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第二次ジャン港沖海戦 その1

「これが見積もりとなります」

鎧複製を依頼していたドアホーからの連絡は依頼から2日という意外にも早いものだった。

渡された見積もりの金額は金属の全身鎧(フルプレート)2個分とかなりお高いものだったが必要な投資として割り切る。

「では2つ注文しよう。糸の色は本家と同じという訳にもいかないから赤と紫にしてくれ」

「承りました…ところで外がなにやら騒がしいようですが?」

「ああ、外曲輪の外で農地用の井戸を掘削していたらな温泉が湧いたようだ」

アルテミスからの報告をそのまま伝える。

「温泉…ですか?」

「温かい泉と書いて温泉。まぁ天然の風呂だ」

「はぁ…」

ドアホーはなんとも妙な顔をする。

まぁ大量のお湯を全身が浸かる桶に満たして身体を洗い潔めるという概念がないと説明してもアレか…

いずれ露天風呂の設計などでなんらかの助力を乞うかもしれないからということで話を終わらせる。

「マスター。ニーダ族ノ蒲鉾船2隻トソレヨリ大キナ船1隻ヲ見ツケタ。船追ッテル」

警戒中の(ロック)鳥から思念が入る。

視点を(ロック)鳥のそれに変更して全容を確認する。

追われているのは中国のジャンク船に西洋のガレオン船を融合させたような木造の帆船。歴史の教科書でご朱印船と紹介されているアレだ。

追いかけているのは中国風のジャンク船。2隻の蒲鉾船を曳航して追跡している。というかよく追えるな。魔法でも掛かっているのか?

