表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふぁんたじーわーるど  作者: あっぽ
34/55

寝起き。。

「という事だまあ、知り合いというより顔見知りに違いがな」


 実際こいつの事は名前と視覚的な情報くらいしか知らないし、あながち間違いではない。

こいつが俺に言った、村人から差し出された云々はまだルカに言わなくてもいいだろう、こいつらが仲良くなってからで遅くない。



「なるほどね、でレイだっけ?アンタはどこで寝たの?まさか......」



いきなりそこを突いちゃう?まあただ寝たくらいだしね?普通、普通。

とは俺が思っていても世間は厳しいのである為適当に誤魔化して欲しいのだが、誤魔化しようがない。さすがに一緒に部屋から歩いてきたことはバレていてるだろうし外で寝たとは言えないし、厳しそうだしここははっきり俺が言ってやるとしよう。



「俺の部屋で寝たよ、というより俺が来ないかと誘ったからこいつは、悪くないからな」


「そう、アンタから誘ったなら別にいいわ。アンタからならまあ気にしないわ。」



どうして俺から誘ったならいいのかは分からない、一緒に飯を食いながら聞いていたフラも特段気にしてはない様子なのが若干気に食わないが、まあそれで事が済むなら別にいいか。



「私はカズサの寝顔が見れたから満足!キスはできなかったけどね......」


平然とした顔で言われると小っ恥ずかしいのだが、まあ所詮は寝てるところなんて見ても楽しさが分からない。それが楽しいのなら金もかからなくて凄くいいのだが俺には人の寝顔を見る趣味は無い。


「寝てる時にいくらでも出来ただろ?したいならすればよかったじゃないか?」


キスでこいつが喜ぶのならそれくらいは他愛も無いし、俺も男だ、可愛い女の子にされて悪い気はしないしな。


「それはアナタからしてもらうのを待つよ......それまでは一緒に寝るので許してあげる」


「そうか、じゃあその時が来るまで生きてる事だなあと、昨日いや今日の朝は遅かったから仕方なかっただけだからな?今日からは別々に決まってんだろ。」



一緒に寝るのを普通にしようとするのが結構恐ろしい、こいつを本当に信用してもいいか分かっていない状況だったのに部屋に入れることを何故善しとしたのか分からないが、まあ悪いやつじゃなかったし何より眠かったし。



「えぇ~私だけの特等席だと思ってたのに~......」


プクーと頬を膨らますのをちょっと可愛いと思ったりしたが、俺のベッドが狭くなるのは止めて頂きたいのでね。それに朝起きるの早いし、寝顔なんてこっちから拝むことしか無くなるだろう。


「そっちのほうがのんびり寝れるだろ、広いし。あとお前とずっと一緒ってのもどうかと思うし。それにお前どうすんの?ここに居座るの?それとも元の村にでも帰る予定なのか?」



俺と一緒に寝ようとしていたところを考えると、元の村へ帰る気はさらさらないんだろうがこいつにも親がいるだろうし、こいつを山賊に渡したことにも何か理由が在りそうだが俺が踏み込むべきではないのかもしれない。複雑な理由を抱えていてそうだし。



「私は帰らない。あなたといるって決めたの。」


真っ直ぐ目を見つめ力強くも、弱い声で宣言された。


 そこまで強い覚悟を宿しているなら俺は言うことはない、それは本人の自由だが俺はこいつの思いに応えてやれる日が来るのだろうか。これからの人生は長い、じっくり考えるコトがまた一つ増えたのである。



俺の耳元に囁く者がいた。



「ちょっと~アンタにゾッコンじゃない。一体何したのよ。」


ルカの奴がニヤケ顔で俺達の会話を楽しんでいたようで、俺に質問をしてきた。



「知るか。本人に聞いてくれ。まあ大体の想像はつくけどな。」


俺達が内密に会話していると怪訝な顔を浮かべる者がそこにいた。



「悪い悪い、別に蔑ろにしてたわけじゃないぞ?ただちょっとお前が加わるとややこしい話になりそうだったからな。」



 こいつが話しに加わったら昨日のことを一から全部話されそうなので、それは困る。この雰囲気を壊すなんて物じゃないので今はまだ話す時期ではないと思っているが、こんな俺が言うのもなんだが一応仲間だ。その内話せたらとも思っているがルカはきっと怒るだろう。俺が殺したことをじゃなく独りで行った事を。

あと人を殺す事に対して背負わせたくなかったなどと言えば、更に怒りを増すだろう。覚悟をしての発言だったのに俺は裏切ってしまったのだから。



「カズサがそう言うんなら許すけど......ただちょっと寂しかっただけ。」



 許してくれるのはいい事なのだが、ちょっと内緒話をしただけで寂しいというのは昨日知り合ったばっかの俺に対してどれだけ依存しているのだろうか?


いや、こいつには昨日とかは関係なかったのかもしれない。

仲良くしてくれる友達や大人だと思ってた奴らに裏切られた事により誰でもいいから救って欲しかったのだろう。それが例え盗賊や山賊関係なく、自分の味方が欲しかったところでたまたま俺が出会ったそれだけではあるが、それもまた運命なのかもしれない。



本当に悲しい顔をしていた。例えそれが演技だとしても人には、こいつにも笑顔でいて欲しかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