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閑話休題 はろうぃんうおーず 後編

「わたしは悔しい・・・」

緑と黒の縞模様の物体にふたつの赤く光るものが灯った。

「悔しい・・・たべ・・・欲しかっ・・・」

複数の声が辺りに響き渡る。


「おやびん至急農地においで下さい。正体不明のモンスターがいます」

警邏と称して夜な夜な散歩を楽しむワーウルフのイヌガミから思念が入る・・・って誰がおやびんだ。

とりあえずイヌガミの視覚に同調する。

って真っ暗だな・・・もしかしてイヌガミのヤツ気絶してる?

「チェンジ」

急いでイヌガミとおれの位置を入れ替える。

「第一軍、召喚」

クップファードラゴン。ウッドエルフで侍大将の菜緒虎。スケルトンの騎士である死騎士(デスナイト)。赤毛の青年剣士。アークエンジェル。魔法使い茶瞳茶髪の青年が一瞬でおれの周囲に召喚される。

「周囲警戒」

一瞬で全員が戦闘態勢に入る。

イヌガミを昏倒させた敵は・・・ざっとあたりを見回す。

敵影はないが・・・あったよ魔法陣。

周囲を警戒しつつ魔法陣にのる。

<<ジャック・オー・ランタン>> ジロウ・ノ・チョウチン

・・・なんだこのジロウ・ノ・チョウチンというのは?しかも選べない。

仕方ないジャック・オー・ランタンを召喚。

「はーひー。今後ともよろしくお願い」

甲高い声をしたかぼちゃランタン頭にローブ。短いマントを纏った二頭身のモンスターが姿を現す。

しかしえらく軽いのが出てきたな。

「のんのん。みんな楽しくいきませう」

ジャック・オー・ランタンは袖から星の付いた杖が取り出して振り回す。

しゃらんしゃらん

杖からいくつかの星が散りポップな音が鳴り響く。

「なんだこれは」

菜緒虎とアークエンジェルの叫ぶ声が響く。

そこにはかぼちゃランタンのブラにスカート。魔女の三角帽子のコスプレをした三頭身の菜緒虎とアークエンジェルの姿が。

他はクップファードラゴンを含めてかぼちゃランタンの帽子にタキシード姿である・・・ああ、クップファードラゴンはオスだったのか。

「さあこれで見えるはずです」

ジャック・オー・ランタンが星の付いた杖を袖の中にしまうと辺りが明るくなる。

畑の畝には大根が青々と茂っている。

「わたしは悔しい・・・」

地面がめりっと割れ、そこから頭がスイカのジャック・オー・ランタンが30個ほど姿を現す。

もしかしてあれがジロウ・ノ・チョウチンなのか?しかも植えててダメになった数だけあるぞ・・・

「あれか?何かの無念か?」

「ま~ね。収穫祭に参加できなかった植物たちの嫉妬かな」

ジャック・オー・ランタンは肩を竦める。

ちょっと待て。倒したら成仏しないじゃないか。

「それはお楽しみ」

心を読んだようにジャック・オー・ランタンは笑う。

それもそうか・・・

「はあああああああ!」

菜緒虎が同田貫を抜刀してジロウ・ノ・チョウチン(仮)に突っ込む。

ざん

菜緒虎が同田貫で水平に薙ぐとジロウ・ノ・チョウチン(仮)の頭がきれいに半分に切り飛ばされる。

良かった・・・切り口は生物ではなく植物。スイカのそれだ。

「食べてね~」

声を響かせながらジロウ・ノ・チョウチン(仮)の首から下が消えて真っ二つになったスイカが数個ほど残る。

「走れ雷槍」

アークエンジェルが一体のジロウ・ノ・チョウチン(仮)を指さす。

バリバリとアークエンジェルの指先から雷が生まれジロウ・ノ・チョウチン(仮)を貫く。

ぼん

派手な音とともにジロウ・ノ・チョウチン(仮)が爆散する。

「こんなの嫌だあぁ」

不気味な声と共に爆散したはずのジロウ・ノ・チョウチン(仮)が映像を巻き戻すように復活する。

うはっ倒し方指定なのか?

死騎士(デスナイト)がランスでジロウ・ノ・チョウチン(仮)の胴体を突き差す。

「手応エガ、アリマセン」

「実体は頭だけだ」

「了」

死騎士(デスナイト)はそのままランスを上に刎ね上げる。

じゃく

ジロウ・ノ・チョウチン(仮)の頭が割れる。

「食べてね~」

声を響かせながらジロウ・ノ・チョウチン(仮)の首から下が消えて真っ二つになった蕪が10個ほど残る。

蕪は花も咲くことなく枯れたやつだ・・・

「やぁ」

赤毛の青年剣士が剣を振り下ろす。

ざん

ジロウ・ノ・チョウチン(仮)の頭がきれいに縦に割れる。

「食べてね~」

声を響かせながらジロウ・ノ・チョウチン(仮)の首から下が消えて穂を付けた小麦が束になって落ちる。

<<剣士のレベルが上がり進化の条件を満たしました。進化先が選べます>>

お?

<<騎士>> 重盾士

おそらく攻撃の騎士に防御の重装闘士なんだろうな・・・重盾士ってなんだ?全く聞いたことのない職を選ぶ。

赤毛の青年剣士の全身が光に包まれやがて消えていく。

現れたのは身長ほどの巨大な楕円形の・・・どちらも地面に接地する部分の反対側にスパイクが配置された・・・盾を二枚装備した重装備の歩兵が現れる。

ざん

赤毛の青年重盾士は近くにいたジロウ・ノ・チョウチン(仮)の首を盾のスパイクで突き刺す。

「食べてね~」

声を響かせながらジロウ・ノ・チョウチン(仮)の首から下が消えてブドウが束になって落ちる。

「マスター。ジロウ・ノ・チョウチン(仮)召喚できますお」

「そ、そうか」

ジャック・オー・ランタンが進言してくるので召喚陣を開いてみる・・・確かに召喚できるな・・・召喚。

「ふーへー。今後ともよろしくお願いします」

野太く低い声をしたかスイカの提灯頭にローブ。短いマントを纏った二頭身のモンスタージロウ・ノ・チョウチンが姿を現す。

あ、(仮)が取れてる・・・確定したんだ。

「し、収穫だ!」

おれの叫び声におーという声が応える。

ジロウ・ノ・チョウチンからドロップした恐らく今年この畑で収穫できたであろう農産物は数日後、城下で行われた収穫祭で振舞われたという。






ありがとうございます

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