ジャンク船の舳先には筋骨隆々で人型の虎…恐らくは虎人間(ワータイガー)が腕を組んで立っている。腰には大きな青龍刀。

ギープ王国の正規軍か私掠船かはたまた海賊船か…ニーダ族の蒲鉾船を引っ張ってる時点でお察しだが…

「アルテミス。船を用意してくれ」

了と答えが返ってくる。

召喚の魔法陣へと赴き皇帝烏賊(エンペラースクウィッド)4体とシャークを4体。ミズチ3体とマーマンを2人召喚する。

召喚したマーマンは茶髪茶瞳の顔のホリの深い男性と緑髪濃紺瞳のくどい眉毛が特徴の男性。

マーメードは来なかったが、海洋戦力としては当面これ十分なのでこれ以上は召喚しない。

本隊はアルテミス、菜緒虎、ハイエルフのお姉さん、死の狙撃手(デススナイパー)の中長距離優先のものにする。

新たに海軍として第六軍と第七軍と第八軍を組織し第六と第七はそれぞにマーマン・皇帝烏賊(エンペラースクウィッド)×2シャーク×2・ミズチ。

第八軍にはマーメードのアーリエル・皇帝烏賊(エンペラースクウィッド)・シャーク・ミズチ×3を配置。これは基本予備戦力として運用することにする。

「ずいぶん慎重ですね」

アルテミスからの思念が入る。

「あれが海賊とは思えない・・・いや海賊もやっているんだろうけど真意はこちらの見極めだろ?ギープにしても負けたはこちらの奇襲が原因だと思っているだろうし」

「周囲警戒を厳とします」

「では、第二次ジャン港沖海戦と洒落込もうじゃないか」

了と思念が返ってくる。


船が進む…おそらく地元の人間が見たらあり得ないと言うだろう。それだけ船のスピードが出ている。

タネを明かせば皇帝烏賊(エンペラースクウィッド)が引っ張っている。

ちなみに危機を脱したクワトロの心臓マッサージを甲斐甲斐しくやっていたヤツだ。頭一つ抜けて忠誠心が高い。

しかし先々のことを考えるとそろそろ船の規模を大きくした方がいい…ワ国に行くことも考慮するなら3本マストのキャラック船あたりがいいな。

南蛮船とかコロンブスのサンタマリア号とかあんな感じのヤツ…

そういえば最初の頃は透明な壁で侵出できなかった南方や東方には行けないのかな?この戦いが終わったら女神(リーブラ)さまにお伺いを立ててみるか。

ではそろそろ索敵を開始しよう。

まずはお約束の(ロック)鳥召喚。

別動隊がいて本拠地や背後を襲われても厄介なので東回りを重点に索敵。

続いて第六と第七軍を召喚し前進させる。

さて、どこまで情報が洩れているか…


「我接敵ス」

シャークから思念が入る。

まずは蒲鉾船の船体に体当たり。

ガコン

蒲鉾船は大きく揺れると同時に屋根が外れる。屋根というよりは単なる覆いか。

中にはバスケットボール大の棘球が満載されている。

ニーダ族らしいのが棘球を持ってシャークのいる方に向かって投げ込む。

どぼーん。カッ。ドゴン。

間抜けな音と直後に発生する破裂音。

爆雷か!

そういえば硝石・硫黄・炭を混ぜると爆発する火薬自体は6世紀の中国で発明されてるんだっけ?

材料さえあれば出てきて当然か。

損害を報告せよ。

ない。ない。ありません。どうやら至近距離での爆発には巻き込まれなかったようだ。

棘球がどういうときに爆発したか?

見てない。知らない。棘球同士が接触したら轟音がした。接触爆発か?

いや、導火線による時限爆発の可能性を捨てるのは危険だな。

「棘球に接触しないよう注意しつつ蒲鉾船に二、三度攻撃して棘球の性能を探れ」

了と返ってくる。

数度の体当たりの結果、棘球は棘が接触で球体に押し込まれることで爆発するタイプだと判明する。

なら話は早い。

下から突き上げてやれば、いずれ落としてやらかす・・・それが目的か?

一度、蒲鉾船の攻撃範囲から味方を下げる。

ドゴン

次の瞬間凄まじい轟音が周囲に響き渡り閃光と炎が海面を舐める。

危なかった。

「ジャンク船と蒲鉾船を切り離せ。船足が違うからほどなく脅威は去るはずだ」

了と返ってくる。

皇帝烏賊(エンペラースクウィッド)2匹がジャンク船と蒲鉾船を繋ぐ鎖に足をぐいっとかけて引っ引っ張る。

ぐんとジャンク船と蒲鉾船の間が縮まる。お、それいけないか?

「そのまま引きずり込め」

了と返ってくると同時にジャンク船と蒲鉾船の間が急速に縮まる。

どこっ

見事にジャンク船と蒲鉾船が衝突する。急速に傾斜するジャンク船と蒲鉾船。

ドゴガン

蒲鉾船とジャンク船の後部が吹っ飛ぶ。

「前方よりジャンク船2、蒲鉾船4」

アルテミスが報告する。

索敵にはかからなかったはずだがどこから出てきた?

「幻術。幻術を展開していたものと推測されます」

おお、敵にも強力な術士かいるという事か?

「肯定です」

「そうか…では幻術士は確実に仕留めろ。第七軍は迂回し側面から攻撃だ」

了と返ってくる。

「マスター。ジャンク船ガ蒲鉾船ヲ切リ離シタ」

(ロック)鳥から思念が入る。牽引船による爆雷作戦が失敗と見るや決断早いな…

でもどうするんだ?攻撃手段はあるのか?

