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ふぁんたじーわーるど  作者: あっぽ
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生きる。

「今何時だ...?」


 借りているこの部屋には時計が無い。タイムを使えば見ることは簡単だが、いちいち開いたり操作するのは聊か(いささか)面倒だ。一目で理解できるという点では時計は優秀だな。などと寝起きの気だるさと戦いながら、時間を確認する。

 5:26分か。いつもの時間だ。宿屋の中でも唯一この部屋にだけあるものがある。マスターにお願いしてこの部屋を借りた。それは......



 

 シャワールームがある。



 自分だけのプライベートスペースでシャワーを浴びれるというのは安心するし、いつでも使えて有難い。ランニング前にシャワーを浴びることは一昨日まで、いや前の世界でも一緒だった。ランニング前に浴びるのはどうせ汗をかくんだから意味ねーだろとか思うやつもいると思うが、それは間違いだ。

 

シャワーを浴びることでよし、走るかっていう気合の入りようが違う、段違いだ。帰ってきてからももちろん浴びるがな。臭い奴だと思われるのは悲しいというか、自分でも匂いは気になるし。よく考えてみたらまだ3日目じゃないか。この世界にきてからは走ってねーな。

 

「とりあえずシャワー浴びるか。」


 昨日はシャワー浴びてないから、ゴシゴシと念入りに体と頭を洗う。ついでに顔も洗える!やだ!朝シャン素敵!と女子に噂される事間違いなし、みんなもオススメ。


「さっぱりしたな。」


 寝汗が流せて気持ちがいい。頭皮の油も落ちたからか、心なしか体が軽くなった気がする。気がつけば、昨日あんなに苦しめられた筋肉痛も綺麗さっぱり消えた。今日は戦闘できそうだ。


 いつもの格好に着替えて部屋をでる。




「おはよ、マスター」


 暇そうに座ってる金髪の女に挨拶する。


「おはよう、ランニングルートは決まったか?」



「ああ、オススメされたルートでいくよ、じゃ」



 会話を早めに切り、足早にドアに向かう。背中から気をつけてというマスターに向かって適当に返事をしながら扉を開けた。


「しっ、いくか」


 簡単なストレッチをして駆け出した。




 鼻から吸い口で吐く。ランニングはこの呼吸がいいと本か何かで読んだことがある。口だけで呼吸をすると喉が乾燥して余計辛くなるらしい。鼻で2回に分けて吸うことで1回でたくさん吸える様になるらしい。

 2年以上この呼吸をしているが実感はあまりない、特にほかに気にすることもないので続けているだけだ。

 ランニングを始めたばっかの人は無闇にアスファルトを走るのはやめたほうがいいと思う、膝が悪くなるからね。公園とかグラウンドで走るのがおすすめ。




 タイムで時間で開き、約一時間くらい走ったの確認する。

 前回海辺で、大きな黒い馬に会ったこともあり、若干警戒はしていたが、あそこには何もなく、クールダウンをし無事に、ランニングは終了した。



「ただいま、朝飯準備頼む。その間にシャワー浴びてくる」


 マスターが返事をしたのを確認し、自分の部屋に戻る。


 

 一応最初から着ていた冒険者っぽい服は3枚替えがある。2から3日に1度変えれば1週間ローテーションが組めるが、ランニング行った後の汗だくなのを再度着るのは嫌なので近くの水場にでも行き、洗うとしよう。

 はじめての綺麗な服に着替えだな。気分を入れ替えて朝飯を食べに行くとしよう。


 頑張って作ってくれてるマスター可愛いなあと思い、眺めながら飯を待つ。

完成した料理は昨日と同じだ、金髪が作る日本食ってのも面白いな。

 逆に外国人は日本食に憧れたりするんだろうか?前の世界にいた時は、親が2人共海外で働いてるので、基本的に金をやるから自分で好きにしろって感じだった事もあり、朝はパンとヨーグルトというストイックな生活をしていたもんだ。金に苦労してたわけではなく、面倒臭かったのだ。特にランニング行った後だし。

 

 暖かいうちに食べろというマスターの視線を感じ、手を合わせる。


「いただきます。」



「昨日はどうしたんだい?疲れていたみたいだけど。」



「そうだな、とてつもないやつに出会った。黒い馬に。」



「黒い...馬?そいつは珍しいな、だが馬なんか珍しいもんじゃない。」



確かにこの世界観からして馬は珍しくないんだろう、しかし問題なのはサイズとレベルなのだ。


「なんていうか、でかかったんだよ四m以上はあった。咄嗟に隠れたから見つからなかったが、あいつは確実にモンスターだ。レベルもあった」


いつになく真面目な顔で必死に口を動かす。


「四m?そんな馬は見たことも聞いたこともない、寝ぼけてるんじゃないのか?と思ったが口ぶり的に嘘だとは思えない、レベルが見えたということはボスのようなものなのだろう。どこで見たんだ?」



「海だ。突然の轟音のようなものが鳴ったと思い、振り返ったらそいつがいた。まあ今日海行った時はいなかったから安心してくれ。」


 名前は言ってもどうせ分からないと思い伏せる。名前とか見た目のまんまだったしな。ライダーが少し気になるところではあるが。



「そうか、気をつけてくれ。混乱するといけないからこの話は私の心の中にしまっておくよ。」


「ああ、そうしてくれると助かる。今日は戦いにいってくるよ、欲しい物もあるしな。今のうちに剣を使いこなせるようにしときたい。」


「いつごろ帰るんだい?飯を作る時間考えるよ」


「そうだな、疲れたら帰るが。夕方になると思う」


「分かった。どうせスライムだろう?心配はしないさ。」


本当はゴブリンと戦うつもりだが、いらない心配はかけたくないからスライムということにしておこう。


「ああ、いってくる」


鍛冶屋よりも数段軽い扉を開き、アイテムストレージを操作して鞘のついた剣をタップする。


このアイテムを 【装備しますか?】 【捨てますか?】 


【装備する】と選択し、鞘がついたことにより背中に重さが伝わる。

 手で背中に剣があるのを確認し、森に向かい歩き出した...




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