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御庭番の仕官

サムライの次はやっはりニンジャですよね・・・


「これは確かにたぶん人間がいるだよな・・・」

顔に刻まれた深い皺に赤茶けたガリガリの肌。真新しいこげ茶色の忍者装束に身を包んだ長身の即身仏。それが目の前の老忍者を間近で見た感想だった。

「お館さま」

菜緒虎と香良が武器を構えておれと老忍者との間に入る。

「構わない。本気になれば多分無駄だからな」

実際の忍者はそうでもないがファンタジーの忍者は究極の殺りくマシーンというのが相場だ。

姿を現したという事は少なくとも敵対するつもりはないという事。

「流石ですな・・・」

ミイラいや老忍者は空気が抜けたような声で語り掛ける。

「儂は鞍馬家筆頭の御庭番で2代目ハッタリと申します」

「そういう事にしておこうか。で、何の用だ?」

「実は・・・」

ハッタリは片膝を付き香良のほうを見てから語り始める。

いま鞍馬家は存亡の危機にある。

・当主である鞍馬唐栖が謀反を疑われる咎にて切腹。

・鞍馬家は閉門のうえ直系長子である加羅が岳田家預かり。

・鞍馬家は出生地のイーガ以外の領地を返上。

・次女の鞍馬香良は鞍馬家の家督相続権を放棄した上でワ国国籍を剥奪。

鞍馬家がいまのワ国建国の忠臣であることを考慮したとしてもよほどの功績でも上げない限り御家再興は不可能な状況なのだという。

そしてそれ以上に問題なのが領地返上で俸禄が1/10となり家臣団の食い扶持が維持できないことである。

既に返上された領地の家臣は全員が浪人となって離散したのだという。

陰で鞍馬家のために護衛や情報収取を行ってきた御庭番であるハッタリ家もここに来て判断を迫られる。

御家再興まで主君加羅を盛り立てていくか、今まで集めた情報を手土産に他家に仕えるか・・・

「香良を分家に担ぎ上げて仕えるか」

ハッタリの表情が僅かに変わる。

「ダメですか?」

「当然だな。香良の上げた情報をぞんざいに扱い己が主君に判断を誤らせた情報機関におれは価値を見出せない。それは他の家でもそうだろう」

ハッタリの顔が歪む。

実際、香良には我が軍の戦力、戦闘力を惜しまず見せ情報を流すことも規制していない。

ワ国の商船の前でのギープ王国相手の海戦もワ国近海での海賊討伐も情報は伏せていない。

にもかかわらず速攻で唐洲(あのばか)は挑発してきた。

「主君が取り合わなかったとか間抜けなことは言うなよ?」

「ぐぬぬ・・・」

「おいおい。素が漏れてるぞ・・・いい加減正体を晒したらどうだ?」

ハッタリの間に微妙な空気が流れる。

「はっはっはっ流石ですな」

不意に、本当に不意におれの後ろから声がする。

仙人のような杖を持つ背の低い髭と眉毛が顔の大半を覆う老人がおれの横を素通りして目の前のハッタリの横に立った。

「儂が二代目ハッタリ・ハンゾウですじゃ」

老人は笑いながらハッタリの顔を杖で叩く。

ピシッ

顔がひび割れたかと思うとパラパラと剥離し老忍者ハッタリは青い髪をオールバックに撫でつけた眉毛の太い青年へと姿を変えた。

「まったく図星をさされたぐらいで表情に出しおってそれで三代目が継げると思っとるのか?」

ハンゾウはコンコンと青年の額を杖で叩く。

「いや失礼した。ソウキ殿。我々はギープ王国やワ国の情報を収集した結果、一族を割ったのです」

ハンゾウは懐から一冊の大福帳を取り出す。

「我が一族が集めたギープ王国とワ国の情報書のうちの一冊です」

とりあえずパラパラと大福帳をめくってみる。どうやらワ国に生息するモンスターの分布図のようである。

「こちらに庇護してもらえるだけの力はある脳筋で無いと判断したから姿を現したと・・・とりあえずは一定期間お試しという事でいいかな?」

「残りの報告書をお渡しします。屋敷まではカンゾウを案内させます・・・」

ハンゾウは深く頭を下げた。


「お納めください」

うず高く積まれた巻物を背後にハンゾウは正座のまま深く頭を下げる。

「アルテミス」

アルテミスは小さく頷くと巻物を手に取りざっと目を通す。

「こ軸が白いものは一次情報ですね・・・こちらの軸が赤いものはハッタリ家が宗家に情報として整理し纏めて上げたものだと思います」

「使えるか?」

「単なる塊と精錬したものを複数用意したことを妾は評価いたします」

なるほど・・・

「とりあえず一本とあれを一袋持ってこい」

「了」

アルテミスを収納しドラゴンメイド六人を召喚する。

ドラゴンメイドたちは優雅に頭を下げると次々と巻物を拾い集める。

「スケルトン魔法使いの指示に従え」

「了」

ドラゴンメイドが応えるのを見て次々と収納していく。

「便利ですな・・・」

「非戦闘状態で相手が支配下にないと使えない裏技だがな」

ハンゾウの問いに答える。

「マスター」

アルテミスからの思念が来たのでアルテミスを召喚する。

「情報提供とこれからの期待料込みだ」

アルテミスから受け取った金のインゴットをゴトリと革袋を一つジャラっと床の上に置く。

ハンゾウは袋の口を解き中身を確認する。

「なるほどギルドを経由して何人か送っておきましょう。それと・・・」

ハンゾウは懐から一本の小刀を取り出す。

幅広い鎬の部分に刻まれた蝶の翅の模様に青い光を放つ刃。

「蝶の小刀(バタフライナイフ)?」

「見たまんまですな・・・家宝ですが、忠誠の証としてお納めください。それと孫のカンゾウを連絡係として鍛えてください」

「拙者。ハッタリカンゾウお館さまに忠誠を誓います」

カンゾウはガンと床に頭を打ち付けた。うむ。かなりおバカな子っぽい・・・


☆ ☆ ☆

新規モンスター


名前 ハッタリ・カンゾウ

種族 人間-下忍

分類 人間

性別 男 女

性格 イビル-ロウ

STR:17 INT:17 DEX:17 VIT:17 AGI:17 LUK :17 

体力25/25魔力25/25

能力:一閃(低い確率で敵を一撃死(クリティカルヒット)させる)

   前職の能力継承(カンゾウは剣士のド根性(能力と体力の一時的な向上))

魔法:(とん)(地・水・火・風属性の盾を造り相対する魔法の威力を低下させる)

特殊能力:感知(敵意や罠、隠された扉など隠蔽されたものを知ることが出来る)

装備:ショートソード・鎖鎧・鉢金・籠手

備考:一定の能力に達したものが特殊な鍛錬の末に習得できる職業。

   破壊工作・ 暗殺・諜報・偵察などを行うことが得意。最上級の忍者は天候を操り巨大なカエルを召喚するらしい。

   前職の能力を継承することが出来る。

※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。


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