「作戦変更。第七軍は蒲鉾船を第六軍はジャンク船を仕留めろ」

「我接敵ス」

第七軍のシャークから思念が入る。

ドコっ

蒲鉾船のひとつにシャークが体当たりする。ヒットアンドウェイ。

ドコン

蒲鉾船からなにやら物騒な音が。

ぴしっ

次の瞬間蒲鉾船の船体のあちらこちらから光が零れ轟音とともに爆発する。

<<シャークのレベルが上がり進化の条件を満たしました。進化しますか?>>

Yを選ぶ。

ごおぉ

シャークの体を無数の泡ようなものが包み込む。

ごぼっ

泡が消え去ると同時にそれまでのシャークより三倍近い体長15メートル超の巨大サメが姿を現した。

ええっと洒落になってません。ギープのジャンク船の2/3ぐらいの大きさかある。

<<シャークがメガロドンに進化しました>>

ずっ

メガロドンがずいっと次の蒲鉾船に向う。

ぎぃぎぃ

メガロドンの突撃を見たニーダ族が我や先と海に飛び込む。

いや、生き残るとか無理だろ…

海面に飛び込んだニーダ族をミズチが次々と捕食していく・・・ですよねー

「鹵獲できるなら鹵獲しろ」

了とマーマンから思念が返ってくる。

蒲鉾船に興味がないが棘球が鹵獲できるのは美味しい。

「ワレ接敵ス」

新たに現れたジャンク船に向っていた第六軍の皇帝烏賊(エンペラースクウィッド)から思念が入る。

ガゴン

皇帝烏賊(エンペラースクウィッド)の二本の触手がジャンク船に絡みつく。

ガン

触手めがけて手斧が振り下ろされるが弾力に阻まれで有効的なダメージが通らない。

三本目と四本目の触手が絡みつく。

ミシシ

船体が悲鳴を上げる。

船に乗っていた犬人間(ワードック)が棘球を持ってきて皇帝烏賊(エンペラースクウィッド)めがけて投げつける。

パガン

凄まじい音と同時に皇帝烏賊(エンペラースクウィッド)の足が二本ふっ飛ぶ。

勇気あるなあのわんこ。ただイカやタコは触手を吹っ飛ばされたぐらいじゃ…って滅茶苦茶痛がってるな。

ズスッ

別の皇帝烏賊(エンペラースクウィッド)が反対側から触手を伸ばしジャンク船を引っ張る。

ガシュ

ミズチが体を捻りながらジャンク船の腹に喰らいつく。

噛み砕かれたところに大きな穴が開き、急速にジャンク船は船体を傾ける。

バギバキバキ

船体が穴の開いたところからへし折れていく。

ミズチが体を捻りながらジャンク船の腹に喰らいつく。

がしゅ

耐え切れず船体がへし折れる。

<<ミズチのレベルが上がり進化の条件を満たしました。進化しますか?>>

Yを選ぶ。

ごぼっ

ミズチの体を無数の泡ようなものが包み込む。

泡が消え去ると同時にドラゴンの頭に蛇の身体を持つ体長七メートル超の蛇が姿を現した。

<<ミズチがシーサーベントに進化しました>>

おお、訓練を欠かさなかった成果が出ているな。

「マスター。海に落ちた敵はどうする?」

マーマンから思念が入る。

「そうだな。戦闘が終わるまで運よく生き残っていたら考えよう」

了と思念が返ってくる。非常に思えるかもしれないが、ジャンク船はまだ一隻残っているのだ。


ここまでの新しいモンスター。

名前 シーサーペント

種族 シーサーペント

分類 動物

性別 雄・雌

性格 イビル-カオス

STR:12 INT:2 DEX:13 VIT:14 AGI:15 LUK :3 

体力35/35魔力2/2

能力:海での移動ペナルティなし回避力上昇。海以外の地形では移動できず回避力も低下。

火系・地系のダメージ増大

水系のダメージ無効

風系のダメージ減少

魔法:水撃(水属性)

特殊能力:獰猛な咢(威力のある3回連続の攻撃が可能)

装備:なし

備考:ドラゴンの頭に蛇の身体をもつ獰猛な海のギャング。体長は5~8メートルある。

海上で頭だけ出していることでさらに凶悪なリバイアサン等に間違われることがある。

ミズチをレベル20まで育てることで進化することが確認された。

※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。


名前 メガロドン

種族 シャーク

分類 動物

性別 雄 雌

性格 ニュートラル-ニュートラル

STR:14 INT:2 DEX:8 VIT:19 AGI:15 LUK :1 

体力38/38魔力2/2

能力:海での移動ペナルティなし回避力上昇。海以外の地形では移動できず回避力も低下。

地系・風系のダメージ増大

魔法:なし

特殊能力:強大な咢(中確率で大ダメージを与える)血の狂騒(敵味方関係なく流血を感知するとSTRが上昇する)

装備:なし

備考:血の匂いに敏感。攻撃する際にその背びれを見せつけるため発見は容易だがその大きな咢から逃れることは難しい。

体長は15メートルに達する。

シャークをレベル20まで育てることで進化することが確認された。

※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。

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