港湾都市サンプー その2
「我接敵ス」
岩鳥から思念が入る。
「偉そうなのを捕らえろ・・・そうだな」
視界にいるハイオーク2、オーガ1、ニーダ3を軽く見比べる。
ハイオークはどちらも鎖鎧にロングソード。オーガの装備がプレートメイルにメイス。
ニーダはボロい戦槌に皮鎧。
オーガが一番よさそうだな。
「オーガを生かせ」
了と返ってくる。
「マスター北ニ大量ノニーダ発見」
氷鳥から思念が入る。
「ニーダは監視。逃げるようなら逃がしていい」
了と返ってくる。
「はぁ」
緑っぽい金髪のハイエルフのお兄さんの放った矢がニーダの肩を射抜く。
「はっ」
ニーダに刺さった矢をハイオークがへし折るがそのスキを突いてワーキャットのトラ美が飛びかかる。
ガシ
トラ美のショートソードをオーガがメイスで受ける。そして別のハイオークがトラ美の腹にロングソードを叩き込む。
カシュン
クワトロが細剣でハイオークのロングソードの剣筋を逸らす。
「ぎゃ」
ニーダがトラ美の足めがけて戦槌を叩き込む。
「にゃ」
トラ美はたまらず間合いを取る。
3人目のニーダがすかさず間合いを詰めて戦槌を振り上げる。
シャシャ
たちまち2本の矢がニーダを縫い止める。
ぶん
止まったニーダにアイスドラゴンの尻尾が直撃する。
「はいっ」
間髪入れずドラゴンメイドの箒が横殴りにニーダの脳天を直撃する。
「ぐはっ」
ニーダはそのまま動かなくなる。
「はい」
ドラゴンメイドは横に払った箒を勢いそのまま回転させクワトロと対峙していたハイオークに殴りかかる。
「ごばっ」
ハイオークは穂先が顔面を掠ったためたまらず顔を押さえる。
「っは」
クワトロは半歩下がりそこから飛び込むように連続での突きを入れる。
たちまち血ダルマになるハイオーク。
「癒しの手よ彼の地の輩を救い給えヒール」
オーガが手をかざして叫ぶとハイオークの身体が光り血の跡が消える。
あのオーガ神官系だと!?
ぎゃ
岩鳥が矢の刺さったニーダに襲いかかる。
ニーダは相打ち覚悟で戦槌を叩き込む。
そして連続でハイオークのロングソードが岩鳥に叩き込まれる。
くおぉぉ
岩鳥が絶叫を上げ消滅する。
くっ。何だいまの連携は。
シャシャシャ
ハイエルフのお兄さん、リベッチオ、死の狙撃手の矢がニーダを射抜く。
「ごばっ」
そのままニーダは動かなくなる。
しゅう
アイスドラゴンが息を吐くとたちまちキラキラと空中にダイアモンドダストが舞う。
がぁぁぁぁぁぁぁぁ
アイスドラゴンのブレスがオーガ達を襲う。
「癒しの手よ彼の地の輩を救い給えヒール」
オーガが自分に向けて手をかざす。
「にぃあ」
トラ美がショートソードを水平に構え氷像と化したニーダに突きを入れる。
ぱりーん
澄んだ音が響き渡りニーダが粉々になる。
「舐めるな」
ハイオークがトラ美に斬りかかる。
ばしゅ
トラ美の肩から胸部にかけて血しぶきが上がる。
「癒しの手よ彼の地の輩を救い給えヒール」
祓魔士ジャンヌが鉾鈴の鈴を鳴らすとトラ美の身体が光に包まれ血しぶきが消える。
ぎゃう
ヘルハウンドがハイオークの足に喰らいつく。
「せいっ」
クワトロの細剣がハイオークの右肩を貫く。
護衛であるハイオークの動きを封じたを見てドラゴンメイドがオーガとの間合いを詰める。
「はぁぁあ」
ドラゴンメイドがくるりと箒を回転させ柄てオーガの喉とみぞおちに突きを入れる。
「ごばぁ」
オーガが口から血を吐きながら吹っ飛ぶ。
よしかなりの確率で呪文を封じた・・・はず。
がぁ
アイスドラゴンがクワトロと対峙していたハイオークの肩に噛みつく。
ぶん
アイスドラゴンは噛みついたままハイオークを持ち上げそのまま地面に叩きつける。
「せい」
クワトロが細剣をハイオークの頸に突き立てた。
ビクン。一度だけ跳ねてハイオークはそのまま動かなくなる。
<<剣士のレベルが上がり進化の条件を満たしました。進化させますか?>>
クワトロは剣士だったのか・・・
Yを選ぶ。
クワトロの身体が光に包まれ・・・それ以上の変化は現れなかった。
<<剣士が騎士に進化しました>>
・・・騎士って王様に忠誠を誓うとなれるものじゃないのか?
強くなるならそれでもいいか。それにおれが召喚したモンスターでなくても経験を積めば上位職に進化できることは収穫だ。
シュタタタ
ハイエルフのお兄さん、リベッチオ、死の狙撃手の矢がハイオークを射抜く。
「ぐおぁぁぁぁ」
ハイオークが刺さった矢を抜きにかかるがそのスキを見逃すトラ美ではない。
倒れ込むようにハイオークの足をショートソードで薙ぐ。
「貴様ぁ!」
ハイオークは大きく振りかぶってトラ美にロングソードを叩き下ろそうとする。
「がぉ」
ヘルハウンドがハイオークの喉に喰らいつく。
ぶしゅ
ハイオークが血反吐を吐いて崩れ落ちる。
「クワトロ。召喚できるんじゃないか?」
「召喚ですか?・・・っておお、我が声に応えよ軍馬」
クワトロが叫ぶのと同時にクワトロの横が揺らめき一頭の軍馬が・・・ご丁寧に赤い武具を付けて現れた。
「あの、マスター。オーガをいかがいたしましょう」
ドラゴンメイドが割って入る。
「いや、すまない。降伏を勧告し従うようならおれの元に連れてきてくれ」
了と返ってくる。
「マスター。ニーダ溶カシテルト妙ナ石出タ」
後始末していたスライムから念が入る。
「マスター。北ニイタニーダガ消エタ」
氷鳥から思念が入るの同時に辺りが反転する。
ああ・・・ワ国の時と違ってクリアしたんだ。
ありがとうございました




