ウッドエルフのお姉さん・・・命名する ルビ設定
名前の応募はありませんでした・・・ありませんでした・・・
ぐごごごご
ゾンビ鬼が唸り声をあげる。いや声ではなく音だ。
その音が途切れると機械的にモンスターが召喚されゾンビ鬼の周りをうろうろしてある程度溜まると隊列を組んでゾンビ鬼から離れていく。
あれでゴブリンとか狼は纏まると徒党を組んで行動しているのだから謎である。
「作戦会議」
幹部であるアルテミスとウッドエルフのお姉さんで顔を付き合わせる。
他の連中は取り敢えずぽこぽこと召喚されるモンスターの一匹をローテーションでボコるという経験値稼ぎをしている。
ダメージが溜まれば収容して再び召喚すれば回復してる事が判ったからだ。
「あれが弱点だがどう思う?」
「どうみても刀ですよね」
「某もそう思います」
アルテミスもウッドエルフのお姉さんも口をそろえる。
実際、ブラックドラゴン四体で囲んでブレスを放ってもトロールで殴っても魔法や弓で一斉攻撃してもゾンビ鬼は倒れなかった。
何故か反撃をしてこないので助かっているのだが・・・
「なんらかの作用があってアンデット特有の不死性が強化されているのが原因だとは思いますが・・・」
アルテミスの推論はおそらく間違っていない。ではその不死性を強化しているのは何か?
おそらくはあの刀が何らかの影響をもたらしている可能性がある。
「問題は抜くか押し込むか・・・」
引き抜くのは魔力の元を奪って肉体を崩壊させる・・・押し込むのはゾンビ鬼に完全止めを刺す・・・
だが刀を引き抜いて本当に肉体が崩壊するのだろうか?あの刀は封印かもしれない。
押し込んで完全に止めがさせるのだろうか?刀の魔力を完全に取り込んでパワーアップするかもしれない。
ランクを上げてから地道に攻撃する手もあるが無駄になる可能性もある。
ぴろーんとトロールの体が光る。
<<トロールのレベルが上がり進化の条件を満たしました。進化させますか?>>
Yを選ぶ。
トロールの体がボコっと体に沿って筋肉が盛り上がる。あれだ針金に粘土を盛って人形作ってる感じだ。
頼りなかった顔が厳ついものになり上唇を押し上げるようにがっしりとした牙も生えてくる。
手に持っていた棍棒は無骨ながら加工の施された鎚矛。
トロールがジャイアントに進化し図鑑に登録されたことが告げられる。
詳細は後でチェックだ。
「アルテミス。ここで拾った戦斧はすぐに持たせられないのか?」
「できます。アイテム装備と念じてくださいマスター」
あ、そうなの?そういえばアルテミスもすぐに賢者の杖を装備してたな。
「ジャイアントよこれを授ける。使いこなしてみせよ」
お゛うとジャイアントか念が返ってくる。
ジャイアントの手から鎚矛が消え戦斧が握られる。斧頭が三日月状の曲線を描く刃が特徴の戦斧だ。
刃で斬るというより重さで割り裂く武器でもある。
「バルディッシュっていうのか」
新しい武器の重心を振って確かめているジャイアントの行動に感心しつつ視線を戻す。
「あれなら力押ししても何とかなるだろ刀は引き抜く」
「承ります」
アルテミスとウッドエルフのお姉さんが揃って頷く。
「イザというときはデカいので抑えるので、あの刀に詳しそうなウッドエルフのお姉さん引き抜きお願いできますか?」
とりあえずお願いしてみる。ダメなら命令するまでだが・・・
「是非もなし」
ウッドエルフのお姉さんは深々と頭を下げる。うん。忠誠心は高い方がいいよね。
まずウッドエルフのお姉さんが刀を抜く。それでゾンビ鬼が動き出せばフルボッコ。完璧な作戦・・・うん別名行き当たりばったり。
「つぎにモンスターが召喚されればそれはブラックドックに任せる。ブラックドラゴンとジャイアントはボス戦に注視・・・」
周りにいたモンスターが頭を下げる。
「よし行くぞ・・・3、2、1、ゴゥ!」
トロールが召喚されるのを見てブラックドックが動き出しそれを見てウッドエルフのお姉さんが走り出す。
ウッドエルフのお姉さんはジャイアントの体を器用に駆け上がると肩口からゾンビ鬼の肩へとジャンプする。
ガシ
なんとか頭に刺さった刀に手を掛ける。
ぐぉほぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
手をかけた途端、ゾンビ鬼は絶叫に近い叫び声をあげる。
ゾンビ鬼が顔についたウッドエルフのお姉さんのを引きはがそうとはじめて動き出す。
ま゛ぁ
ジャイアントとトロールがガシっと上がろうとするゾンビ鬼の両手を抑える。
ウッドエルフのお姉さんはゾンビ鬼の顔面に足をかけて大きく深呼吸をする。
博打の結果はいかに!
