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00 世界とオレのプロローグ

かつて匠の技を持って栄華を極めた種族がいた。

太陽を制し、地上の強大な怪物とも渡り合うほどに技術力を高めた者達。

その鋼の力は、命なき兵を持って蹂躙し、魔砲の弾は山の形をも変えた。

その錬金の力は、新たな生命を生み出し、地上を自由に動く従僕を作り上げた。

彼らの繁栄はとどまることを知らず、空を海をも支配していった。

しかし、飛躍する技術に慢心し、傲慢になったその種は、浅慮から愚かな選択をし、繁栄の時代に自ら幕を下ろした。

《大災害》と呼ばれる天変地異により地上は過酷な環境となった。

かつて地上を支配した栄華は見る影もなく、不毛の地には過去の遺産が墓標のように立ち並ぶ。

かつて偉大であったその種は、古の先祖がそうであったように、再び地の底へと追いやられていった。


それが、我らドワーフである。




闘病生活を終え。末期症状の肝臓ガンで死んだオレは、理由もわからずネット小説でおなじみのファンタジー世界での転生を果たしていた。

名前がなかったので、前の名前を名乗っている。名前はセージ。姓はない。名乗る権利がない。もっとも、日本名の姓名がここで意味があるかは不明である。

名前がないあたりでオレの立場も理解できるだろう。

オレは孤児だ。

物心つく前に孤児院に捨てられていたらしい。最初に見たのが母親のおっぱいではなく、ヒゲ面のおっさんの差し出す哺乳瓶だったのは不幸な出来事だ。

おっさんのおっぱいでなかった事は幸運だった。


ファンタジー世界に転生というと、さまざまな異種族を想像するが、オレの転生した世界には、人間もエルフもいなかった。文明種族はドワーフだけである。


あえて説明するが、ドワーフはずんぐりむっくりの背の低い種族で、力が強く、強靭で、意外と手先が器用だ。その分優雅とか、華奢といったものから縁が遠い。武骨で肉厚。重厚。そんなイメージだろう。

鉱夫や鍛冶屋や職人といった種族で寡黙で頑固だ。

そしてヒゲである。

ドワーフの男は長く豊富で立派なヒゲをこよなく愛し、手入れし、自慢する。ヒゲが短い奴は若造であり、編込みなどによりその社会的地位を表す。

まあ、とりあえず。そんなドワーフしかいない世界だ。


そして、不幸な事をひとつ紹介しよう。


ドワーフの女性はロリである。

天国だとおもった奴は、社会に適応できるうちに直しておけ。

なにせ、本当に幼女。小学生と言われて納得できるレベル。それも、本物の幼女から、同年代、年上からおばあちゃんになるまで、見分けるのが白髪くらいしかない。ほかの奴にはわかるらしいが、オレからすれば特殊メイクを見破れと言われるくらい無理だ。

結婚式の様子とか通報待ったなし。ヒゲオヤジと幼女の結婚式。事案発生である。


言っておくがオレはロリコンではない。大事な事だからもう一度言うがオレはロリコンではない。

おっぱいは大きい派だし、お尻だって安産型希望。ムチムチ系のほうが好みだ。メイド服を着てくれるなら多少年上でもケダモノになれる自信がある。そして、最高の趣味であるメイドであってもリアルロリメイドなんてアウトオブ眼中。メイドをなめるな。微笑ましいお笑い頂戴のお遊戯会は父兄参観でやっていろ。メイドの世界に入ってくるな!!

あれ?いつの間にメイドの話になったんだ?まあ、いい。とりあえず、ドワーフしかいない世界で女はロリなので範疇外。


それはつまり。

異世界転生を果たしたオレではあるが、欲望願望大全開の王道ハーレムルートが消滅しているということを意味している。


異世界転生を果たして、初期に社会的常識で絶望を味わったわけだ。生きる望みを絶たれるにしても早すぎである。

しかし、そんな絶望孤独ルートが確定していたオレに、希望の女神が舞い降りた。




不意に出会ったそれにオレは視線を上げた。

“相手が大人でもない位に視線を上げた”

そこにある二つの双丘。そして、その上にある引き締まった顔。幼女顔ではない。氷のような表情。卵のような肌。引き締まった口元に、しずしずと歩くその姿。

見えなくなるまで心奪われたオレは、意識を取り戻すと近くのおっさんを捕まえて聞いた。


「なあなあ。今のアレなんだよ?」

「ああ?今のって…ああ、ヒューリーか。どっかの金持ちの従者だろ」

「ヒューリー?」

「大昔の錬金術で作られた人造人間さ。おっかねえぞ。魔砲術を自在に使う化け物だ。家が建つくらい高価だって話だが。誰が好き好んであんなゲテモノを欲しがるのかね?」


別におっさんの意見なんて聞く価値はない。

人造人間ヒューリー。その言葉をオレは心に深く刻み込んだ。

いつか、アレを手に入れる。


そして、メイドにして自堕落に暮らす。

オレの人生の目標がこの時に確定した。


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