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ふぁんたじーわーるど  作者: あっぽ
29/55

罪。

「だれだッ!?」


先頭に立っていた男が俺の足音に気づいたらしく、そう仲間に告げ、足を全員が止めた。



この隙にと言わんばかりに俺は足を止めることなく、剣の柄に手を当てたまま昼間見た中でも、無精髭を生やし、小さくも無ければ大きくもないといった、比較的弱そうな奴に狙いを定めた。



奴と俺の距離は僅か十メートル。




ここまで来て怖気づいたりしたら俺は殺される。



 やるかやられるか、そう決まっているのにまだ俺は、躊躇う気持ちは拭い切れなく人を殺すというのに罪悪感を感じてしまう。

だが俺は自分の為ではなく、ルカや真由花の為に戦うんだ、そう思えばほんの少し気持ちが楽になったような気がした。



そのまま足を止めることなく、距離は三メートルまで縮まり、相手の顔が見える程になり俺は相手の顔を凝視した。




「だれだお前は!?まあいい男なら死ねッ!」


そう言い放ち、両手で握っていた大きな剣を振り被ろうとした。



――その時、俺は無言のまま柄に当てた剣を抜き、躊躇い無く高速で斬り下ろした。



剣技、スレッドを発動させたのである。


相手は頭蓋骨が真っ二つになり、手足を痙攣させながら大量の血を出血し絶命した。



暗くてよく見えない状況が幸いし、耐性の無い俺でも正気を保てた。



左にいる残り二人は驚きの余り口を開けたままだったが、数秒後には俺に気づき、仲間を殺された事による怒りをあらわにした。



「お前絶対許さないからな!!!!絶対ぶっ殺してやる!!!!!!!」


片方の小太りの男が大声を張り上げ、左手に構えていた片手剣を両手で握り、低い突きの体制を作り突進してきた。




距離が無かった。



普段ならカウンターを狙いに行くが、回避するも難しかった為、左腕に自ら突き刺しにいき急所を回避し、痛みで折れそうになるが奥歯を噛み締めぐっと堪えた。


「ぐっ....」



とてつもなく痛いがそれでも俺は、



――戦わなければならないのだ。剣技、クロスブレードを発動させた。




 相手の剣は俺の腕に刺さったままなので、相手は身動きが出来ず、いい的としてクロスブレードを受け、もう許してと言わんばかりの眼をするが俺にも止められないので剣技は続き、左腕から血を噴出しながら最後の下段からの振り上げを浴びせた。



小太りの男は体が見るもの嫌になる程の悲惨にばらばらになり、血溜まりがまた一つ増えた。


 スレッドは初見相手には相当有効なのだが、ばれてしまうと剣を鞘に仕舞うだけで発動させると思われるので距離を取られてしまったら空振ってしまうのであるのだが、俺は技名は一つも言ってないので相手からしたらとてつもなく速く剣を振る奴である。

相手は剣技を使ってこなかったところを見ると、やはり使える奴は限られてくるのかもしれないので、使える俺は幸運なのだろう。



残りの痩せて頬骨が浮き上がった男は仲間二人の死体を見ると同時に俺の顔を睨みつけたが何もしてこない。



怯えているのだろうか?それとも腰が抜けているのだろうか?



人を攫うような奴らでも仲間を殺されることには慣れていないのかもしれないな。




痩せ細った男は声を震わせて俺に話しかけてきた。



「た、頼む...い...命だけは....」



 賊を信じるほど俺は善人ではなく、馬鹿でもないのだ。

何が悪いと言えばここにいたことに他ならない。




ゆっくりと距離と縮め、足をがくがく震わせる男に向かい最後に言葉を掛けた。




「悪いな、でもしょうがないんだ。俺は神様じゃないからお前を救うことも生かす事もできない」



最後に言い残して、涙を呑み。



剣技を発動することなく男の首を撥ねた。




「はぁ...はぁ..思ったより堪えるな...」



 こんなことで吐いたりしては最後に戦うあいつと戦う為の体力が持たないのでぐっと飲み込み、俺が殺した男達を改めて目視した。

最初に戦った男が持っていた両手剣は、ルカのより強力で高く売れそうだったが本来の目的ではないし、俺は追剥でもないのでそのまま放置した。



 仲間達に任せたまま、奥から出てこないボスのような奴はまだ身を潜めているようだ。

さほど距離は無い為、仲間の叫びが聞こえなくなり物音も静かになった事で仲間の死は気づいているのだろう。

それでも身を潜めたままなのは、無闇に突っ込んでも勝てないと分かっているなのかもしれない、やはり最後は強敵みたいだ。

 強敵だろうとなんだろうと、ここまでやったんだから今更引き返せないし、引き返すつもりもない、倒して助けて帰って寝る。


それが俺のこれからの予定だ。




 相手が来ないのなら俺が行くしかない、これは鉄板だな。

などと考える余裕はある、身体もまだ軽く昼間の疲労感は感じられない。



奥に向かおうと足音を鳴らさないように頑張るが、洞窟の中ではどんな小さい音でも反響してしまうので諦めて歩みを開始した。




二分程歩き、あのデカイ奴の話し声が聞こえてた処へ着くも姿は見えない。

左右に首を振るが、気配も感じられない。

どこへ行ったのだろうと少し歩こうと思った、その時――




「ガハハ、こっちだッ!」



でかい図体を見事に隠したと関心する暇もなく、でかい岩陰から飛び出て大きな斧を軽々片手でとてつもないスピードで振り下ろしてきた。




「しまっ....」



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