表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/118

御前試合 その1

馬場雅信(ばばまさのぶ)と申します」

赤茶色の短髪に茶色のドングリ眼。腰に刀を吊った長身巨躯の30半ばの男が右手を胸にして小さくお辞儀をする。

左頬に縦に刀傷があり歴戦の戦士という風格が漂っている。

内藤雅秀(ないとうまさひで)と申します」

短い白髪に灰色の瞳。顔に刻まれた皺がかなりの高齢であることが伺える老人。腰には大小二本の刀が吊ってある。

中肉中背で老人ながらかなりしゃんとした印象が強い。

山縣雅影(ないとうまさかげ)です」

ぼそりとつぶやいて右手を胸にして小さくお辞儀をしたのは内藤と同じ背丈の黒い短髪に黒い瞳の20代前半青年。

肩には2メートル弱の朱塗りの槍を担いでいる。

香坂雅(こうさかみやび)です」

岳田家の四天王で唯一の紅一点。腰にまで届く藍黒いポニーテールに猫っぽい紅い瞳の10代半ばの少女。

腰には140センチほどの樫の木の棒が・・・いや片側に鉄製の石突があるな。仕込み杖か?

ちなみに全員が全て赤色で統一された胴鎧に籠手。額部分に鉄板の代わりに銅銭が編みこんである鉢金を装備している。

対する我が方は同田貫に本多忠勝具足写一式に身を固めたウッドエルフの侍大将である菜緒虎。兜ではなく鉢金を装備している。

次に金属の三節棍に燕尾服姿のドラゴンバトラー。一応、燕尾服の下に心臓を守る程度の胸当てがあるのだがそういう無粋な物の形が出ていないのは流石である。

そして黒い全身鎧にドラゴンの白鱗で出来たロングシールドとランスを携えたガイコツ頭の死騎士(デスナイト)。いまは骸骨馬(スケルトンホース)から下馬している。

最後に硬革鎧(ハードレザーアーマー)に鉢金。ピカピカに光ったシャベルを肩に担いだ狼人間(ワーウルフ)

この四人とは別にメッスィングドラゴンとピンクのバニースーツに身を包んだ鳥人間(ワーバード)の鞍馬香良がいるのだが御前試合には出場しないので数歩下がっている。

まずはルール・・・といっても一撃死(クリティカルヒット)をもたらす技を行使しない以外はなんでもあり。

ダメージが体力の半分を超えた方が負け。相討ちなら引き分け。降参は自己申告といった程度だ。

「ソウキ殿。回復役は如何しましょう。こちらで用意いたしましょうか?」

「ご配慮感謝します。ですが・・・」

勝頼の言葉に感謝してから女僧侶を召喚する。

シャン

刃と柄の長さがほぼ同じで広く若干厚みのある鍔には鈴が仕込まれている鉾鈴(ピックベル)という武器を振って鈴を鳴らし巫女服に身を包んだ緑髪ショートの女僧侶が姿を現す。

