痴漢を減らそう大作戦!〜現役痴漢VS駅員〜
「さて、今日集まってもらったのは他でもない、痴漢をいかにして減らすかを考えるためだ」
小さな会議室に、駅長の声が響く。
『最近女性専用車両を採用しましたよね? 効果はどうですか?』
「うむ、正直かんばしくない。あとは所詮は一両しか女性専用車両がないというのも痛い」
それきり特に、検証にあたいする案が出ない。駅員みんなうーん、と唸る。
「そこで、今回私はゲストを呼んできた」
駅長が自慢げに言った。
『駅長、一体ゲストとは誰ですか……?』
「入ってきていいぞ!」
駅長の合図と共に、冴えない見た目の男が会議室に入ってきた。
「現役で痴漢をやっている長割為造さんだ。さっきこの駅で降ろされたらしい」
『それってリアル犯罪者じゃないですか?』
『まま、さぁ長割くん、自己紹介して』
「こんにちは!痴漢大好き長割です! 好きな置換法は水上置換法です!」
『ほらーなんか触れちゃダメなオーラ出てますって』
「いいや、現役の痴漢から話を聞くことで、より良い発想が生まれるかもしれん」
『しかし……』
「では長割さんに質問、痴漢のターゲットはどうやって決めますか?」
「おっぱいと尻ですね、当然です」
「うむ、確かに当然だ」
『同意しないで下さい駅長』
「では、次。痴漢は気持ち良いですか?」
『その質問いります?』
「超気持ち良い!」
『お前も答えなくていいわ!』
「おっ、さながら金メダリストだね!」
『駅長の返し最低ですよー?』
「いいから、これも痴漢を減らすためだ」
『……』
「では次、ばれずに痴漢する秘訣はあるかい?」
『駅長?』
「これも前から聞きたかったんだよねー」
『もはや駅長の趣味じゃん』
「そうですねぇ……大人しそうな」『もうお前帰れ! てか警察呼ぶからそこで動くな!』
「まぁまぁ」
『まぁまぁ、じゃないですよ! やっぱこんなクズに話聞いても無駄です!』
「あー俺のことクズって言ったー名誉毀損で訴えよっかなー!」
『鬱陶しいわ死ね!』
「まてまて、わたしの質問が悪かったのだ、もういちど長割くんにチャンスをあげてくれ」
「ワンチャン! ワンチャンあるでこれ!」
『心の底から鬱陶しいなお前!…………駅長に免じて、いっぺんだけチャンスをあげますよ……』
「よかったねー長割くん!」
『やったぁ! ちょろいぜ!』
「おいお前」「まぁまぁまぁまぁ」
「こほん、では長割くんに質問する……。痴漢を減らすにはどうすれば良いと思う?」
『……』
ストレートな質問。ある意味ラストチャンスとやらには相応しい気がする。
「そうですね、昨今は女性専用車両が増えています。そこで私は」
「……」
『……』
「痴漢専用車両の設置を提案します!!」
『お前それ乗るか?』
「乗るわけないじゃん?」
『はい警察呼ぶー! お前そこ動くなよ!』
「まぁまぁ」
『駅長! お前もまぁまぁまぁまぁうるせえ!鳴き声か!』
「ひっ……」
こうして長割為造は連行された。常習犯だから多分実刑だと思う。
終