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ふぁんたじーわーるど  作者: あっぽ
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二人目。


現在の状態を把握し、そして次にどう動けばいいのかをイメージしろ。


一人を俺が倒し、残り四人。


ルカと真由花への攻撃を企む輩は一名、この場合最善の行動は他三名を倒した(のち)、残りの傍観してる今確認できる人物の四人を潰す。

俺達を囲うようにしたのはいいが、全員で攻撃をしなければ意味がないというものだ。


敵の位置は俺の左へ一人、右斜めへ一人、背中側に一人だ。


 倒すために間合いを詰めた事により、背中に隠れていたルカと真由花が大っぴらになってしまったが、結果的に一人減らせたので良しとする。あいつ等、いやルカを戦わせるのは強襲を受けてから思いついたが、さすがに俺一人ではこの状況を打破する事は無理だろう。

一人で五人に襲われて勝つ方法など思い浮かばない、そういった意味ではある意味囮になってもらったということになってしまうが、それはルカを信用しての事だ。か弱い少女とは呼ばせなくするほどの、勇敢さを持ち合わせいる。それに相手は戦いに関しては素人のようなものなので充分に勝機はある。


 背中側にいる奴はルカが戦っているところへ加わる可能性が高いので、優先して倒したいところだが振り向いてしまうと背中に二人背負ってしまうのは厳しい。


次に斧を持ち上げたようとしているのは、背中側の人物。


――まずい。





 ルカは前にも二対一で戦っていたことがあったのを思い出し、多少の時間は耐えられるのを見込んで俺も行動をはじめた。



狙うは、いかにも荒々しい事が好きそうな顔をしていたが体格はそれほど大きくなかった。相手に多少の心得があったとしても、まず一人ではオークを倒そうとは考えないだろう。もし一人で倒す奴がいるとしたらそいつとは戦いたくないものだ。


柄をぎゅっと握りなおした俺の行動を察知し、相手も剣を構えるがその顔に余裕は無く食いしばっていた。

恐らく怖がっているのだろうが、そんなに力んでいては相手の行動を良く見る事ができないぞ?と俺の仲間であったならアドバイスをしてやりたいが、生憎、人を襲うような輩を仲間にする気はないので、こいつとは分かり合うことはなさそうだ。


俺は左へ半歩、身体と足を動かし相手の行動を伺った。


「余裕かましてんじゃねぇよぉっ!」


と威勢のいい言葉を発しながら、剣を振ったが、空を斬る。


 狙う気持ちがあるのか?というくらいの振りの鈍さと振り方だ、元気があるのはいい事だがそんな使い方ではすぐにへばるぞ?とも言葉を掛けてやりたかったが遅かったようだ、肩を縦に揺らし、肩で息をしているという言葉そのものだった。


一体こいつらは何の為に俺達を襲ったのだろうか、剣を持ったばっかりのような奴等ばかりである。


動きが止まった相手との戦いを終わらずべく剣を握る、相手が俺の構えを見た表情に生まれた焦燥感。


そう簡単にやられるもんかと、男は最後の力を振り絞るようにまた剣を振り出す。

上段から振り下ろされる剣に、ここだと狙いをつけた。


金属同士がぶつかり独特の冷たい音色を生み出すが、弾くのではない。


受け止めたところを支点とし、勢いと剣をいなす。


その後、瞬きする暇も与えずに地面に踏み込み、狙いを定め躊躇い無く心臓へ一刺し。


「う......」


驚きから生まれたのか言葉か、痛みから生まれたのかは分からないが呻き声を上げて倒れた。


残るはルカと戦っている二人と、今にも逃げそうな右側にいる人物を倒せば第一陣は終わる。

倒れた男を二秒ほど観察したが後に、右側に居た人物が勢いよく地面を蹴り、飛び掛かってきた。



 俺が油断しているのかと思ったのか、それとも焦ったと思ったのかは知ったところではないが、俺からしてみれば先程の奴のように振り回された方が避けにくく、面倒なのだ。

一発に力を込めた攻撃は図体が大きく違う相手へなら有利だが、殆ど躱されるのがオチだろう、が俺は敢えて躱す事はしなかった。

一秒でも早くルカのほうへ加わらなければ危ない、それほどまでに緊迫していた。


自らの左腕を相手の剣に捧げ、いまにも気絶しそうな痛みを我慢しつつカウンターのような形で、喉元へ剣を刺し込んだ。


「げほっげほっ......」


相手は首下から大量の血を流し、必死で酸素を取り込もうとしていたが必要以上に取り込みすぎて過呼吸になりその手に握られていた獲物は金属音を立ててその場に落とした。過呼吸で手足が麻痺したのだろう。

俺も左腕を斬られ、意識が飛びそうになるが必死で繋ぎ止める。

 

精神を落ち着かせるべく、軽く息を吐いた。


「ふぅっ」


その一つの行動で意識が鮮明になり、身体への血液の感覚が感じられるほどに研ぎ澄まされていた。


余分な事に割く力をなければじっくり甚振(いたぶ)るなどの趣味も無い、あとはこいつを楽にしてやるだけだ。

再びぎゅっと固く柄を握った。


そいつの顔は恐怖そのものであり、過呼吸もあってか唇も真っ青になっている。

躊躇っている時間はない、仲間が危ないんだ。守らなければいけない。


義務感のようなものを感じながらも剣を振りかざし、一思いに首元を斜めに斬りおとした。


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