捕虜と人質 ※ルビ設定変更
一般人はまだ魔法使いが登録されていないのでそのままにして、ドラゴンメイドとレッドドラゴンを上位モンスターを召喚リストとして入れ替える。
ムーゲを呼んで装備の更新と雑品の売却を済ませる。
そこに思念がいる。
「ボロル・ネーゼが面会を申し出ています」
を来たか…ドテとトラ美とともに評定之間に招待するように命じる。
そして・・・
目の前でブームケット村の村長でドワーフのボロル・ネーゼが地面に額を擦りつけんばかりの姿勢で土下座していた。
その隣にネーゼの孫であるドワーフの少年ドテと猫人のトラ美が同じように土下座している。
無意識なのだろうか?トラ美の尻尾がゆらゆら揺れている。
それが本来殺伐とした場になるはずのこの場を暖かいものにしていた。
銀色で短髪のハイエルフお姉さんが左手で鼻と口を押さえて右手は親指を立ててこっちを見ている。
「マスター。交渉が失敗してもトラ美ちゃんはスカウトしてください」
銀色の短髪ハイエルフのお姉さんからの懇願にも近い念が入る。なにがツボったのだろうか・・・
「で?村の判断はどうなんだね?」
「村は・・・降伏しません」
絞り出すような声でネーゼは答える。
ふーん。まぁポット出の勢力に媚びを売るのもおかしな話と言えばおかしな話か…
「それで面会を求めてきたのはなんだ?孫の身の心配か?」
ぴくんと肩を震わせるネーゼ。ああ、ビンゴか。
「交渉する時間を稼ぐ代わりに差し出した人質だろ?」
「む、無論ただでとは言わない」
ネーゼから差し出されたのは一本の戦斧と鋼の塊。
「儂は鍛冶師じゃこの戦斧とあと一本、指定された武器をお主に納める」
アルテミスがすすすっとネーゼの前に行き戦斧を受け取る。
「どうだ?」
「妾に武器の良し悪しは解りませんが、度胸は買ってもいいかと」
度胸を買ってもいいか。まぁ腕がお買い得ならあとで安く買い叩けばいいだけの話か…
「いいだろ孫は返してやる」
ネーゼの顔色がパッと明るくなる。
「だが猫人は差し出せ」
「な、それは!」
ドテが叫ぶ。あぁ青春してるな…色恋のレベルじゃないだろうが。
「童。質草であるお前がこの契約に口を出す権利はないぞ」
ドテの顔が真っ赤になる。
「小娘。それはお前も同じだぞ」
トラ美の方をちらりと見るとこちらは表情一つ変えてはいなかった。
むしろドワーフの少年の役に立てて本望だって顔をしている。
どういう物語かねぇ…あとで根掘り葉掘り聴取させようかってハイエルフのお姉さんを見たら悪い顔をしてた…
「トラ美とドテの関係にどれかだけ属性付けれられるか、内曲輪にある部屋の所有権を賭けるぞ誰か乗らないか?」
とりあえず念を飛ばしてみる。
本拠地となり、白露城と名付けた城の内曲輪に幹部としての特権として個室をもっているのは菜緒虎とアルテミスしかいない。
ただおれの中にある(らしい)特殊空間に個々の生活空間が完備されているので生活空間としての価値はない。
単純にステータス。おれに対する忠誠の証。
「マスター。それは妾にとって賭けになりません」
アルテミスから抗議がくる。
「お前が勝てば好きな本を一冊買ってやる。ジャンは元々港町だけあって色々あるそうだからな」
「ドテとトラ美は幼馴染」
即座にアルテミスから答えが返ってくる。堅実すぎる。
「早いもの勝ちじゃないですか」
緑っぽい金髪のハイエルフ兄さんから抗議が入る。
「同じ答えなら盛ればいい。足し引きで勝負できるだろ」
「ドテとトラ美は幼馴染でドテはトラ美が好きに賭けましょう」
赤毛の青年剣士が嬉々として話に参加する。
「よぐわがらない゛」
うんうん。お前は話に参加するだけでも大進歩だ。
「ドテとトラ美は幼馴染でドテはトラ美が好き・・・それにトラ美は奴隷または奴隷の子供を追加しましょう」
銀髪のハイエルフのお姉さんがじゅるりと唾を飲み込む音に被せるように宣言する。
もしかして琴線に触れたのそこですか?
まぁ自分たち損はないのだから参加しないのは損だが・・・
「アルテミス。賭けをまとめておいてくれ」
「承りましたマスター」
これ以上はあれなのでアルテミスに丸投げする。
「どうした?これ以上はお前達に用はないぞ?」
「は、はい・・・」
ネーゼとドテはがっくり肩を落として姿を消す。
そういえば彼らはどうやっておれに謁見を申し込んでいるんだろうか・・・
「妾が女神リブーラ様の護符を渡しております。この護符を持った者が召喚を願いこちらが同意することで一時的に簡易召喚出来るのです」
そして、こちらが願い護符を持った者が同意することでも同じことができる。便利なもんだ・・・
「ということは地下に監禁してるふたりの冒険者は引っ立ててくる必要があるのか?」
「はいマスター」
アルテミスが即座に答える。そうか・・・
「ドラゴンメイドとリザードマンで迎えに行けなるべく丁重にな」
「銀髪さん。トラ美の身柄を預けます。出来ることとか、あれやこれや聞いてやってください」
「謹んで承りますわマスター」
銀色で短髪のハイエルフお姉さんが満面の笑顔でトラ美を連れていく。
「御前に・・・」
銀色で短髪のハイエルフお姉さんと入れ替わるように4人の人間が姿を現す。
ひとりはロングの茶髪にはカチューシャ。大きな茶色い瞳。額や喉といった急所や肩から手の甲にかけては硬そうな鱗。
背中には大きな蝙蝠の翼があるがそれ以外は普通に人の風貌をしたメイド服の女性。身長は180センチ超えていてプロポーションも抜群である。
ひとりは蒼い肌の二足歩行のトカゲいわゆるリザードマン。実はメイドさんと同種。メイドさんも進化する前は色違いのリザードマンだった。
ああそうだ。ドラゴンメイドを5、6人召喚して城の警備にしよう。
そしてブームケット平原で捕虜にした魔法使いマーサと弓兵リリィの二人の女性。
マーサはショートカットの青い髪に青い瞳。魔法使いなので念のため猿轡が噛ましてある。ゆったりとしたローブ越しだがプロポーションは大平原っぽい。まだ若いだけかもしれないが。
リリィは蒼黒いセミロングの髪に黒い瞳。武装は解除しているので布服。こちらは平均的なプロポーションだと思う。多分。
「おれはお前たちから見れば辺境で研鑽を積んでいたソウキという召喚術師だ。周りにいるのは召喚したおれの部下だ」
相手に名前を聞く場合はまずは自己紹介。知ってる。
「わたしはリリィ・ボノレン。マッサチン国の冒険者ギルドに所属するイエローの冒険者」
そういってマーサの方を見るが、猿轡をしているので喋れないと解って言葉をつづける。
「彼女はマーサ・セキ。マッサチン国の冒険者と魔法使いギルドに所属するイエローの冒険者」
こくこくと首を縦に振るマーサ。
港湾都市ジャンの領主殿が動いたにしては早いな…マッサチン国はかなり早い段階で辺境での異変を察知してる可能性があるな。
「誰の依頼だ?」
「辺境のモンスター退治はギルドの優先任務です」
迷うことなく答えるリリィ。半分嘘だな。答えに迷いが無さすぎる。
「そういう事にておこう。さて冒険者ギルドについていくつか質問がある」
まず冒険者のクラス。
色なしをスタートに黒、白、黄色、赤、青、紫、錦の8階位。昔の官僚制度の地位を意味する冠の色がもとになっている。
アルファベットならF、E、D、C、B、A、S。
とある小説なら銅、鉄、銀、金、白金、蒼白銀、紅黄金、金剛鋼。
報酬を得てモンスター退治をおこなう専門家で国の庇護は受けているが国に所属しているわけではない。
魏府王国やワ国にも同じ組織があり魏府王国とワ国の間が険悪に、マッサチン国とワ国の間が疎遠になった後でもギルド間の交流は活発なのだという。
死からの復活はギルドと提携している寺院で高額のお布施によって行われる。死、灰の段階を経て喪失した場合は永久に復活しない。
ただ近年は神の力が衰退してきていて蘇生率が物凄く下がってきているのだという。
まぁこの地の宗教を作ったであろう先代の神様はこの地を去って、いまあるのはその力の残滓だから当然の話ではある。
ということは何か?うちの女神様を信仰する上位職神官職がいれば何かと便利になるという事か?
「情報提供を感謝する。いろいろと役に立ちそうだ・・・そうそう貴女達が信仰している神はもういない。この地にいるのはその神の3人の弟子だ。死に戻りは相当なリスクだと思ってくれ」
そういっておれは席を立つ。
「つれてこい・・・」
そういってアルテミスとドラゴンメイドとリザードマンを伴い。二人の人間を天守閣の最上階。女神リブーラが鎮座する社まで連れてくる。
「ドラゴンメイド5体召喚」
社の前の魔法陣の中で召喚呪文を唱える。
ぼぅと魔法陣が光り輝き、鱗の色が赤色、黒色、青色、緑色、白色のドラゴンメイドが5人召喚される。
「今すぐの開放は無理だが、彼女たちの監視下であれば自由にしてもらっていい」
パチンと指を鳴らすとリザードマンがマーサの猿轡と手の拘束具とリリィの手の拘束具を外す。
「いいのですか?」
訝しげな眼でマーサは尋ねる。
「観てもらっても構わないが、船もないこの島から脱出出来るならご自由にとしか言えないな」
リリィとマーサはその言葉を聞いて慌て窓から外を見る。
外周にそびえる外輪山に3つの大きな曲輪に囲まれた白い城。おとなしくした方がいいと二人は悟るのであった。
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新規モンスター
名前 ワーキャット
種族 猫人
分類 亜人間
性別 男 女
性格 ニュートラル-ニュートラル
STR:8 INT:5 DEX:11 VIT:4 AGI:8 LUK :5
体力17/17 魔力6/6
能力:暗視(夜間の能力低下の無効)
魔法:なし
特殊能力:なし
装備:ショートソード・皮鎧
備考:猫人間。犬人間とならぶ古くから人間とともに生活している亜人間。その素早さ、狩猟本能から畑や蔵の番人として雇われている。
またその愛らしさから愛玩用として奴隷として飼われていることも多い。
※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。
ありがとうございました
そろそろハイエルフ3人の募集しようかなぁ・・・先着順で




