鑑に登録されるのは何故だ?
エルフはウッドエルフで職業選択はでなかったよな?
そういえばマーマンは男女で種族違いみたいになってたな…
取り敢えず頭の中にある知識から骸骨のモンスターを検索してみる…なるほどね…
「マスターの推測通りではないかと愚考します。要検証ではありますが」
アルテミスがすかさずフォローする。
「お前もそう思うか?」
「ゴブリンの生息域を探しましょう何かヒントが掴めるかもしれません」
そういえば弓を持ったゴブリンがいたな…
「よし。経験値稼ぎは終わりだ。引き上げるぞ」
応と返事が返ってくる。
「そういえばホブゴブリンはどうした?」
「ボスに合流するかと思いましたが、あっという間に北へと逃げていきました」
アルテミスが答える。忠誠心が無ければ支配を逃れて逃走するものなのか?
「がぐぅー」
召喚師らしいトロールを倒したところ目の前が暗転し頭の中に声が響いてくる。
<<召喚できるスケルトンの上位モンスタースケルトン戦士 スケルトン魔法使い スケルトン弓兵 ゾンビが召喚できるようになりました。スケルトンの召喚を廃止しますか?>>
<<召喚できるロックのレベルが10になりました。上位モンスター岩鳥が召喚できるようになりました。ロック鳥の召喚を廃止しますか?>>
どちらもYを選択する。
<<村の代表が面会を求めてきました。会いますか>>
会う事にする。
「ドンド・コドンです」
目前に卑屈なしかし瞳の奥に油断のならない光を宿した人族らしい男が揉み手をしながら現れた。
「不要なアイテムを引き取ってくれ。売るものは何か?」
「はい」
ドンドが提示した装備から自分用のローブと杖。スケルトン弓兵用の長弓とゾンビ用の皮鎧を購入する。
<<鍛冶師の工房に行きますか?>>
ドロップアイテムはないしいいか…
「会議は可能か?」
念じてみる。
<<会議に参加するモンスターを指定してください>>
天の声と同時にモンスターの一覧が表示される。
選べるのは
アルテミスことスケルトン賢者
ウッドエルフ4人
アーリエルことマーメイド
遭難した男
選べないのは
スケルトン戦士・スケルトン魔法使い・スケルトン弓兵・ゾンビ
吸血バット3匹
ブラックドラゴン4匹
ロック鳥4匹・岩鳥1匹
オクトパス2匹
ミズチ2匹
ちなみにこれがいまの我が軍団の全容でもある。
取り敢えずアルテミスとウッドエルフのお姉さんとアーリエルと遭難した男を呼び出す。
真っ暗だった部屋に円卓と5脚の椅子が現れ、続いてアルテミスとウッドエルフのお姉さんとアーリエルと遭難した男も現れる。
「我がマスターご機嫌麗しく」
ロープに立派な杖をもったスケルトン賢者アルテミスが深々と頭を下げる。
「あのお館様。某が呼ばれたのは何故でしょうか?」
長い金髪を頭のてっぺんでお団子状にまとめた若干のつり目の碧眼、笹穂状の耳のウッドエルフのお姉さんがピシッと背筋をのばして尋ねる。
「アルテミスとお姉さんは実力と忠誠でうちのツートップだからね」
そういって遭難した男を見る。
「なぜここにいるのかの説明がいるかね?」
身長180前後。短く刈り込まれたオレンジ色の髪に赤い瞳。やや白い肌だがガタイは立派な予想通りのイケメン男に質問する。
「助けて頂いただき…」
「ああ、ソウキと呼んでくれて構わない」
言い淀んだ理由を察して自己紹介する。
「ありがとうございますソウキど、さま」
イケメン男、殿って言いかけたよね…やはり高貴な出の人?
「船が嵐に遭って遭難したことは覚えているのですが、申し訳ありません色々と記憶があやふやなのです」
「それは名前もか?」
「はい」
イケメン男は頭を下げる。ふむ…
「クワトロ。名無しじゃ何かと困るだろ。あ、お姉さんの名前は暫く待ってね」
ウッドエルフのお姉さんに向かって手をひらひらと振るとお姉さんは右手を胸に当てて軽く頭を下げる。
「記憶が戻るまでクワトロと名乗らせていただきます」
それで自分が当面は放り出されないことを理解したらしくイケメン男ことクワトロは頭を下げる。
「そう言えば収納されているときのお前たちはどうなってるのだ?」
「説明いたします…」
アルテミスがくるりと指を回すと映像が浮かぶ。つまり…
動物系のモンスターはそれぞれに十分な広さの環境に沿ったスペースが与えられている。
ミズチやオクトパスは生け簀だしドラゴンやバットは洞窟でロック鳥は止まり木のあるとのこと。
人型は6畳一間で収納スペース付き。ベットと机が基本だそうだ。
ちなみにアルテミスの部屋はスケルトン魔法使いと相部屋で16畳ある。
寝る必要がないからベットの代わりに書棚があり羊皮紙ベースのモンスター図鑑もここに置かれている。
スケルトン魔法使いと共に手に入れた情報等を編集して書籍化しいずれ図書館としての機能をもたせるのだという。
なんか色々考えてらっしゃる。
ウッドエルフのお姉さんにも念のため聞いてみたところ、収納スペースに煎餅布団を出し入れし普段は空いたスペースで鍛錬しているとの事。
エルフのイメージぶち壊しもいいところである。
「そういえば食べ物はどうしているんだ?」
「マスターの魔力で食事は必要ありません」
アルテミスが答える。そうなんだ…便利だな。
「あの、生存本能としての食事は必要ありませんが、出来れば食べるという欲求は満たしたいですこれはエルフたちの総意と考えて頂ければ・・・」
ウッドエルフのお姉さんがおずおずと手を上げる。
お菓子やお茶。簡単なつまみやお酒を支給して欲しいのだという。
「その辺はアルテミスに丸投げするがいいか?」
「問題ないと思います。承りました」
「もしかしてあれか?収納されているときと外の世界で時間の流れが違うのか?」
「マスターのご推察の通りです」
なるほどチート過ぎだろ・・・まぁいいか減るもんじゃないし。
「ではクワトロ。何かあればアーリエル・・・隣にいるマーメードに伝えてくれ。下がっていいぞ」
「はっ」
クワトロが頭を下げるのと同時にアーリエル共々姿を消す。
あ、クワトロの装備買ってなかったな。皮鎧が買えるか交渉しておこう。
☆ ☆ ☆
モンスター一覧
名前 スケルトン弓兵
種族 スケルトン
分類 アンデット
性別 不明
性格 イビル-ニュートラル ※初期値
STR:2 INT:6 DEX:15 VIT:7 AGI:10 LUK :6
体力12/12魔力5/5
能力:リバース(一撃死しない限り攻撃後の体力全回復)
斬撃・水系のダメージ低下
精神・火系のダメージ増大
状態異常・風系系ダメージ無効化
魔法:なし
特殊能力:なし
装備:長弓。朽ちた籠手。
能力:リバース(一撃死しない限り攻撃後の体力全回復)
斬撃・水系のダメージ低下
精神・火系のダメージ増大
状態異常・風系系ダメージ無効化
備考:すべてのアンデットはスケルトンより始まる。
魔法によって生物の骨に下級霊を憑依させることで生まれる養殖モノと生物の骨に低級霊が憑依して生まれる天然モノに別れる。
スケルトン弓兵の天然モノはダンジョンや古戦場で目撃される。
僧侶系の神聖魔法と犬系モンスターが最大の弱点。
スケルトンをレベル10まで育てることで進化することが確認された。
※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。
ありがとうございました