お迎えが来ました。異世界に旅立ちます
ピー
心電図の描く線が直線を描く。
「ご臨終です」
白衣の男性がそう告げると、シワシワつるっ禿のおれの周りにいた親族が大声を出して泣きだす。
おお、死んでしまうとは情けない。
無理言うな。天寿を全うだと一人ボケ一人ツッコミ。
「お迎えに来ました」
不意におれの目の前に、大きな鎌を持った黒いローブを身に纏ったスケルトンが立っていた。
大きな鎌といっても、見ただけで張りぼてと解るちゃちなものだ。
「死神!じゃないな・・・うん何十年ぶりかね?」
封印されていた記憶が蘇ってくる。
「こちらの年数では四十二年ぶりですね。わたしの世界ではまだ十年ぐらいしか経ってませんが」
死神・・・いや、エルダーリッチのアルテミスがけたけたと嗤う。
「お約束通り、お迎えに参りました」
アルテミスはユラユラと姿をにじませ、やがて幼さが残る顔に蒼い大きな瞳にショートカットのピンクの髪。
身長は170㎝前後で上から90、52、92。いわゆるけしからん美女に姿を変える。
成長した女神リブーラさまだ。
「容姿はどうしましょう?スケルトンでも人でもエルフでもドワーフでも構いませんよ?悪夢王という種族は変わりませんが」
理由を聞くと、いまの彼女なら、悪夢王だったときのスケルトンに、人としての肉を付けることぐらいは簡単にできるらしい。
それって、容姿だけなら選り取り見取りってことですか?やったー
身長は173cmで肉体年齢は19歳ぐらいがいいな。黒髪黒眼で、顔はこちらの世界のものでよろしく。
え?美形じゃなくていいのかって?いいよ。違和感要りません。
スキルは悪夢王のときのものが使えると。
この画面、おれが最近まで遊んでいたMMORPGのキャラクター画面っぽい。ああ、参考にしたんだ。
フルダイブのMMORPGって年を取っても遊べるからいいよね。
え?すでにリブーラさまの世界でも視覚的に実装済みなの?
あ、うん。イイ感じこれでお願いします。
おれが異世界チュウカナ大陸を統一し、女神リブーラを最高神に押し上げたことに対するご褒美に望んだもの。
それは、こちらの世界での生を終えたとき、異世界チュウカナ大陸に転生することだった。
これからおれの異世界スローライフが始まるのである。多分。
おしまい
2016/03/18 00:00に投稿を開始した「異世界で召喚したモンスター軍の指揮官やってます」2019/03/20 01:00の投稿をもって完結しました。
発想のネタにしたのはMaster of Monstersという
モンスターを召喚して塔を占領し、成長させ、進化させ、敵のマスターを倒してキャンペーンを進めていく
初代のファンタジーナイトの発売は1987年11月ですが、
最新版のMaster of Monsters WEBは2016年まで稼働していたファンタジーシミュレーションゲームです。
あ、ノリは伝説のオウガバトルというシミュレーションRPGでも可。
で、物語の中盤まではゲームのフォーマットに則って話を進めていたのですが、気が付いたら形骸化してました。
すべては自分の腕の無さ故ですごめんなさい・・・
いまのところ、誤字脱字、設定の変更による修正や読み易くするするための改行といった改稿はするつもりですが
大幅な話の変更は行いません。多分。
途中サボったりして3年間という長き時間お付き合いいただきましてありがとうございました。
同一の世界観である「チュウカナ大陸史書 偽典 菜緒虎伝」も良かったらどうぞよろしくお願いいたします。
新作長編は現代を舞台のヴィラン(悪役)成長物語かな
那田野 狐