「御身の前に」

女僧侶が深々と頭を下げると勝頼陣営からざわめきが聞こえてくる。

「どうしましたか?」

「いや、ソウキ殿が召喚された回復役の方の衣装が我が国の宗教の衣装に酷似しているのです」

勝頼がざわめきの理由を告げる。

「我々が信仰する女神リブーラ様の祭事を司るための衣装です」

勝頼の顔が何かいかがわしいものを見るものになる。

「新興の宗教ですが回復魔法の威力はどこの神様よりも確実ですよ。ええ信じて貰わなくて結構です」

きっぱりと断言する。

旧神がすでにこの次元を去って起こる奇跡は残滓。力を受け継ぐ後釜の神様候補が三人いてリブーラ様はその一神といっても信じて貰えないから、いまはこれでいい。

「では何かありましたら」

大人の判断か言いたいことを飲み込んで勝頼は自分の陣営へと戻りミーティングを始める。

「勝っていいぞ」

了と思念が返ってくる。

「そうだ。勝てば名を付けてやろう」

ざわりと菜緒虎以外のメンバーの気が膨らむのが感じられた。

いま我が軍団にはふたつのステータスがある。白露城に個室を持つことそして名前をつけてもらう事。

部屋持ちはアルテミス、菜緒虎、クワトロ、銀色短髪ハイエルフのお姉さん。

名前はアルテミス、菜緒虎、アーリエル、クワトロ、悪韋。

実に狭き門である。

「菜緒虎はどうしようか?」

(それがし)が勝つのは確定ですか」

「当然だ。考えておけ」

菜緒虎は苦笑いを浮かべて深く一礼する。

「では先鋒を前に」

鞍馬香良が声高らかに開幕を告げる。

「ワーウルフ」

「応」

「内藤よ」

「御意」

ワーウルフと内藤雅秀(ないとうまさひで)が広場の真ん中で対峙する。

しゅん

内藤翁が腰に吊った大小二本の刀を抜いて構える。

ワーウルフがシャベルを両手に持って構える。

内藤翁の構えに油断はないがワーウルフはかなり間抜けに見える。

「はじめ」

香良が叫ぶ。

まず動いたのはワーウルフ。

素早くスコップを上段に振り上げ、一足に間合いを詰めて振り下ろす。

スコップというとあれだが、見方を変えれば1メートル以上ある棒の先に人間の顔より大きな切れ味のある鉄の板の付いたメイスである。

内藤翁はスコップの軌道を右手の大刀で外に弾きつつ左手の小刀でワーウルフの脇腹を斬りつける。

ばしゅ

ワーウルフの身体から血飛沫が上がるが、あっという間に傷が塞がる。

「へっ悪いなぁ。擦り傷ぐらいじゃダメージにならないぜ?」

「ぬっ?」

内藤翁の顔色が変わる。

ぶん

ワーウルフはスコップを跳ね上げる。

よけきれず内藤翁の左腕がスコップによって切り裂かれる。

「硬い大地に穴を穿つ道具だよ?甘く見ない方がいい」

ワーウルフは野太い犬歯を見せて笑う。どうやら決めポーズらしい。

「はっ」

ワーウルフは鋭く突きを入れる。

カン

内藤翁は大刀でスコップを弾く。しかしこれが最後の抵抗だった。

ぶん

ガスッ

ワーウルフの袈裟斬りが内藤翁の肩から胸を鎧ごと切り裂く。

ブシュ

内藤翁の上半身が鮮血に染まる。

「せい」

渾身の力を籠め内藤翁は大刀と小刀を交差させるように繰り出す。

が、ワーウルフは素早く間合いから離れて大刀小刀を躱すと一気に間合いを詰め内藤翁の腹部を蹴り飛ばす。

内藤翁は派手に吹っ飛んでいく。

「頼む」

俺が女僧侶に向かってつぶやく。

「我が女神の慈悲を回復(ヒール)

平癒(へいゆ)

女僧侶がまず叫び続いて香坂が内藤翁に向かって叫ぶ。

香坂の目が明らかに大きく見開かれる。あれはこちらの術が自分より早く内藤翁を治したのに気付いたな・・・

香坂が勝頼に向かって何やら告げている。


「勝利、ワーウルフ」

香良がワーウルフの左手を持ち上げ声高々に宣言する。

「がっはは名前ゲットだ」

尻尾をブンブンと喜び一杯に振りながらワーウルフは雄たけびを上げた。


ありがとうございます

ブックマークをされた方が増えました御礼申し上げます。

アドバイスを頂き、近く最初の頃の話(章)のタイトルや話のフォーマットをいまの装備→本編→モンスター変える予定です。内容に手を入れる予定は今のところありませんがよろしくお願いします


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 後半の文が重複してたので報告します 「平癒へいゆ」から数行ほどの分が二回続いていました
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