ズサァァアァァァァ
同田貫がゆっくりと引き抜かれていく。
「むっはー我が頸木をよくぞ解いてくれた。褒美に死を与えてやろう」
地面を揺るがすような声とともにものすごい勢いでゾンビ鬼の肉が再生されていく。まぁ再生されているのは腐った肉なのだが・・・
「噛むなよ。腹を壊されたのでは洒落にならないからな」
応と念が返ってくる。
見た目強そうなゾンビ鬼に対する一方的なフルボッコが始まる。
「これが同田貫です」
ウッドエルフのお姉さんが恭しく一本の刀を差しだす。
キン
鯉口を切り刀身を眼前にさらす。
長さは2尺3寸7分センチ換算だと約71~72センチ。刃は重ねが厚く肉付き豊か。切先は長く反りは浅い。直刃に刻まれる模様は小乱刃。
まぁ本物を知らないからこれが同田貫ですといわれてもはいそうですかとしか言えないのが残念なところではあるが・・・
「装備できるのは?」
アルテミスに視線を送る。
「人間族なら誰でも可能です」
まぁそりゃそうか・・・
「ウッドエルフのお姉さんに因縁ありそうだし・・・」
同田貫を鞘に戻しウッドエルフのお姉さんに差し出す。
「好きに使え」
「あ、有難き幸せ」
ウッドエルフのお姉さんは深々と頭を下げる。
<<同田貫のスペシャルパワーを解放しますか>>
え?ああ、賢者の杖のときと同じパターンか!
<<Y>> N
どろろろろろろろ。ドラムロールが鳴る。
<<ウッドエルフが特殊進化しました>>
なにに進化したんだろう・・・予想はつくが・・・
ウッドエルフ足軽
うわっダッサイ名前が付いた!いま優先すべきことが生まれた。ウッドエルフのお姉さんの名前を可及的速やかに変更することだ。
「とっとと殺れ」
そう命令を下す。
ぐぎゃー
刀を抜くまでは無敵だったゾンビ鬼がジャイアントの振り下ろしたバルディッシュによってゾンビ鬼の開きにされていく。
ぼふんという派手な音とともに宝箱が出てきた。
宝箱がゆっくり開くと中から大きな鍵と羊皮紙が出てくる。
そして目の前が暗転し頭の中に声が響いてきた。
<<召喚できるトロールのレベルが10になりました上位モンスタージャイアントが召喚できるようになりました。トロールの召喚を廃止しますか?>>
Yを選択する。
<<村の代表が面会を求めてきました。会いますか>>
会う事にする。
「ドンド・コドンです」
目前に卑屈なしかし瞳の奥に油断のならない光を宿した人族らしい男が揉み手をしながら現れた。
「不要なアイテムを引き取ってくれ。売るものは何か?」
「はい」
ドンドが提示した装備からスケルトン戦士・スケルトン弓兵・ゾンビの皮兜。
ウッドエルフたちの鉢金という鉢巻に金属板を縫いつけた前頭部を守る簡略な兜を購入する。
<<鍛冶師の工房に行きますか?>>
いくらかそれらしいアイテムを拾ったから行ってみる。
「はぁ~暫しも休まず鞭うつ響き~」
滅茶苦茶渋いハスキーボイスの歌声が聞こえてる。
相変わらず歌詞が変だ。
「なんか用か」
ドアホー工房と看板のかかった工房から出てきたのはドワーフのドアホー。
「アイテムの加工を頼みたい」
応接室らしき場所に通されるたので早速狼の毛皮10枚をどんと机の上に置く。
「3枚で弓使い用の籠手じゃな」
「では3組頼む」
「うむ解った」
ドアホーは狼の毛皮9枚を取ると作業室に入る。
「はぁ~暫しも休まず鞭うつ響き~」
やがてドアホーが作業室から黒い籠手を3組持って出てくる。
「狼の籠手。若干の追跡属性があり命中度を上げてくれるぞ」
ドアホーに金を払い狼の籠手を受け取るとそそくさと工房を後にする。
<<編成を行いますか?>>
以下のように編成・・・
アルテミス 賢者の杖・ローブ
ウッドエルフ足軽のお姉さん 同田貫・胴鎧・長弓・鉢金・狼の籠手
緑っぽい金髪のウッドエルフ兄さん 長弓・皮鎧・ショートソード・鉢金・狼の籠手
赤っぽい金髪のウッドエルフ兄さん 長弓・皮鎧・ショートソード・鉢金
銀髪のウッドエルフ姉さん 長弓・皮鎧・ショートソード・鉢金
アーリエル(マーメード) 銛
遭難していた男クワトロ レイピア・皮鎧
スケルトン戦士 皮兜・ロングソート・白鱗のドラゴンシールド・皮鎧
スケルトン魔法使い 杖・ローブ
スケルトン弓兵 皮兜・長弓・皮鎧・狼の籠手
ゾンビ 皮兜・皮鎧
トロール 鎚矛
ジャイアント バルディッシュ
そして・・・
「ウッドエルフのお姉さん。貴女に菜緒虎の名を与えます。おれの知る古の姫武将・・・井伊直虎から拝借しました」
「ありがとうございますお館様。以後、某は菜緒虎と名乗ります」
ウッドエルフ足軽のお姉さん改め菜緒虎は正座して深々と頭を下げた。
智のアルテミス。武の菜緒虎。わが部隊の体制が整ったのである。
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名前 ウッドエルフ足軽
種族 エルフ
分類 亜人間
性別 男・女
性格 グッド-ロウ
STR:15 INT:11 DEX:10 VIT:14 AGI:10 LUK :8
体力20/20魔力10/10
能力:地形森林での回避率アップ。
魔法:気合(自身の命中率と攻撃力を上げる)
特殊能力:一閃(低い確率で敵を一撃死させる)
装備:同田貫・胴鎧・長弓
備考:容姿端麗の亜人間であるエルフ。その上位種であるウッドエルフが刀とよばれる武器を下賜され主人に一層の忠誠を誓って生まれた。
斬ることに特化した刀による一撃死は他のモンスターにとって脅威となるだろう。
アイテムによる特殊召喚。ユニークモンスター。
※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。
名前 ジャイアント
種族 巨人
分類 亜人間
性別 男・女
性格 ニュートラル-カオス
STR:25 INT:3 DEX:2 VIT:25 AGI:1 LUK :1
体力35/35 魔力1/1
能力:山岳地帯での移動ペナルティなし。
魔法:なし
特殊能力:体力回復(体力が半分になったとき最大値の1/10の体力が毎秒に一回回復する。)
装備:メイス
備考:体長4メートルを超える人型の巨人。
おもに山岳地帯での目撃情報がある。
動きは鈍いがその一撃は脅威である。
トロールをレベル10まで育てることで進化することが確認された。
※性格・能力値はレベル1のときの平均でありレベルによって変動します。
ありがとうございます
ブックマークが3人から2人に減ったようで・・・頑張らねば