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女神とワ国の使者と 謁見

「ゲート。白露城」

謎の空間からゲートを白露城の天守に開く。

最前線の子隷城に戻るには、ここから東にあるウランバドル城のゲートから移動する必要があるが仕方ない。


ドン、ドン、ドン

本拠地の白露城の天守から太鼓の音が鳴り響く。

おれがゲートを使って帰還したことを告げるための音だ。


パンパンと天守にある女神リブーラを祀る社に向かって柏手を打つ。


「よくやった」

けしからんボディーの美女、女神リーブラが顕現し、おれに向かって手を上げる。

女神リーブラの口調やら身体やら全身から溢れる光が結構まぶしい。

おれが魏府王国再統一して(すめらぎ)になったため、彼女も格も見た目も上がったようだ。


「もうすぐ終わりですかね?」

「そうじゃな。まさか、この短期間でここまでくるとは思わなかった」

女神リーブラは天守閣の窓ぎわまで歩いて行き、外の様子を見ながら緩やかに微笑む。


白露城はまんま姫路城をコピーした城である。

眼下に広がる風景は、おそらくそうだったであろうという、なんちゃって戦国時代。

村や畑を歩いているのは、おれが召喚したスケルトンとか蜥蜴人(リザードマン)とか豚人(オーク)

あとソロモンから出稼ぎに来ている人間やドワーフ。アタラカ山脈の住民であるエルフもいるがそれは少数だ。


「リーブラさま。もし、おれが負けたらどうなります?」

「この世界は月神アリグナクを神とした世界となり、わたしは地獄の悪魔王だな」


それに伴いおれや蚩尤(しゆう)は、地球でいうところの4大悪魔。部下は魔王となってこの世界の住民に蔑まされる。

おれが勝てば、女神リーブラを主神と崇める世界になるという。

おれがどういうポジションになるのかは勝ってからのお楽しみにされてしまった。

もし大天使長的なものだったら全力でお断りすることにしよう。似合わな過ぎる。


「次は最終勝利の報告を期待しておるよ」

ひらひらと手を振る女神リーブラに手を振り返し、おれは謁見の間に向かうことにする。



「リュウイチさまおなーりー」

ドラゴンメイドが声をあげると、目の前の襖がするすると開く。

一段高くなったところに菜緒虎とアルテミスが並んで立っている。

そのふたりの前にワ国服に身を包んだ香坂雅忠(こうさかまさただ)伊志田三成(いしだみつなり)が伏して待っていた。

ふるふると震えているのが判る。


おれは部屋の一番の上座に胡坐をかいて座る。

菜緒虎とアルテミスがおれの少し前に立ち、場を固める。


「香坂殿、伊志田殿。面を上げられよ」

おれが声を掛けるとふたりはゆっくりと顔を上げる。


「起請文をしたためた同盟が一方的に破棄されて慌てて来たのだろ?」

おれの指摘にふたりは身体を震わせる。

この世界で神の名のもとに交わされる契約はいくつかの例外を除いて絶対である。

いくつかの例外。この場合、おれのソウキ国とワ国との同盟が著しく対等でなくなったということだ。

ちなみにマッサチンとの同盟は神の名のもとに結んだ契約ではないのでとくに問題がない。


「ワ国との同盟が解除されたのは、おそらくおれが魏府王国を再統一したのが大きい」

「は?」

香坂と伊志田の目が点になる。

戦勝する度に領土を広げる度に宣伝をするようなことはしなかった。

いきなり魏府王国統一とかチュウカナ大陸の2/3を支配しているとか言われても彼らにしてみれば青天の霹靂か・・・


「おれとしては、ワ国とはいい関係でありたいが、起請文は起こせない。どうする?」

出来るだけ濁音がつかないような口調で提案してみる。

こういう時、顔が骸骨というのは不便である。

笑顔を見せられないので、多分ふたりには脅している様に聞こえているんだろうな・・・


「お館・・・ソウキ皇は同盟を」

「よせ」

ふたりを恫喝しそうになった菜緒虎を言葉で制する。


「何なら、直接おれが出向いて上層部に掛け合ってもいいぞ?おれは王としては新米だからな」

なるべく穏やかな口調で語りかける。


もっとも、おれが直接乗り込むということは、同盟を拒否した時点で即開戦である。

そして、魏府王国を分裂させたときの失敗は犯さない。

ハンゾウに命じてワ国の王家の血族関係の居場所などを調査させている。

圧力ぐらいにはなっているだろう。


「我らはこれからマッサチンを攻める。多少の時間の余裕があると思う。国元とよく相談されよ」

そういって立ち上がる。

時間にして10分にも満たない短い謁見。

だが意図は汲んで欲しい。

マッサチンを攻めているときにチョッカイを出すなよ。

ありがとうございました。

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