出逢い。
「村が見えてきたな。」
先程の事があり疲労感はあるが、まだ昼下がりの午後だ、モチベーションを上げていかないとな。
取り敢えず鍛冶屋に向かうとしよう、先程みたいな時の為にいつでも構えれるように肩に掛けれるようにしたいな、他にも売りたい物もあるし。
「ええっと、鍛冶屋は何処だったかな?」
自分に問いかけるように呟いた。
「お兄ちゃん、鍛冶屋に行きたいのかい?」
長い白髪の生やした見た所70歳くらいのお爺ちゃんに話しかけられた。
思いっきり独り言発してたよ、恥ずかしい。
口振り的に鍛冶屋について知ってるようだし、聞いてみるか。
「ええ、鍛冶屋に行きたいんですがきて間もないので、場所を上手く把握できてなくて…」
「そうか、なら仕方ないワシが案内してやるぞ」
「すみません、ありがとうございます」
この村にもいい人はいるもんだな、見た目の割に元気なようだ。
お爺ちゃんの背中にぺったりついて行く。
四、五分歩いた所で鍛冶屋と看板が下がっている雰囲気のある、ちょっと古い家に到着した。
「ここじゃ、ワシは暇じゃからな気にすることはないぞ」
「ありがとう、お身体に気をつけて。」
お爺ちゃんは何処かにフラフラと歩いて行ってしまった。大丈夫だろうか?気になるところだが、鍛冶屋が先だ。
前に来た時は夜で全然気にしなかったが、どんな人が居るのかドキドキするな。
ルーズSmith AM10~PM9時というのを確認し、ずっしりと重い扉を開いた。
「こんにちは」
「あ、いらっしゃいませー」
そこには黒髪を頭の後ろで簡単に束ねて、前髪はピンで留められている。身長百六十センチくらいの、とても剣を作っているとは思えない華奢な見た目の俺とそう年が変わらない位の女がいた。
「初めましてですね?最近この村に来たんでしょうか?」
「えぇ、最近この村の宿屋の座敷童になりましてね。1週間は滞在する予定だ」
「あはは!座敷童かー見たから私にも良いことあるかな?」
「さあ?あるといいな、座敷童本人聞いたことある奴はいないからな、答え方は分からないな」
「自己紹介がまだだったね、私は楓 真由花です。歳は十五歳です、よろしくね!」
「俺は橘 一颯だ、歳はお前同じだ、呼び方は好きに呼んでくれ。」
てっきり看板に書いてあるルーズが名前かと思ったんだけどな、めっちゃ日本人じゃん。黒髪の時点で、何となく勘付いてたけど。
でもこの世界で黒髪は珍しい。というかこの世界で初めてみた、マスターは金髪だしな。
「へぇーかずさって珍しい名前だね?じゃあ、かずさって呼ばせて貰うね。私の事も真由花でいいよ」
「ああ、それでいい、よろしくな真由花」
「うん!で、それはそうと今日は何の用で?」
「そうだった、用件を忘れるところだった。剣を肩に掛けて持てるようにして欲しい」
「なるほどねー、鞘を作ればいいんだね?剣のサイズにもよるけど問題ないよ」
「じゃあ頼む」
俺はアイテムストレージを開き、光の板をタップして剣を実体化させ、真由花に渡した。
「オーソドックスなタイプだね、このサイズならすぐ作れるよ、鞘の素材はどうする?素材によって値段が変わるけど」
「一番安いのでいい、あまり手持ちがないんでな」
持てれば何でも一緒だろう、見た目的には高い方が綺麗なんだろうが今の所そんな余裕はない。
「りょうかーい、三十分ほどで完成するからそこに座って待ってて頂戴」
そう言って指差したのは、座ったら脚が折れそうなボロボロの椅子だった。
「お前が作った剣とかないのか?そっちに興味があるんだが」
「それなら奥にあるよ、壊さなきゃ好きに触っていいよー」
「分かった、気をつけて扱うよ」
俺は奥に見える保管庫のような荒んで汚い場所へに向かった…