表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/118

地下墳墓の迷宮 その1

「お願いがあります」

鞍馬香良が土下座に近い姿勢で頭を下げる。

是非ともお話ししたいことがありますというので香良に会ったのだが、なんだ?いきなりだな・・・

「実は菜緒虎殿が所有しています同田貫は・・・」

香良が言うには、彼女の3代前いまから百五十年前のご先祖である鞍馬喜治(くらまきじ)が君主である百田朗(ひゃくたろう)と同僚の乾野健(いぬいのけん)弐本沙流(にいもとさる)と共にこの大陸に遠征に来た。

目的はこの地で暴れていた鬼の討伐。

激戦の末に鞍馬の同田貫による一撃が鬼の額を貫いて倒すことが出来たのだが、鞍馬はその時に相討ち。乾は帰還する途中で戦いの最中に負った傷が原因で病死。

百田、弐本もワ国に帰ってきたときは満身創痍だったという。

「鞍馬殿は先祖の形見である同田貫を返還してもらいたいと?」

「いえ・・・いや譲っていただけるならこれ以上の喜びはないのですが、いまは先祖の墓に参りたいのです」

そういえば10年前からのギープ王国との関係悪化でワ国と大陸の間の交流が著しく阻害されているんだったな。

ムーゲにその辺の情報も漁らせとくか・・・アルテミスに指示を出す。

「承りました」

アルテミスからの思念が返ってくる。

「鞍馬殿の願い了承しました。ただ、最初はお・・・わたしも同行させてもらいます」

「よ、よろしいのですか?」

香良は驚いたような顔をする。まぁ客将の野暮用にこのこのついて来る組織のトップとか普通はあり得んよな・・・

「たまたまですが、新しく習得した魔法を試す必要もありますので」

「新しい?」

「都市間の魔法門(マジックゲート)といって、この城とある程度の規模の都市を一瞬で繋ぐ魔法です」

香良の疑問に答える。

「こちらも準備をします。30分後に鐘を鳴らしますのでここにおいでください」

香良は深く頭を下げると部屋を出ていく。

さて・・・暫し同行者を考える。アルテミスは内政の雑務があるから外して菜緒虎と悪韋と墓参りなら女僧侶あたりを連れていくか。

菜緒虎と悪韋と緑髪ショートの女僧侶を召還する。

そうだネーゼに武器ではなく悪韋の防具を発注してみるか。度々すまないアルテミス。

「承りました」

アルテミスからの思念が返ってくる。

「菜緒虎。ソロモンの幹部に顔通しするからそのつもりでいてくれ」

「はっ」

菜緒虎は小さく頭を下げた。


「ここがゾンビと化した鬼がいた所ですか・・・」

香良はざっと周囲を見回すと、懐から懐紙に包んだものを取り出す。

懐紙を開くと出てきたのは蝋燭と線香。え?火はどうやって点けるの?

「火打ち」

香良が小さくつぶやくと小さな火が生まれれて蝋燭に着火する。なんか便利な魔法だな。

慣れた手つきで蝋燭の火に線香をかざし・・・線香から煙が立ち昇る。

香木・・・多分オーソドックスな白檀の匂いが香る。骨だけど匂うのだ不思議なことに・・・

囁き・詠唱・祈り・念じろ・・・有名なRPGの一説・・・

チーンとお輪を鳴らして・・・そこまで仏教に似ている宗教があるのか。

ん?何か変だな・・・百五十年前から遭遇した時の状況を繰り返していたとしたら、この一帯はモンスターの楽園になっているか早々にゾンビ鬼は討伐されて刀は回収されてるはずだ。

「ありがとうございました」

彼女が信仰する宗教の祈りの言葉が終了したらしく深々と頭を下げる。

「では私からも」

最近神官装束として決定したらしい巫女服(巫女装束ではない)に身を包んだ緑髪ショートの女僧侶が一歩前に出る。

シャン

刃と柄の長さがほぼ同じで広く若干厚みのある鍔には鈴が仕込まれている鉾鈴(ピックベル)という武器・・・僧侶は刃の付いた武器はご法度というお約束はうちの神様(リブーラ)にはない・・・を持って舞う。

鎮魂の意味を込めた祈りの舞踊・・・いや武踊。

「ありがとう・・・ございます・・・ありがとう・・・」

香良が膝を折り顔を覆って嗚咽を漏らす。

ん?なんだ?香良を中心に地面に何やら光の環が広がって・・・これは魔法陣?って最近似たようなものを。

魔法陣を描くように光が立ち昇り・・・転移か!

………

……

風景が一転してゴツゴツとした洞窟のようなものになる。

どこかに飛ばされたな…

目の前にはお馴染みの召喚用魔法陣がある。

ここのご新規はなんだ?

<<スライム>>

え?一種類だけですか?

ただ、召喚できるモンスターに不満はない。

某人気アクションRPG以降、序盤モンスターということで雑魚の代表として有名になったモンスターだが、実際には初心者はおろか中堅すら倒せる厄介な狩猟者だ。

召還する。

「なんですかこれ」

香良がぶよよーんと地面で蠢く粘質の物体を指さしながら尋ねる。

「スライムだ。その強力な消化力で閉鎖空間では驚異的な戦闘力を発揮するモンスターでもある」

香良は慌てて手を引っ込める。

「味方は襲ないが、いままでの経験則からいうとこの洞窟の敵にスライムがいる可能性が高いから説明したいが、その前に・・・」

「なんでしょうか?」

「鞍馬殿に一時的に我が軍支配下に入ってもらえないだろうか?」

香良の目が点になる。

クワトロときと同じように軍団所属でない者を収納することはできる。しかし、その場合仮想空間や白露城送ることはできるが収納した場所に召喚することはできないのだ。

これは色々な人間で実験して判明したことである。

この洞窟に放り込まれたのが香良が原因である以上、香良を危険なので回収しましたしかしその結果この迷宮から出られませんでした・・・という可能性があることに気付いたからだの措置だ。

チェンジの大魔法が使えないのは確認済みである。

また従属は一時的なものであって双方の同意があれば従属関係が解除できることも説明する。

「わ、解りました」

香良は十数分ほど考えて小さく頷き従属する事を承諾する。

従属させた香良を一度収納し魔法陣に乗る。

うん・・・召喚できるようになってるね・・・ワーバード。これくらいはあっていいだろ。

ワーバード召喚。

栗色の髪に黒い瞳、羽の色はダークブラウン。猫のような鋭い目つきの少女。プロポーションは・・・少女らしくこれからの成長を期待する。

さて・・・ワーバードの少女を収納し香良を召還する。

迷宮の攻略の始まりである。


召喚できるようになったモンスター

ワーバード

種族 有翼人間

分類 亜人間

性別 男・女

性格 ニュートラル-ニュートラス

STR:4 INT:4 DEX:8 VIT:5 AGI:10 LUK :5 

体力15/15 魔力4/4

能力:低空飛行により地形効果の選択化

魔法:なし

特殊能力:なし

装備:細棍棒・皮鎧

備考:六肢族の一種。天使族の末裔であるという説があるが定かではない。

四肢で鳥の翼があるパーピーという種族もおりこちらの近種ではないかという説もある。

基本は高地で家族単位で住んでいるがワ国では平地でも普通に見ることが出来る。

※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。

ありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