ひとり。
「西の方か、森とは真逆だな」
さっき宿屋の時計は六時半だったな、武器屋はまだ開いてはいないだろう。七kmなら向こうで遊んでも昼には帰って来れそうだな。それからゴミを売りつけに向かうとしよう。
言ってた通り、紆余曲折などはなく、よく人が通るのか道ができていて歩きやすい。
他にはなさげだしこの道を走ればいいか。
それよりも知り合いを増やしたいな、よく分かってない世界だからこそ情報はいるし、助け合える仲間は必要だと思う。
だがしかし、俺には知り合いを増やす方法が分からない。俺と同じでこの世界に来たやつとかがいれば、仲良くなれそうなんだけどな。
取り敢えず1週間はあの村にいることにしよう。それまでに同じ境遇の奴がいないか探したい、旅に出るのもいいな。
一人での旅は些か心細いが、慣れればどうとでもなるだろう。
旅に出る前にやらなきゃいけないことが山積みだな。
1.剣の使い方を覚える
2.情報集め
3.行き先をある程度絞りたい
このくらいか。あとは金かな?
マスターはこの辺りには強いのはいない。と言ってたから、あそこの村はRPGでいう初期の村なのだろう。
そうなると、先に進むにつれてモンスターが強くなっていくことは決まってるような物だからな。
ゴブリンくらいは回復使わないでで倒せるようにはしたいな。
教えてくれるような人はいるのだろうか?
帰ったらマスターにでも聞くとしよう。
RPGの世界ならスキルは有りそうな物だが、昨日剣を入手した際に試してみたが、アイテムや装備と同じ頭の中で想像するだけでは何もでない。
これで、でないとなると考えられるのはスキル自体がないor何かの条件によって解放だな。ステータスのような物もないし、RPGなら職業が表示されそうなんだけどな。職業表示がなくても、今の俺は剣を持って戦ってるから、勇者とはいかなくても冒険者くらいにはなってる気持ちだ。
一匹とはいえゴブリンも倒したしな。流石に無職ではない事を祈る。
前の世界では学生で高校受験用の勉強してたんだけどな。この世界に学校はあるのだろうか?あるとしてもその学校は何を教えてくれるのだろうか?
分からないことが山積みだな。帰ったら纏めて聞くことにしよう。
「着いたか。行きは何も出なかったな、帰るまでが遠足って学校の先生に言われたし、帰りまで用心はしておくことにしよう」
「綺麗な海だ」
防波堤などはなく、砂浜があるだけの人の手があまり加わってなく、海に濁りがないのは驚いた。工場などはやはりなさそうだな。
ここの海に魚はいるのだろうか?海が透明なのは汚れが少ないこともあるが、プランクトンなどが少なく、魚がいないこともあるらしい。
今すぐにでも泳ぎたいが生憎の筋肉痛と、着替えがないことが残念。この世界ではアイテムストレージに服などの防具は入れておけるから手ブラでいいのは楽だな。
その分、剣を入れる鞘がないため持ち歩くことが難しい。重いし。
でも、急にモンスターが出現したら、大急ぎで装備しないといけないのは怖いし、鍛冶屋で作れないかな。
「どっかに時計はないかな」
辺りを見回すも、何もない。海と砂浜しかなく、時間も時間なので人がいない。
俺は何となく連想ゲームの要領で、時計、とけい、ウォッチ、タイムとか考えた。
瞬間、アイテムや装備と同じ様に「時間を表示しますか?」のウィンドウがでてきたのだ。俺は頭の中でyesと回答し、時間を表示した。
現在時刻 七時半。
のんびり考え事しながら歩いてたら、こんなもんか。マスターの言った通りナナキロぐらいのようだ。
快晴なので、もっとゆっくりしたいが行くところもあるしな。走るための道は確認できたし、満足だ。ここにいても聞こえてくるのは波の音くらいなので、リラックスするにはもってこいだろう。風が気持ちいいしな。
「さて、戻るか。」
俺は静かな海岸で呟き、帰路についた...が。